「casa cube(カーサ・キューブ)」は「窓」を再定義した革命的な住宅だ。

正面に窓のない白く四角い住宅「casa cube(カーサ・キューブ)」が誕生してから約10年が経つ。アップデートを繰り返しながらも10年経過しても変わらないその姿は、今見ても新しく感じる。その理由の一つが「窓」を再定義したことが挙げられるだろう。

都市型住宅では景色を眺める窓を諦める

「窓」の主な機能の一つに「景色を眺める」があるが、casa cube では完全にこれを切り捨てて諦めている。そもそも住宅密集地などでは、窓を開けても周囲の建物の壁が迫っていて、良い眺めなど望めないのだ。

これにより、シンプルでモダンな外観のデザインになり、通常開口部から起こる雨垂れなどの壁面の汚れもなくなり、いつまでもそのユニークな外観を保つことができる。

光を取り入れるのはトップライト(天窓)から

主な壁面に「窓」の設置をやめたとしても、casa cubeではトップライト(天窓)から光を取り入れられるようになっている。これにより、壁面に設置される窓よりも約3倍の明るさを確保することができ、より明るい内部空間になっている。

また、住宅密集地の中で壁面に窓を設置した場合、プライバシーを確保することが難しく、周囲の建物を気にしてカーテンが閉めっぱなしになる家庭は多い。そうなると光を取り入れることもなく、一日中照明の中で暮らすことになるので本末転倒である。

やはり採光は壁面より天井から取った方が良さそうだ。

スリット窓で防犯性を高める

現在、建築基準法で24時間換気が義務付けられていて、室内には新鮮な空気が循環するようになっている。窓を開けずとも空気が入れ替えられるようになったので、換気のための窓は要らない。結果、泥棒などの侵入者が家の中に入って来られないようにするためにも壁面に大きな窓は必要ないのだ。

casa cube には有効開口幅11.3cmの細長いスリット窓が設置してあり、人が侵入できないし、外から中の様子を伺うことも難しいので防犯性が高い。安全でプライバシーも守れるようになっている。

大きな窓がないことはメリットがいっぱい

他にも大きな窓がないことは、壁面に窓がないことで外壁だけで構造的に強くなり、大きなガラスを使用しないのでコストダウンや断熱性能がアップするなどメリットがいっぱい出てくるのだ。

 

このように都市型住宅の「窓」は、「採光を取る」というシンプルなコンセプトとして定義される。「casa cube(カーサ・キューブ)」は、「窓」を再定義した革命的な住宅である。