懐かいけどモダンなcasa amare。木の風情が癒しを与えてくれる家
黒い板張りの壁、三角の切妻屋根のその家は、斬新なようでどこか懐かしさを漂わせていた。富山県の住宅地に建つ岡本家は、「日本の伝統美を手本にした受け継がれる家」をコンセプとするcasa amareの家だ。じつにシンプルな平屋建てに見えるこの家の中には、どんな空間が広がっているのか。見せてもらった。
黒い板張りの壁と大きな三角窓がシンボル
日本の住宅に古くから伝わる切妻屋根、障子、土間、縁側などの様式を取り入れながら、現代的な機能性をプラスしたcasa amareは、外壁の黒い木の壁が特徴的だ。
無駄のないデザインは、昔ながらの日本家屋の風情を持ちながら、斬新さも同居し、富山県の住宅地の風景によく溶け込んでいる。
casa amareのもうひとつの大きな特徴である三角窓も目を引く。岡本さん夫婦にとっても、この三角窓はこの家で一番のお気に入りなのだとか。「夜になるとこの窓から星空がよく見えてすごくきれいなんです。それに、夜はこの窓からの光で外壁がぼんやりと浮かび上がって、外から見たときもいい雰囲気なんですよ。」と奥さまの久代さん。
道行く人が、ときどき家の前で立ち止まって見上げていることもあるというこの三角窓は岡本家のシンボルと言えるだろう。
リビングに満ちた木の香りに癒される
1階は、玄関の扉を開けると、目の前に2階へと続く階段があり、その奥に横長に15帖はある広々したリビングダイニングが広がっている。リビング、ダイニングとも大きな掃出し窓があり、明るさも十分。そして、なによりも部屋に入ると、すがすがしい木の香りが部屋中に満ちていることに驚かされる。
「うちに遊びに来た人は、みんな木の香りがいいね、と言われます。私も、夜、家に帰ってきたときに、この香りに癒されています。」とご主人の裕次さんは言う。
広々としたリビングの床は、柔らかい無垢の杉材を使用。壁は、臭いも湿気も吸ってくれる。一見、シンプルながら、快適に長く住み続けられるだけの機能性を備えた家なのだ。
玄関からの吹き抜けを見上げると見えるむきだしの梁や棟木に風情がある
玄関の目の前にある階段の上は吹き抜け構造になっていて、階下からも2階が見える。外から見ると平屋に見えるcasa amareだが、じつは2階がある。岡本家の場合は、12帖のベッドルーム、6帖のクローゼット、11帖のホールが2階部分にあるのだ。
下から2階を見上げると、太い梁や棟木などの構造材がむきだしになっていて、昔ながらの日本家屋を彷彿とさせる。そして、その素材感がこの家にぬくもりを与えてくれている。まだ建って半年の岡本家は、ぴかぴかの新築なのだが、どこか懐かしい雰囲気が漂うのは、香りや見た目など、そこここに木の存在感があるからだろう。
斜めになった天井が屋根裏風の2階には隠れ家のような楽しさがある
2階の部屋は、三角窓の部分にあたるので天井は低めで、斜めになっているが、この屋根裏のような造りが、隠れ家のようでわくわくするし、妙に落ち着ける。
岡本さん夫婦は、このホールを音楽や映画を鑑賞するスペースとして使っているそうだが、じつは昼寝にも絶好の場所なのだとか。大きな三角窓と天窓から射し込む陽射しを浴びながら、ここでうとうとする。それは想像しただけでも、最高にくつろげる時間なのがわかる。
天窓の真下に、ベッドにもなりそうな大きなソファが置かれているが、ここがおそらく昼寝の指定席なのだろう。
朝日が射しこみ、自然に目が覚める寝室
「平屋でも2階建てでもないコンパクトな間取りが、自分たちが2人で住むのにはぴったりだな、と一目ぼれでした。」という裕次さん。
外観もとても気に入って、建てると決めたら、土地もとんとん拍子に見つかり、巡りあわせを感じたそうだが、裕次さんは「多分、インパクトのある家、がほしかったんだと思います。」と言う。
道行く人も立ち止まって見ているというこの家は、まさに裕次さんの理想通りの家となったが、いざ住んでみるとその心地よさに癒されることが多いそうだ。
2階の奥にある寝室もそうだ。低めの天井で窓の多いこの寝室は、落ち着いて眠りに入ることができ、さらには朝になれば、自然な朝日が射し込んでくる。その光で爽やかに目覚めることができた朝は、活力もわいてくる。
岡本さん夫婦にとって、この家は、故郷のような温かみをもって迎えてくれるくつろぎの場なのだろう。
「今は家の周りには植木も花も植えていないんですが、いずれは木陰のできるような大きな木も植えたいし、秋には家の周りにコスモスをたくさん咲かせたいんです。」と久代さんは夢を語ってくれた。
この家は、これから長い年月をかけて岡本さん夫婦が彩りを加え、様々な表情を見せる家に育っていくに違いない。