ミラノデザインウィーク2025 に出展した「レクサス(LEXUS)」によるインスタレーション。

ミラノデザインウィーク2025で、レクサスはテクノロジーと人がつながる未来のモビリティをテーマにしたインスタレーションを発表しました。新世代コックピット「ブラックバタフライ」をモチーフにした没入型体験『A-Un』や、気鋭クリエイターとの共創を示す「Discover Together」を通じて、レクサスはデザインと革新への継続的な挑戦を示しました。

レクサスが描くモビリティの未来

2025年4月8日から13日までイタリア・ミラノで開催された世界最大のデザインイベント「ミラノデザインウィーク2025」において、レクサスは、その革新的な思想と未来へのビジョンを体現するインスタレーションをトルトーナ地区の中心であるスーパースタジオ・ピュー内デイライトで発表しました。

2005年の初出展以来20年にわたり、レクサスはフィリップ・ニグロやネリ・オックスマン、藤本壮介、ライゾマティクスといった世界的クリエイターとのコラボレーションを通じて、ブランドの価値観やビジョンを魅力的で没入感のある体験として表現してきました。

今回の展示では、レクサスが次世代バッテリーEVへの搭載を目指す新世代コクピット操作デバイス「ブラックバタフライ」をモチーフに、テクノロジーと人がつながる瞬間、そして一人ひとりに寄り添いながらパーソナルな体験価値をもたらすモビリティの未来に対するレクサスの深い洞察が示されました。

レクサスのChief Branding Officerであるサイモン・ハンフリーズ氏は、「テクノロジーの進歩により、人が移動に費やす時間の捉え方が変化する中、新しい体験の創造につながるこの時間のあり方について思いを巡らせています」と述べ、今回のインスタレーションが、新しい時間の使い方とそこから得られる体験を表現していることを強調しました。

『A-Un』インスタレーションとレクサスの新世代コックピット「ブラックバタフライ」が拓く共鳴体験

今回のレクサスのミラノデザインウィークにおける目玉は、東京を拠点とするクリエイティブエージェンシー「SIX Inc.」とデザインスタジオ「STUDEO」が協業して制作した没入型インスタレーション『A-Un』です。この作品は、日本が古来より大切にしてきた互いの気持ちや動きを感じ取り、両者の呼吸が奇跡的にぴったりと合う瞬間を表す「阿吽の呼吸」にインスピレーションを得て制作されました。

空間に突如として出現する高さ3メートル、幅10メートル、奥行き4メートルの巨大な「ブラックバタフライ」形状のスクリーンは、およそ35kmにもおよぶ竹の繊維を手編みすることで制作され、日本の伝統素材と匠の技へのレクサスの敬意が込められています。このインスタレーションでは、来場者が近づくと心拍に呼応し、ユニークな体験が始まります。来場者の心拍と、炎の揺れや波の音といった自然界に見られる心地よいリズムである1/fゆらぎが「ブラックバタフライ」を介して融合する瞬間、来場者は新しい世界を発見し、人と人、人と社会、人と世界が「阿吽の呼吸」でつながっていく時間を体験できるのです。

レクサスが思い描くのは、人が操作して思い通りにクルマが動くだけでなく、人の意思を先読みしてクルマが新たな可能性を提案していく、人と通じ合って移動に新しい可能性を拓く「ネクストモビリティ」の姿です。

野添 剛士 (SIX Inc.)

2013年にクリエイティブカンパニー SIX Inc.を設立。クリエイティブ・ディレクターとして、トヨタGRやレクサスをはじめ、国内外のブランドとともに未知なるコミュニケーション表現やリアル体験を生み出すことに挑戦している。1000台のドローンを使った空間表現や、OK Goと協働したMV「Obsession for smoothness」、成層圏とのリアルタイムインタラクション「Space Balloon Project」など、テクノロジーとの融合で表現領域の拡張に挑むプロジェクトを数多く手掛ける。これまでにカンヌライオンズ金賞、NYフェスティバル金賞を含む100をこえる国際クリエイティブアワードを受賞。SIXとして自社開発するCOTODAMA「Lyric Speaker」も世界44カ国で販売されており商品開発の分野でも独創性が高く評価されている。

URL:https://sixinc.jp/

池澤 樹 (STUDEO)

武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。 2020年クリエイティブスタジオ「STUDEO」設立。 ブランド戦略をアートディレクション起点で、 コンセプト構築・PKGなどの商品デザイン・ロゴデザインから CM・グラフィック・空間デザインなどの コミュニケーションの設計までを一気通貫した世界観で手がける。2018年ニューヨークで個展「BEYOND THE CRAFT」開催、 2024年メキシコ国際ポスタービエンナーレ「The Trio Asia Posters」 展に招待デザイナーとして参加。東京ADC賞、JAGDA新人賞、カンヌ国際クリエイティビティフェスティバル、ONE SHOW、ニューヨークADCなど受賞。東京アートディレクターズクラブ会員、日本グラフィックデザイナー協会会員。

