丘の上に佇む北欧の建築家アルヴァ・アアルトの「マウントエンジェル修道院図書館」

ポートランドから1時間ほど車を走らせるとたどり着く、小さな街に北欧建築の巨匠アルヴァ・アアルトの建築がある。150人程が在籍する神学校の中に作られた「マウントエンジェル修道院図書館」である。北欧のような針葉樹の木々を抜けた丘の上にひっそりとその建築は佇んでいた。

丘に埋没した建築

マウントエンジェル修道院図書館は、エントランスのある地上から見ると平屋のヴォリュームを抑えた外観。

丘に埋没するように建てられているので中に入ると地下に向かって空間が広がるように作られている。周囲の木々よりも背の低い建築であるため素朴な印象。

北欧を感じる豊かな室内風景

エントランスを入ると天井高が抑えられたホールがあり、正面がメインのスペース、脇には小さなレクチャールームがある。

さりげなくアルヴァ・アアルトがデザインしたワゴンとグラスが飾ってある。

レクチャールームは木を使った温かみのあるデザインで、天井と壁には木の吸音材が有機的な形で設置され、やはり北欧を感じるものになっていた。家具はもちろんアアルトがデザインしたものが配置されている。

柔らかな光に包まれる空間

エントランスから同じ天井高で連続するライブラリースペース。レセプションを抜けると室内風景が一変する。

丘の地形に合わせて地下に向かって円形の平面がスキップフロアのように繋がる空間は、トップライトから注ぐ柔らかな光に包まれる。有機的な形態を好むアアルトらしくどこか優しさを感じる。

最も下の階にも柔らかい光が届く。

各階の奥にはハイサイドライトが設けられ、ここからも自然光が空間を優しく包む。丸みを帯びたアアルトのデザインした家具で作られた1人用のスペースが映える。

至るところにアアルトの家具や円形をモチーフにした照明が施されている。

 

「マウントエンジェル修道院図書館」は、北欧建築の巨匠アルヴァ・アアルトの丸みを帯びた有機的なデザインが見事で優しい室内風景を作り出していた。特に円形のスキップフロアにトップライトから注ぐ自然光が満ちていく空間は北欧的な居心地の良さを感じる。

最もアメリカらしくない都市ポートランドに近いこともあると思うが、マウントエンジェル修道院の神学校自体がどこかヨーロッパ的な雰囲気だからだろうか、良い意味でアメリカらしくない建築だ。

Mt Angel Seminary – マウントエンジェル修道院図書館

電話:+1 503-845-3030
URL : https://www.mountangelabbey.org
住所:1 Abbey Dr, St Benedict, OR 97373, USA