デンマーク発のインテリアブランド「オドー・コペンハーゲン」が2026年ミラノサローネに初出展!

世界のデザインシーンを牽引するミラノサローネに、デンマーク発のインテリアブランド「Audo Copenhagen(オドー・コペンハーゲン)」が2026年、初めて出展します。会場で発表されるのは、ブランドの世界観を立体的に体験できるインスタレーション「The Grand Café」です。家具や照明を単体で見せるのではなく、空間全体をひとつの体験として構成する今回の試みは、北欧デザインの美意識をより豊かに感じさせるものになりそうです。プロダクトを“もの”として見せるだけではなく、人が集い、過ごし、関係を育む場として提案する姿勢に、オドー・コペンハーゲンの現在地がよく表れています。

イタリアの社交サロンを現代的に読み替えた「The Grand Café」

今回の展示テーマである「The Grand Café」は、イタリアの社交サロンの精神を現代的に再解釈した没入型の建築空間として構想されています。会場は460㎡におよぶスケールで展開され、訪れる人がその場に身を置きながらブランドの世界観を感じられるインスタレーションとなります。デザインを手がけたのは、コペンハーゲンを代表するデザイン集団として知られるNorm Architectsの共同創設者、ヨナス・ビエレ=ポウルセンです。アートディレクターのクリスチャン・モラー・アンデルセンと協働し、イタリアの歴史主義建築と1930年代モダニズムの幾何学的な秩序から着想を得た空間がつくられます。

高く伸びる列柱が来場者をいくつもの空間へと導き、リズムやプロポーション、素材の調和によって、静けさの中に温かみのある雰囲気を生み出していくといいます。華やかでありながら過剰ではなく、ミニマルでありながら冷たくない。その絶妙なバランス感覚は、オドー・コペンハーゲンが掲げる“ソフト・ミニマリズム”の考え方とも深く重なっています。北欧らしい静けさを持ちながらも、イタリア的な社交性や開かれた空気感を取り込んだ展示は、単なるプロダクトの発表にとどまらない魅力を持っています。

ラウンジ、カフェ、ダイニングへとつながる空間体験

「The Grand Café」では、来場者はまずラウンジ空間に迎えられ、その後カフェを経てダイニングホールへと進んでいきます。それぞれの場は独立した機能を持ちながらも、ひとつの建築的なストーリーの中に位置づけられており、空間を歩きながらブランドの思想に触れていく構成になっています。そこでは家具や照明が単なる展示物として置かれるのではなく、実際の空間の中で使われる存在として体験されます。

展示でありながら、どこか本物のホスピタリティ空間のように感じられる点も興味深いところです。家具の美しさだけを強調するのではなく、その家具が置かれたときにどんな空気が生まれ、そこにどんな時間が流れるのかまで含めて見せていく。そうした見せ方は、インテリアブランドの展示というより、空間そのものを編集する提案に近いものがあります。プロダクトが単体で完結するのではなく、空間との関係の中で本来の魅力を発揮するという考え方が、展示全体を通して丁寧に表現されているようです。

2026年6月発売予定の新作も空間の中で紹介

Oda Chair

会場では、2026年6月に発売予定の新作を含む今後発表予定の商品も紹介されます。新作を発表する場でありながら、その見せ方はあくまでも空間の文脈の中に置かれているのが特徴です。椅子や照明、ソファといったプロダクトは、それ自体の造形や素材感だけでも十分に魅力を持っていますが、オドー・コペンハーゲンはそこに“過ごし方”という視点を重ねています。暮らしの中でどう佇み、どう使われ、どのような感覚を生み出すのか。その問いに対する答えを、ブース全体を使って提示しようとしているように見えます。

近年、インテリアブランドに求められる役割は、単に美しい商品をつくることだけではなくなっています。どのような空間をつくり、どのような関係性を生み出し、そこにどのような価値観を宿すのか。オドー・コペンハーゲンの今回の展示は、そうした広がりを強く感じさせるものです。プロダクト単体の魅力を際立たせるのではなく、空間全体の体験によってブランドの輪郭を立ち上げる。その手法は、これからのデザインの見せ方としても示唆に富んでいます。

ブランドの背景にある“ソフト・ミニマリズム”という思想

イブ・コフォード=ラーセン

Audo Copenhagenは、MENUとby Lassen、そしてコペンハーゲンでショールーム型ホテルを展開していたThe Audoが統合し、2023年に誕生したライフスタイルブランドです。家具、照明、オブジェなどを通して提案されるその世界観の中心にあるのが、“ソフト・ミニマリズム”という考え方です。静けさと温もりを併せ持ち、一世紀にわたるデンマークデザインの価値観とグローバルな視点を重ねながら、人がどのように暮らし、集い、つながるのかを見つめています。

その姿勢は、今回のミラノでの展示にも色濃く反映されています。ノームアーキテクツのヨナス・ビエレ=ポウルセン氏は、この展示について、単なる展示ブースではなく、壮大さと親密さをあわせ持つ空間をつくりたかったと語っています。また、ブランド側も、デザインは文脈の中でこそ最もよく理解されるという考えを示しており、プロダクトを単独のオブジェではなく、人が実際に過ごす空間の一部として提示しています。こうした言葉からも、オドー・コペンハーゲンが“空間をデザインするブランド”として自らを位置づけていることがうかがえます。

ブランドを代表するシグネチャー・コレクションには、歴史的名匠によるアイコニックなデザインと、現代を象徴するコンテンポラリーデザインが共存しています。アーノルド・マドセンによるOda Chair、イブ・コフォード=ラーセンのThe Seal ChairやThe Penguin Chairなどに代表される、歴史的名匠によるデザインに加え、現代において活躍するデザイナー、ノームアーキテクツによるEave Modular SofaやHashira Lighting Collectionなど、数多くのオリジナリティ溢れるプロダクトを展開しています。

ミラノサローネの舞台で見せる、空間体験としてのデザイン

オドー・コペンハーゲンが初出展するのは、2026年4月21日から26日まで開催されるミラノサローネです。会場はRho Fiera Milano、ブースはHall 9のStand G02 & F03。初日の4月21日には、会場内でスペシャルカクテルも予定されており、ブランドの世界観をより立体的に体験できる機会になりそうです。国際的なデザインの舞台において、オドー・コペンハーゲンがどのように自らの思想と美意識を提示するのか、その初出展に期待が高まります。

家具でも、照明でも、建築でもない。そのあわいに広がる豊かな空間体験を、ひとつのインスタレーションとして提示する今回の展示は、これからのインテリアブランドのあり方を考えるうえでも印象的な試みといえそうです。人が集い、過ごし、つながる場をどうデザインするのか。オドー・コペンハーゲンの「The Grand Café」は、その問いに対するひとつの美しい答えとして、ミラノの会場で静かな存在感を放つことになりそうです。