岩手県にある日本を代表する有名建築家の作品8選!黒川紀章によるアンバーホールや辰野金吾の岩手銀行赤レンガ館まで!

本州の北東部に位置し、国内で最も広い面積を有する岩手県。奥羽山脈や北上高地の山々、三陸海岸、世界遺産の中尊寺など、豊かな自然や文化が豊富に存在します。

そんな岩手県の建築は、黒川紀章による「アンバーホール」や、西洋風の赤レンガ造りの「岩手銀行赤レンガ館」など美しい建築作品がたくさん。今回は、岩手県にある有名建築家の作品を10カ所ご紹介します。

1.東日本大震災による犠牲者への追悼を目的とした「高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設」

高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設
Via:Wikipedia

岩手県陸前高田市にある、東日本大震災による犠牲者への追悼などを目的とした「高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設」。全体のデザイン方針の立案やデザイン指導、施設の設計監理統括は、日本の建築家・内藤廣が担当しました。

公園内は「祈りの軸」と「復興の軸」という2つの軸で構成されており、館内は道の駅、東日本大震災津波伝承館が併設されています。津波伝承館と道の駅をつなぐファサードの大屋根は、小さな穴が多数開けられており、穴の数は震災の犠牲者(死者・行方不明者)数と同じ数だけ開けられました。

「祈りの軸」と「復興の軸」が交わる部分には、水を張った水盤があり、屋根の上から入ってくる自然光が水盤を照らす仕組みとなっています。水により津波を想起させる一方で、光によって未来に向けた復興を感じさせ、来訪者の気持ちを鎮めて追悼・鎮魂の場とする工夫がされました。

高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設

住所:〒029-2204 岩手県陸前高田市気仙町土手影180番地
電話番号:0192228911
HP:https://takatamatsubara-park.com/

2.ゴツゴツとした外観が特徴的な「大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール」

大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール
Via:Wikipedia

岩手県大船渡市にある複合文化施設「大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール」。ゴツゴツとした、巨大な岩のような外観が特徴的で、建築家の新居千秋によって手掛けられました。外観だけでなく、内部も複雑な形状のコンクリートが重なり合っており、インパクトの強い建築物として親しまれています。

そしてコンクリートの壁面や仕上げなどには、「穴通し磯」をはじめとした大船渡特有の地域性が表現されています。さらにこの複雑な形は地震の衝撃を小さくする構造になっており、実際に東日本大震災の際には多くの人の避難場所ともなったそうです。

大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール

住所:〒022-0003 岩手県大船渡市盛町下舘下18−1
電話番号:0192264478
HP:https://rias-hall.jp/

3.ヨコミゾマコトが手がけた「釜石市民ホールTETTO」

釜石市民ホールTETTO
Via:Wikipedia

東日本大震災で津波の被害を受けた岩手県釜石市街に再建された「釜石市民ホールTETTO」。被災後の中心市街地に賑わいを取り戻すことが最大の目的として建てられ、市民の文化的活動拠点として、多様な使われ方が想定されました。

大きなガラス屋根が特徴の釜石市民ホールTETTOは、建築家のヨコミゾマコトによって手掛けられ、半屋外の空間は、訪れる人々を大型商業施設から商店街へ誘導する役割を担っています。

さらに大ホールを平土間仕様にすることで、ホールが街と一体化となり、表と裏の区別なく館内を巡ることができる散策路は、自然と市民が集まる空間に仕上がりました。

釜石市民ホールTETTO

住所:〒026-0024 岩手県釜石市大町1丁目1
電話番号:0193222266
HP:http://www.tetto-kamaishi.jp/

4.高さ43mの円錐形が印象的な黒川紀章設計の「アンバーホール」

アンバーホール
Via:Wikipedia

高さ43mの円錐形のエントランホールが印象的な久慈市にあるコンサートホールの「アンバーホール」。建築家の黒川紀章によって設計され、波形の大きな屋根は、太平洋のうねりや、周囲の山並みをイメージしています。

館内は、約1,200席を有する大ホールのほか、小ホールや展示室、視聴覚室などで構成され、上部には28メートルに全面ガラス張りの展望台を配置。展望台からは、久慈市内を360度一望できるほかに久慈海岸の美しい眺めを満喫することができます。

黒川紀章らしい斬新なデザインは、平成17年度の中学生の教科書にも掲載されており、久慈市のランドマークとして親しまれています。

アンバーホール

住所:〒028-0051 岩手県久慈市川崎町17−1
電話番号:0194522700
HP:http://ahall.city.kuji.iwate.jp/

5.レモンイエローの外観が安比高原のランドマーク「ホテル安比グランド」

ホテル安比グランド
Via : Wikipedia.

