ザハ・ハディドによる斬新なコンバージョンが目を惹く「サーペンタイン・サックラー・ギャラリー」
ロンドン、中心部のケンジントン・ガーデンズ付近に、弾薬庫を改装したギャラリーがある。曲線の女王と呼ばれた女性建築家である、ザハ・ハディドが、1963年まで軍事利用されていた倉庫を増改築し、面白い建築へとコンバージョンさせたサーペンタイン・サックラー・ギャラリー。
弾薬庫を増改築した「サーペンタイン・サックラー・ギャラリー」
ロンドン中心部、市民の憩いの場所となっている広大なケンジントン公園に、ザハ・ハディドにより弾薬庫を増改築されたサーペンタイン・サックラー・ギャラリーがある。スタイリッシュな外観だが、どこか歴史を感じるような温かさも感じとることができる。
中に立ち入ると、平面が真四角の展示空間で、あちこちへ遊覧できる白を基調としたニュートラルな空間が待っていた。主にファッション、ファッションに近い内容の展示品がされているようでシンプルな構造であるため、展示品の邪魔をしないデザインとなっている。
中央には、既存のレンガ造の倉庫を生かした展示スペースがある。天井は三角天井となっており、優しい照明と、レンガの温かみを感じられるこのレトロ調の空間は、柔らかさを感じ雰囲気が良い。
躍動感のあるザハ・ハディドらしいデザイン、「ザ・マガジン」
弾薬庫だった倉庫の側には、流線型のデザインで躍動感のある「ザ・マガジン」というカフェがある。
白を基調とし、テント構造となっている。どろっとした液体を形状記憶したような屋根がユニークであり、鳥が羽ばたいているようにも見える。この動きのある外観が、いかにもザハ・ハディドらしい設計だ。
中に入ると、トップライトから、柔らかな自然光が差し込むようになっている。テーブルに置かれる料理を、ロマンチックに自然光が照らすのであろう。展示用照明環境を創出しており、有機的な曲面の屋根に包まれる不思議な宇宙のような空間である。
天井から壁へと滑らかにうつり変わるデザインと同じように、カウンターなどの什器も流線型で統一されているのだ。どこを見渡しても、緩やかなカーブでつくられている設計は、安らぎを感じ、心地良いスペースとなっている。
曲線で描かれる大きなガラスの窓からは、自然光が程よく差し込み、リラックスできるカフェ。日本酒や日本の要素を取り入れたアフターヌーンティーが人気のようだ。
Serpentine Sackler Gallery – サーペンタイン・サックラー・ギャラリー
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日
電話:+44 20 7402 6075
URL : https://www.serpentinegalleries.org
住所:W Carriage Dr, London W2 2AR UK
近現代アートを展示する「サーペンタイン・ギャラリー」
サーペンタイン・サックラー・ギャラリーから徒歩で、サーペンタイン・ギャラリーへ。このサーペンタイン・ギャラリーは、公的資金や、宝くじの収益による援助、スポンサーや、寄付金により、入場料無料の小さな美術館。建物は、喫茶店兼東屋を再利用したもので、外観も当時のままである。
2000年より毎年夏季限定で、有名建築家が作り上げる展示館となっている。夏限定の仮設建築だけに制約が少なく、建築家たちは、自由な発想で、遊び心たっぷりの作品を創りだすのだ。日本人の伊東豊雄は、これがきっかけで海外での注目が広がった。ワンシーズンだけ拝見できる、注目建築家たちのパビリオンに、今後も楽しみだ。
弾薬庫をコンバージョンした、サーペンタイン・サックラー・ギャラリーも、喫茶店兼東屋を再利用した、サーペンタイン・ギャラリーも面白い展示をしているし、既存の建物から、造形美へと変化させることに感動を覚える。そして、曲線美の際立つ建築を得意とするザハ・ハディド。角が一つも見当たらない彼女のデザインは、まさに不思議空間で、SF映画の世界に入り込んだ感覚になるのだ。
Serpentine Gallery – サーペンタイン・ギャラリー
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日
電話:+44 20 7402 6075
URL : https://www.serpentinegalleries.org
住所:Kensington Gardens, London W2 3XA UK