小大建築設計事務所が運営する一畳十間による、光の陰影が刻の移ろいを知らせる住まい「離れのあるメゾネット」
無印良品やPOLAなどの店舗デザインや、宿泊施設、個人宅の住宅設計まで、日本と上海を中心に幅広いプロジェクトを手掛ける小大建築設計事務所が運営する一畳十間。「日本の心地の良い美がある暮らし」をテーマに活動する彼らが手掛けた「離れのあるメゾネット」は、ワンフロアにまとまったLDKに離れがプラスされた、メゾネットタイプのリノベーション住宅です。
暗がりが落ち着きを演出する玄関
扉を開けると、三和土と縁側のような腰掛けが配された玄関スペースが現れます。階段の影と控えめな間接照明の灯りによって少し暗めに設定された空間には、奥に広がるリビングからの光が差し込み、自然と室内へと足が進みます。
装飾性の少ないシンプルなデザインながら、壁面の珪藻土やなぐり加工による凹凸によって、刻々と移り変わる光の陰影が美しく感じられる玄関です。
窓から覗く木々が穏やかなときを包むリビング
横一面に配された窓から差し込む光が柔らかく空間を満たすリビング。窓越しに広がる木々の風景は、雨の日も晴れの日も、穏やかな時間に彩りを添えます。
玄関から続く縁側をそのままソファのベースとしてリビングに取り込むことで、空間に一直線のラインを設け、すっきりと広々とした印象にまとめています。
一面の窓に加え、円形にくり抜かれた間接照明によってあたたかさのある開放的な雰囲気を持つリビングは、ホームパーティなどのゲストとの集いのシーンにも。賑わいを生み出す空間は新たな出会いをもたらし、豊かな日常へと繋がります。
緩やかな繋がりが心地の良い窓辺の書斎
ダイニング横の窓辺に設けられた書斎スペースは、緩やかに家族の存在を感じながらもインスピレーションを受ける場に。
食事の前後や就寝前など日々の流れの中に本と向き合う空間を溶け込ませることで、新たな学びや家族とのコミュニケーションを生み出す、毎日に発見をもたらしてくれる創造的な場です。
木の質感となだらかな曲線が心地よさを添えるダイニング
家族で食卓を囲む、暮らしの中心となるダイニング。ダイニングテーブルはオリジナルで製作した自邸のテーブルをベースに、天童木工とコラボレーションしたもの。収納スペースを天板下に設けることで、日常的に器を楽しむシーンを作り出すテーブルです。
手に馴染むようなあたたかな木の質感や曲線を持った愛着の湧くインテリアによって、家族の日常に味わいと深みをもたらします。
シンプルながら機能的なキッチン
日々の家族の食事を用意するキッチンは、シンプルながら作業のしやすさにこだわった機能的な空間。
無駄のない家事導線と柔らかな照明によって、日々の作業も心地よく楽しみながら進められます。
毎日にちょっとしたワクワクをプラスする廊下/階段
リビングのソファ横から伸びる階段と、ダイニング奥から続く散策路を寄り道しているようなワクワク感が感じられる廊下が日々の暮らしに遊び心をプラスします。
回遊性のある行き止まりのない通路には歩くことの自由が感じられ、その時々の季節や時間、心情によって新しい景色の広がりに出会えます。
柔らかな灯りに包まれリフレッシュできる離れ
階段を進んだ2階に広がる離れは、障子で仕切られた自分と向き合うための集中力・没入感が得られる空間です。
フローリングに畳を組み合わせた部屋には爽やかな光が広がり、新しい気持ちへと切り替えてくれます。
淡いトーンでまとめられたソフトモダンな雰囲気の中にも、どこか懐かしさを感じさせる余白の空間です。
夜には間接照明による柔らかい灯りによって、落ち着きのある空間に。客間としておもてなしにも活用できるスペースです。
1日の始まりと終わりを豊かなものにする寝室
和室横に配置されたコンパクトな寝室。日々差し込む朝日が心地よく1日の始まりを告げます。
就寝前には眠りに向き合う時間に静寂を添える、夜のひと時を楽しむ空間です。
柔らかな灯りが落ち着きを与えるバスルーム
柔らかな灯りが空間を満たすバスルーム。香りの余韻が残るような落ち着きのあるスペースは、緊張を解き放ち、心身を整える、まさに一日の終わりにリラックスするための場です。
和の設えが心地よい空間
柔らかな光の陰影と自然素材の質感があたたかな印象を添える「離れのあるメゾネット」。日々の暮らしにささやかながら豊かな瞬間を生み出す和の設えの数々が、日常に彩りを添える住まいです。