山翠舎のグローバルブランド「SANSUI」ミラノデザインウィーク2026でデザインの聖地「Galleria Rossana Orlandi」に初進出!

日本の古民家から生まれた古木が、世界のデザインシーンへと新たなかたちで広がろうとしています。株式会社山翠舎が展開するグローバルブランド「SANSUI」は、ミラノデザインウィーク2026に合わせて、イタリア・ミラノの名門ギャラリー「Galleria Rossana Orlandi」で個展を開催します。会場で発表されるのは、イタリア人デザイナー Roberto Sironi氏との協業による展示「FUTURE MEMORIES」。古民家から取り出された古木を素材に、人と自然の関係、時間の蓄積、そして記憶のかたちを現代のデザインとして立ち上げる試みです。日本の古材文化を、単なる素材の再利用ではなく、思想と美意識を伴った表現として世界へ提示する展示として注目を集めそうです。

古民家の古木を、現代のデザインとして世界へひらく

山翠舎は、古民家の解体や移築、再生を通じて、長年にわたり日本の木造建築文化と向き合ってきた会社です。その中で見出されてきたのが、長い時間を生きてきた木材が持つ固有の風合いや、そこに刻まれた痕跡の価値でした。SANSUIは、そうした古木の魅力を国内にとどめるのではなく、現代の空間やプロダクトの文脈の中で再編集し、世界へ発信していくためのグローバルブランドとして位置づけられています。

古木には、新材にはない強さや深みがあります。経年によって生まれた色の揺らぎや、表面に残る傷、手仕事の跡、そして空間の中で長く使われてきた記憶。それらは単なる古さではなく、時間そのものが与えた豊かさともいえます。SANSUIが目指しているのは、そうした古木の価値をノスタルジーとして見せることではなく、現代のデザインの中で新しい存在感へと変換することにあるようです。今回のミラノでの展示は、その考え方を国際的な舞台で示す大きな機会になりそうです。

個展「FUTURE MEMORIES」が描く、記憶と物質のあいだ

積み重ねた時や釿(ちょうな)の痕をたたえる梁材

今回の展示タイトルは「FUTURE MEMORIES」。未来と記憶という、一見すると対照的にも思える言葉が組み合わされたこの名称には、古木という素材の本質がよく表れています。古木は過去を内包しながら、同時に新しい空間や新しい使い方の中で未来へと開かれていく素材です。かつて家の梁や柱として人の暮らしを支えてきた木が、役割を終えたあとも別のかたちで命をつなぎ、新たな価値として再び人の前に現れる。その循環の中に、単なるリサイクルでは語れない文化的な奥行きがあります。

展示では、古民家の古木を用いた8点のアートピースが発表されます。展示空間は93㎡。大きすぎず、小さすぎないこのスケールの中で、古木という素材が持つ存在感や、作品としての緊張感がどのように立ち上がるのかも見どころのひとつです。素材そのものの力を見せるだけではなく、空間の中でどう呼吸し、どう人と向き合うかまで含めて構成されることで、展示全体がひとつの体験として成立していくはずです。

ロベルト・シローニとの協業が生み出す新しい視点

Galleria Rossana Orlandiにて初公開されるFUTURE MEMORIESシリーズ

今回の個展は、イタリア人デザイナー・ロベルト・シローニとの協業によって実現します。異なる文化的背景を持つ者同士が、古木という日本固有の素材を介してひとつの展示をつくり上げることには大きな意味があります。古民家の木材に宿る歴史や、日本の木造建築に流れてきた思想を、そのまま保存するのではなく、現代デザインの視点で読み替えることで、より普遍的な価値として共有できる可能性が生まれます。

日本の素材を海外で見せるとき、しばしば“日本らしさ”がわかりやすい記号として消費されてしまうことがあります。しかし今回の展示が目指しているのは、そうした表層的な和の演出ではないように思えます。古木の表情や質感、そこに刻まれた時間、そして自然とともに生きてきた日本の住まいの思想を、現代のデザイン言語の中でどう立ち上げるか。Roberto Sironi氏との協業には、その翻訳のプロセスが含まれているように感じられます。

Galleria Rossana Orlandiという舞台が持つ意味

会場となるGalleria Rossana Orlandiは、世界の現代デザインを語るうえで欠かせない存在として知られています。新しい才能や実験的な表現を積極的に紹介してきたこの場所は、いわばデザインの感度がもっとも高く集まる場のひとつです。そうしたギャラリーにSANSUIが初めて進出することは、単なる海外展示以上の意味を持っています。日本の古木文化が、工芸や伝統の文脈だけではなく、同時代のデザインとして真正面から評価される場に立つということでもあるからです。

ミラノデザインウィークは、毎年世界中の建築家やデザイナー、ギャラリスト、メディアが集まり、デザインの現在地とこれからを探る場として機能しています。その中でもGalleria Rossana Orlandiは、商業性と実験性、芸術性と市場性が交差する象徴的な拠点です。そこに日本の古木を持ち込み、個展というかたちで提案する今回の試みは、SANSUIの表現が単なる素材紹介ではなく、明確な思想を持ったデザイン提案であることを印象づけます。

サステナブルの先にある、文化をつなぐデザイン

古材や再生素材を用いたものづくりは、近年のデザインや建築において重要なテーマのひとつになっています。ただし、素材を再利用するという行為だけでは、真に豊かな循環は生まれません。そこにどんな価値を見出し、どう次の時代へ手渡すのか。その視点があってはじめて、再生は文化としての意味を持ちはじめます。SANSUIが古木を扱う姿勢には、まさにその意識が流れています。

古民家の木材は、過去の暮らしを物理的に残すだけでなく、日本の風土や建築文化、人と自然の距離感までも内包しています。それを現代のデザインとして世界に向けて見せることは、単なるアップサイクルではなく、日本の住文化を未来へ翻訳する行為ともいえます。だからこそ「FUTURE MEMORIES」という展示タイトルは象徴的です。過去の記憶を抱えた素材が、未来の空間へと組み込まれていく。その循環の中に、これからのデザインのあり方を考えるヒントがあるのかもしれません。

ミラノで立ち上がる、日本の古木の新しい風景

ミラノデザインウィーク2026の会期中、SANSUIはGalleria Rossana Orlandiで、古木を用いた8点の作品を通して新しい風景を立ち上げます。それは単に日本の素材を海外に紹介する展示ではなく、日本の木造文化に宿る時間や思想を、現代のデザインとして再構成する試みです。古木が持つ力強さ、静けさ、そして時間の厚みを、現代のギャラリー空間の中でどう響かせるのか。その表現は、建築やインテリア、アートの領域を横断しながら、多くの人に新しい視点をもたらしてくれそうです。

古いものを残すのではなく、古いものを新しい価値へと変えていくこと。SANSUIの今回の初進出は、日本の古木文化が国際的なデザインの舞台でどこまで豊かな解釈を獲得できるのかを示す、重要な一歩になりそうです。記憶を未来へつなぐ素材としての古木。その可能性が、ミラノという世界の交差点で、より鮮明に浮かび上がってきます。

FUTURE MEMORIES

会場: ロッサーナ・オルランディ(Galleria Rossana Orlandi)
住所: Via Matteo Bandello 16, Milan
期間: ミラノデザインウィーク2026期間中(2026年4月20日〜26日)
展示内容: 古民家の古木(古材)を用いたアートピース 8アイテム