伸びやかに波打つ造形が印象的なヘルシンキ中央図書館「Oodi(オーディ)」の公園みたいな空間

2018年の12月5日にオープンしたフィンランド・ヘルシンキにある図書館「Oodi」。2019年度の「Public Library of the Year(公共図書館オブ・ザ・イヤー)」にも選ばれた、今大注目を集める新しいフィンランドのランドマークだ。「図書館利用率が高い国」としても知られるフィンランドで最新の図書館建築の形とは一体?

伸びやかに波打つ造形が印象的なヘルシンキ中央図書館「Oodi(オーディ)」

建物が波打つような曲線が印象的なOodiの外観。白い氷山のようにも見えるガラス張りの上部と、木を使い滑らかな曲線で描く下部との「対照的なコントラスト」が美しい。

ファサードは木を使った曲線がピロティのようになっており、緩やかに人々を内部へ誘導する。外観からはフロアの境界線がなく、波打って伸びるような容姿は「図書館建築」の概念をいい意味で覆している。

コンセプトは「市民の交流のためのリビングルーム」

図書館としての機能だけでなく、さまざな設備や施設が備わるOodi。コンセプトの「市民の交流のためのリビングルーム」にあるように、空間の中で「人々が憩う」姿を多く見かける。

ヘルシンキを拠点に活動する「ALAアーキテクツ」がデザイン

フィンランド独立100周年を記念し、国の公式メインプロジェクトの一つとして2018年の12月5日にオープンした中央図書館「Oodi」。ここは、ヘルシンキを拠点に活動する「ALAアーキテクツ」によって設計された。

国際図書館連盟(IFLA)が2019年度の「Public Library of the Year(公共図書館オブ・ザ・イヤー)」に選んだことでも世界から注目を浴びたヘルシンキ中央図書館「Oodi」。Oodiとは「頌歌・讃歌」を意味し、フィンランドの文化、読書、言論表現の自由、平等、民主主義への頌歌・讃歌を表現する想いが込められている。

Oodiに備わるのは、通常の図書館としての機能だけではない。ゲーム機や3Dプリンターの貸し出し、ワークショップスペースやカフェなど一般的な図書館の枠組みを超えた施設や設備が備わる「新しい図書館の形」としても話題を集めている。

フィンランドらしいワークショップスペースが魅力的な2階のスペース

ガラス張りの大きな壁面を持つ1階や3階と対比し、自然光が入らない設計の2階フロアは、まるで地下の秘密基地へ潜ったような落ち着きがある。

このフロアは市民が自由に使えるワークショップスペースになっている。老若男女が軽やかに交わすワークショップのカタチからは、「教育レベルが高い」と言われるフィンランドらしい文化を実際に感じられて楽しい。

色々なアクティビティが同じフロアに展開する3階

波打つ天井が空間全体を包む3階フロアは「Book Heaven」と記される通り、柔らかな自然光がたっぷりと降り注ぎ、木の温もりが心地のよい、明るく爽やかな雰囲気が広がる。

約10万冊の蔵書を背の低い本棚で並べることで見通しが良く、ガラスのカーテンウォールから入る自然光を邪魔しない。

「本を納める場所」としてでなく「本を読む場所」として機能設計された空間。そこには、様々な読書時間が自由に広がる。斜面になっているスラブでそのまま座って過ごす人も多く、開放的でフリーダムな空間は、室内にいながらも「公園のようなスペース使い」が魅力的だ。

人々が心地よく憩う情景は、これぞ「街のリビング」。正に「図書館」という場所が、市民の交流のためのリビングルームとして機能していた。

 

ここヘルシンキ中央図書館(オーディ)は、読書の習慣や教育水準の高いフィンランドを感じられるだけでなく、フィンランドの文化や思考を「Oodi(頌歌・讃歌)」できるスポットだ。

Helsinki central library Oodi – ヘルシンキ中央図書館(オーディ)

開館時間:8:00~22:00(土・日曜日10:00~20:00)
URL : https://www.oodihelsinki.fi
住所:Töölönlahdenkatu 4, 00100 Helsinki, Finland