【建築家に聞く10のアイディア】外部と住まいをつなぐ重要なポイント”こだわりの玄関アプローチ”
パブリックな空間とプライベートな住まいを結びつける役割を持つ玄関アプローチ。玄関は人目につきやすい場所のため、アプローチをカーブさせたり、門壁や樹木によって視線を遮るなど、防犯の役割を持たせることを優先する傾向があります。しかし、住まう人が毎日利用する玄関アプローチだからこそ、家族の心地よさを軸に据えると、その役割も変わってきます。たとえば、リラックスできる我が家へ誘われる「至福の通路」だったり、外での緊張感や疲れをときほぐす「癒しの通路」だったり、家族にとっての玄関アプローチの存在を捉え直すことで、デザインの方向性が見えてきます。
気持ちの切り替えができる長いアプローチ
利便性を度外視し、あえてアプローチの距離を長くとるという発想もそのひとつ。距離が長い分、外で起きた出来事を整理し、帰宅の幸せをかみしめる、気持ちのオンとオフの切り替えができる時間を十分確保できます。たとえ敷地に余裕がなくても、家の周りを囲むようにアプローチをつくることも可能です。アプローチにあえて高低差をつけると、段差を歩くという行為により、「帰ってきた」という安堵感を生み出す効果をが期待できます。
降雪地域では重宝する屋根付きアプローチ
北海道や東北地方など、冬の降雪量が多い地域では、屋根のあるアプローチがおすすめ。玄関前まで繋がる屋根材があることで、雪や雨などの天候に左右されず外出、帰宅をスムーズに行うことができ、日々のストレスを軽減できます。
また、外からは見えないガレージの奥に玄関を設けることで、道路に面した位置でもプライバシーを守ることができます。
間接照明でムードを演出したアプローチ
こちらの住宅ではアプローチの段差に間接照明を設けることで、旅館のような落ち着きを演出しています。
外観も窓を設けず、足元の開口のみとすることで、内側から漏れる光と合わさり玄関扉へと導かれるような動線となっています。
住宅との統一感も大切なポイント
住宅外観とアプローチ、それぞれのデザインが素敵でも、お互いのテイストが合っていないと違和感のある印象となってしまいます。玄関アプローチのデザインを考えるときは、素材や住宅の外観と調和するかを検討することも大切なポイントです。