八幡平市安比高原に佇む「ホテル安比グランド」は、建築家の谷口吉生によって手掛けられ、レモンイエローの外観が特徴的なリゾートホテルです。さらに、黄色の外壁に横連窓が取りいられることによって、縞模様のようになっているのも印象的で、安比高原の雪や緑のアクセントとなっています。

2017年には、ホテルがリニューアル。ホテル内は本館とタワー館の二棟からなっており、地下で繋がっているタワー館は安比高原のランドマークとして親しまれています。そしてホテルの顔ともなるロビーは「まるで美術館のよう」と称され、全国から多くの人々が足を運んでいます。

ホテル安比グランド

住所:〒028-7306 岩手県八幡平市安比高原117−17
電話番号:0195735011
HP:https://www.appi.co.jp/

6.まるで森の中の博物館!仙田満による「御所野縄文博物館」

御所野縄文博物館

岩手県二戸郡一戸町にある「御所野縄文公園」の中にある、「御所野縄文博物館」は、建築家、環境デザイナーの仙田満によって手掛けられました。グッド・デザイン賞や、東北建築賞を受賞しています。

建物は、2 階建ての木材を多用した鉄筋コンクリート造で、公園内にある竪穴建物に因んで土屋根が特徴的です。上空から見ると、周囲の緑と一体化しており、まるで森の中の博物館のような雰囲気を放っています。

博物館内は御所野遺跡から出土した遺物を展示しているほかに、体験工房やミュージアムショップなどが設置されています。

御所野縄文博物館

住所:〒028-5316 岩手県二戸郡一戸町岩舘御所野2
電話番号:0195322652
HP:http://goshono-iseki.com/

7.ウッドデザイン賞をした、古谷誠章の「道の駅たのはた」

道の駅たのはた
Via:Wikipedia

岩手県田野畑村にある「道の駅たのはた」。東日本大震災の被害を大きく受けた田野畑村でしたが、三陸沿岸道路(復興道路)の整備に伴い、震災から10年目に道の駅がリニューアルオープンしました。

曲面屋根の外観が特徴的で、内部は天井の高い開放的な空間が広がっています。腰折れ屋根を参照した屋根は、高さやスパンが異なるアカマツとベイマツ製材のトラス架構で曲面の形状とし、内部は全て木材が使用。木材を多用することにより、来訪者が心地よく過ごせるように工夫されました。

そして大きな庇の軒下空間は、子供から大人まで様々なイベントを楽しむことが可能。2021年度には、ウッドデザイン賞をし、地域内外の人々を迎え入れています。

道の駅たのはた

住所:〒028-8407 岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151‐6
電話番号:0194323555
HP:http://shiinokaze2.com/

8.国の重要文化財に指定された辰野金吾による「岩手銀行赤レンガ館」

岩手銀行赤レンガ館
Via:Wikipedia

東京駅を手掛けた建築家・辰野金吾によって手掛けられた「岩手銀行赤レンガ館」。2012年に銀行としての営業を終了し、保存修理工事を経て2016年に一般公開がされています。

赤レンガがエレガントな印象の威風堂々とした建物で、建築された明治時代、当時の文明開化が進む日本を思わせる造りが特徴的です。

まるで異国のような「岩手銀行赤レンガ館」は、内観も非常に華やかな装飾がされており、国の重要文化財にも指定されています。そして辰野金吾が設計した建築としては、東北地方に唯一残る作品です。

岩手銀行赤レンガ館

住所:〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目2−20
電話番号:0196221236
HP:https://www.iwagin-akarengakan.jp/

岩手県にある日本を代表する有名建築家の作品8選!

岩手県には、日本を代表する建築家の黒川紀章や、辰野金吾など、有名建築家が設計した作品が数多く存在しています。また東日本大震災の被害を受け、町やエリアごとに復興を祈願した建築物、そして新たなまちづくりとして新しい建築物が建てられていることも印象的です。