建築家・前田圭介による自然と共生する空中ダイニングの家「+node」

広島県福山市を拠点に活動する建築設計事務所「UID」代表、建築家・前田圭介は、敷地や自然環境を活かした、独創的な空間構成と素材の魅力を引き出したデザインを得意としています。2012年に完成した「+node」は、緑豊かな山中に位置する、木の箱を重ねたような構成のシンプルな住まい。独特な立地を活かし、自然と一体化した生活空間が目指されました。

森の中に佇む箱形の住まい

Photo : Hiroshi Ueda

この建築は南側に森林、北側に段状の住宅地が広がる環境にあります。

敷地は比較的広く、隣家との間隔が空いているため、プライバシーが確保されていました。この余裕ある敷地条件を活かし、建物は丘の斜面に沿う形で配置され、自然との調和を図られました。

十字に重ねた箱形のフォルム

Photo : Hiroshi Ueda

建築は2つの長方形のボリュームを直角に組み合わせたシンプルな構成で、敷地の地形や周囲の自然環境に馴染むよう配置されています。

Photo : Hiroshi Ueda

外壁には木板が使用され、ナチュラルな風合いが周囲の環境と調和しています。

自然との一体感を生む空間

Photo : Hiroshi Ueda

上階となるボックスの端の玄関から入ると、リビング、キッチン、ダイニングが奥に向かって1直線上に並びます。

Photo : Hiroshi Ueda

内部は、自然光を取り入れる大きな窓や、周囲の景色を楽しめるスペースが設けられ、室内にいながらも外部とのつながりを感じられる設計となっています。

Photo : Hiroshi Ueda

特に、南端に位置するダイニングルームは、斜面から空中に張り出す形で設計されており、まるで宙に浮かんでいるかのような感覚を味わうことができます。

Photo : Hiroshi Ueda

この空間からは、眼下に広がる竹林や周囲の自然を一望でき、四季折々の風景を楽しむことができます。

自然とともに食事をしたり、読書をしたりと、安らぎが感じられるスペースです。

自然を暮らしに取り込む設計

Photo : Hiroshi Ueda

「+node」は、周囲の自然環境を最大限に活かすため、数々の開口部が設けられています。

Photo : Hiroshi Ueda

これにより、鳥や虫の声、風の音が室内に届き、自然との一体感を日常的に感じることができます。

Photo : Hiroshi Ueda

キッチンの手前、上階中央部分に配置されたリビングにも天井まで伸びる大きな開口によって、一日を通して柔らかな光が広がります。

Photo : UID

また上階の東側、下のボックスの屋根部分にはベランダが設けられ、森を眺めながらくつろげる空間に。

Photo : Hiroshi Ueda

下階には居室を配置。壁には合板、床には桜の木を使用した、自然のあたたかみが感じられるリラックス空間です。

自然と調和した生活空間

「+node」は、ところどころに配された開口と自然素材を活かしたデザインにより、周囲の環境と調和した住宅です。特に、空中に張り出したダイニングルームは、自然と一体となる特別な空間として機能しています。自然を日常に取り込んだ、暮らしを豊かに彩る一軒です。