ル・コルビュジエと女性建築家の愛憎劇「コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」が10月14日公開。
国立西洋美術館などとともに世界遺産にも登録された近代建築の巨匠ル・コルビュジエによる「カップ・マルタンの休暇小屋」。自身と妻も過ごしたその小屋は、レストラン「Etoile de Mer」の敷地内にあるが、その一角にル・コルビュジエがリビングのように使っていたヴィラがある。
その海辺のヴィラ「E.1027」は、アイルランド出身の女性建築家・インテリアデザイナーのアイリーン・グレイによってデザインされた傑作として近年注目を集めている。
ル・コルビュジエとアイリーン・グレイの愛憎劇
https://www.youtube.com/watch?v=xDWjvPXz8MA
ル・コルビュジエのLCシリーズとともにアイリーンによるヴィラと同名のサイドテーブルなどが有名だが、このヴィラは長年ル・コルビュジエのデザインと言われていて、ル・コルビュジエ自身も否定をしなかった。そのため、アイリーン・グレイの存在は、長い間歴史の影に隠れてきた。劇中では、アイリーンの類稀なる才能に対する、ル・ コルビュジエの隠された嫉妬と欲望の眼差しと、知られざる愛憎劇の物語が描かれる。
近年注目が集まるアイリーン・グレイの作品
近年アイリーン・グレイの注目度は非常に高まっている。アイリーンは若い頃に当時フランスに滞在していた工芸家・菅原精造から漆工芸を学んでいて、日本の美意識とも通じるデザインを身につけていたとも言われている。アール・デコとモダニズムの過渡期にデビューしたアイリーンの作品は、モダンでありながら微妙に装飾的なデザインを施されていて、そこが近年改めて人気を集める要素の一つとなっている。
この「ビベンダムチェア」は、タイヤを積み重ねたようなユーモアあるフォルムが丸みを帯びていてどこか女性的なデザインだ。「ビベンダム」とはタイヤメーカー・ミシュランのキャラクターである。
ヴィラのためにデザインされ、ヴィラと同名のサイドテーブル「E.1027」はコルビュジュエのLCシリーズとともに目にしたことのある人も多いはず。実際に使うときの機能性を重視しつつ、どこかアール・デコの雰囲気を残した機能美を追求した作品になっている。
この映画でアイリーン・グレイのことを改めて知ることができるとともに、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの知られざる一面を覗くことができるはず。
The Price of Desire – コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ
公開 : 10月14日(土) Bunkamuraル・シネマほか、全国順次公開
監督・脚本:メアリー・マクガキアン
出演:オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、アラニス・モリセット
配給:トランスフォーマー
2014年 / ベルギー・アイルランド / 英語 / 108分 / カラー / シネスコ / 5.1ch (c) 2014 EG Film Productions / Saga Film