コクヨが運営するシェア型オフィス「MOV KURAMAE」がYOHAK DESIGN STUDIOのデザインで蔵前にオープン!
東京都台東区・蔵前に、コクヨが手がける新しいシェア型オフィス「MOV KURAMAE(モヴ クラマエ)」がオープンしました。2025年3月に取得した築28年の一棟空きビルを、コクヨが自社で全面リノベーションし、2026年4月より運営を開始したこの施設は、単なる賃貸オフィスではなく、人と人、人と街、仕事と暮らしを近づける新しい働く場として構想されています。蔵前という街が持つ、ものづくりやローカルな営みの空気と呼応しながら、働くことそのものを街の魅力と結びつけようとする試みは、これからの都市型ワークプレイスのあり方を考えるうえでも興味深いものです。
蔵前という街にひらかれた、新しい“まちとはたらく”オフィス

「MOV KURAMAE」の大きな特徴は、一般的なオフィス街ではなく、暮らしの延長線上にある蔵前を舞台にしている点です。公式には、この場所を“まちとはたらく”シェア型オフィスと位置づけ、蔵前の新しいライフスタイルを提案する拠点として紹介しています。蔵前は近年、ものづくり系のショップや感度の高い飲食店の出店が相次ぎ、東京のなかでも独自の文化的な厚みをもつエリアとして注目を集めてきました。そうした街の空気を背景に、働く場所もまた画一的な箱ではなく、街との接点をもった場へと変えていく。その発想が、「MOV KURAMAE」の根底に流れています。
コクヨはこの施設を、不動産の取得から企画、リノベーション、運営までを自社で一貫して行う「不動産再生事業」の第1号案件と位置づけています。既存ストックを活かしながら新しい価値をつくり出すという点でも、「MOV KURAMAE」は単なる新築オフィスとは異なる意味を持っています。古いビルを解体して更新するのではなく、既存建物を読み替え、現代の働き方や都市のニーズに合わせて再生していく姿勢には、サステナブルな都市再編の視点も感じられます。働く場づくりのノウハウを蓄積してきたコクヨだからこそ実現できた、ハードとソフトの両面を含む再編集のプロジェクトといえるでしょう。
多様な働き方に応える、選べる専有部と共用空間

施設は8階建てのオフィスビルをリノベーションした構成で、専有部には4席から13席までの完全個室、1〜2名向けのセミオープン型個室、鍵付きの1名席、デスクプラン、さらにフリーデスクプランまで、規模や働き方に応じて選べる複数のプランが用意されています。

家具付きで入居後すぐに使い始められることも特徴で、水道光熱費やWi-Fi、ドリンク・スナックなどが利用料金に含まれるプランも整えられています。スタートアップや小規模チーム、プロジェクト単位の拠点づくり、あるいは地方企業の東京拠点としても使いやすい設計になっており、固定化された従来型オフィスとは異なる柔軟さを備えています。

共用部の充実も見逃せません。2階には入居企業が自由に使える広々としたラウンジ「MOV LOUNGE」が設けられ、ダイニング機能も備えています。さらに、シンク付きカウンターやバルコニー、TVを備えた会議室「KURA-MA」、雰囲気を変えた打合せや来客対応に使える「TATAMI」、急な来客やカジュアルな打合せに対応する「SOFA」、そして個室でオンライン会議ができる「WEB ROOM」を12室完備するなど、働く場に求められるシーンの多様化に細やかに応える構成となっています。日常業務はもちろん、プレゼンテーションや会食を含むフォーマルな場面、ゲストを招く場面まで想定されている点に、この施設の懐の深さがあります。
YOHAK DESIGN STUDIOによるロゴと空間の世界観

今回の施設では、ロゴデザインをYOHAK DESIGN STUDIOが担当しています。プレスリリースによれば、「MOV KURAMAE」のロゴは、この場所で行われる活動が蔵前の地の上で広がっていくこと、そして“M”“O”“V”の一文字一文字を人や活動そのものとして捉えたとき、多様な動きの集合体が互いに影響し合いながら豊かな場を形成していくことを表現したものです。単に施設名を示すサインとしてではなく、そこで起こる関係性や広がり方そのものを視覚化しようとしている点に、このプロジェクトらしさが表れています。

また、エントランスにはモーションロゴが実際に物理的に動くモニュメントも設置されており、その設計・制作は同じ台東区エリアに拠点を構えるエンジニアリングスタジオが担当しています。こうした演出からも、「MOV KURAMAE」が単に効率性や機能性だけを追求したオフィスではなく、創造性や街とのつながりを体験として感じさせる場を目指していることが伝わってきます。蔵前という、感度の高いものづくり文化が息づくエリアにふさわしく、デザインが表層の装飾としてではなく、場の思想を伝える装置として組み込まれている点が印象的です。
コクヨが示す、これからの都市型ワークプレイス

「MOV KURAMAE」は、コクヨが長年培ってきた“働く空間づくり”の知見を、家具やオフィスレイアウトの提供にとどまらず、ビル再生と運営まで含めた総合的な場づくりへと拡張したプロジェクトでもあります。「蔵前に、働く楽しさを。」というメッセージが掲げられていますが、その言葉どおり、この場所が目指しているのは効率だけを追うワークスペースではありません。

街の空気に触れながら、チームで集い、時にはゲストを招き、働くことが日常や文化と緩やかにつながっていく。そんな新しい働き方の輪郭が、この施設には込められています。

テレワークや分散型勤務が広がるなかで、これからのオフィスには、単に席を確保するだけではない意味が求められています。人が集まる理由をどうつくるか、働くことにどんな体験価値を与えられるか、そして都市のなかでどのように街と接続するか。その問いに対して、「MOV KURAMAE」は蔵前という場所性を生かしながら、一つの具体的な答えを提示しています。オフィスを借りるのではなく、街とともに働く場所を選ぶ。そんな発想を自然に受け入れられる人にとって、この新しいシェア型オフィスは大きな魅力を持つはずです。
都市の文化や日常と接続する「MOV KURAMAE」
コクヨが運営する「MOV KURAMAE」は、築28年のビルを再生したシェア型オフィスであると同時に、蔵前という街の魅力を働く環境に取り込んだ新しいワークプレイスでもあります。選べる専有部と多彩な共用空間、YOHAK DESIGN STUDIOによるロゴデザイン、そして街との関係性を意識したコンセプトによって、この施設は単なるオフィス以上の存在感を放っています。働く場所が、企業活動の器ではなく、都市の文化や日常と接続するメディアへと変わりつつある今、「MOV KURAMAE」はその変化を象徴する場のひとつとして注目したいプロジェクトです。
MOV KURAMAE(モヴ クラマエ)
URL:https://mov-kuramae.kokuyo.com/
所在地:〒111-0051 東京都台東区蔵前1丁目4-1
アクセス:JR 浅草橋駅より徒歩6分 都営浅草線浅草橋駅より徒歩4分・蔵前駅より徒歩5分