URL:https://www.studeo.co.jp/

「Discover Together」と「LEXUS DESIGN AWARD」再始動

レクサスは、『A-Un』インスタレーションと並行して、革新的なアイデアで次世代を担うクリエイターを発掘・育成・支援してきた国際デザインコンペティション「LEXUS DESIGN AWARD」(LDA)の流れを汲む「Discover Together」を世界初公開しました。この展示では、株式会社バスキュール、ノースイースタン大学、そしてレクサスインハウスデザイナーの3組の気鋭クリエイターが、それぞれのユニークな視点で「ブラックバタフライ」を解釈したインタラクティブ作品を展示しました。株式会社バスキュールの「Earthspective」は、視点の拡張をテーマに、来場者が「ブラックバタフライ」を通じて宇宙空間とつながり、地球を広大な視野で眺める新たな視点を提供しました。ノースイースタン大学の「Our Energy Nexus」は、大気汚染の削減をテーマに、来場者の体温を「ブラックバタフライ」を介してより良い世界を形成するためのエネルギーに変換し、ミラノの汚染レベルをリアルタイムに表示する星の輝きを変化させました。また、レクサスインハウスデザイナーによる「Discover Your Butterfly」は、バタフライ効果にインスパイアされ、一人ひとりの小さな羽ばたきが世界を美しく、大きな変化にしていく様子を描き出しました。さらに、レクサスは2013年から続くLDAを「LEXUS DESIGN AWARD -Discover Together-」と名称を新たに再始動することを発表し、2026年4月のミラノデザインウィークを作品発表の場に見据え、次世代クリエイターとの共創をさらに強化する姿勢を明確にしました。レクサスの国際社長である渡辺剛氏は、「若いブランドとして、私たちは独自のアイデンティティを確立しました。それはクルマだけでなく、特に若いデザイナーとのコラボレーションを通じ、新しい価値を生み出すことです」と述べ、今後の取り組みへの期待を示しました。

株式会社バスキュール(日本)メンバー : (写真左より) 岩渕 智幸、朴 正義、大澤 咲子

バスキュールは、あらゆるデータに潜むリアリティや物語を抽出し、エモーショナルな体験を生み出す東京発のクリエイティブチーム。「DATA-TAINMENT」と名付けた独自の手法を軸に、広告・イベント・スポーツ・アート・都市開発・宇宙と幅広い領域で、誰もが参加できる新たな体験価値の創造に挑んでいる。

URL:https://bascule.co.jp/

ノースイースタン大学(米国)メンバー : (写真左上より) クロエ プロック、パオロ チュッカレッリ、ジャスミン イミン サン、エリザベス マキャフリー

ノースイースタン大学センター・フォー・デザインの責任者であるパオロ・シウッカレリ氏の指揮のもと、クロエ・プロック氏、ジャスミン・イミン・サン氏、エリザベス・マキャフリー氏は、データ可視化、体験設計、創造的実践が交差する広範な領域を探求するデザイナー兼研究者チームを構成している。没入型メディア、計算的データ可視化、UI/UXデザイン、デザインリサーチといった専門知識を活かし、新興技術、人間中心設計、詩的計算の隔たりを解消することで、魅力的で思考を刺激する体験を生み出している。

URL:https://camd.northeastern.edu/center-for-design/

レクサスインハウスデザイナー(日本)メンバー : (写真左より) 高畠 元、田村 ゆり

トヨタ自動車のデザイナーチーム。ブラックバタフライを再解釈し、新たな表現・体験に挑戦。高畠元は、レクサス及びトヨタブランドのモデルから、体験を含めたあらゆるプロダクトを対象に、将来ビジョンやコンセプトを企画している。田村ゆりは、CMFデザイナーとしてキャリアをスタート。現在はジャンルを問わず既存の概念を覆す革新的なデザインを探求し、人間の感情や経験を新たな視点で捉え、多くの人に感動を届けることに力を注いでいる。

未来の体験を創造し続ける姿勢を示したレクサス

レクサスのミラノデザインウィーク2025でのインスタレーションは、単なる車の展示を超え、テクノロジーと人、そして社会が「阿吽の呼吸」で繋がる未来を描きました。次世代「ブラックバタフライ」を中心に据えた作品群や、LEXUS DESIGN AWARDの再始動は、レクサスがクリエイターと共に未来の体験を創造し続ける姿勢を強く示しています。