中庭を囲み、日常をやさしく包む──原田収一郎(しう)/moarが手がけた穏やかな住まい「囲庭の家」

「囲庭の家」は、福岡を拠点とする原田収一郎(しう)の建築設計事務所「moar」が手がけた住宅です。住宅の中心に庭を据え、その周囲に居住空間を配置した構成が特徴で、外部に対しては穏やかに閉じながら、内部には開かれた暮らしを実現しています。都市の中にありながらも、落ち着きのある居場所が日常に寄り添う住まいです。

中庭を中心に広がる暮らし

Photo : moar

「囲庭の家」の最大の特徴は、光と影の陰影が美しい落ち着いた雰囲気の中庭の存在です。住空間は庭を中心として構成され、室内のさまざまな場所から庭の気配を感じることができます。

Photo : moar

外部に対しては開口を抑えた構成とすることで、周囲の視線をやわらかく遮りながら、家族が安心して過ごせる環境を整えています。一方で中庭側には大きな開口を設けることで、光や風を取り込み、住宅全体に明るさと広がりをもたらしています。

内と外を緩やかにつなぐ空間構成

Photo : moar

室内は庭に向かって視線が抜ける構成となっており、空間の広がりを感じられる設計となっています。どの場所にいても庭との関係が感じられるため、住宅全体に一体感が生まれています。

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開口部から差し込む光は時間帯によって表情を変え、室内に穏やかな陰影をつくり出します。庭を介して光や空気が循環することで、住宅全体に心地よい環境が保たれています。

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さらに、「囲庭の家」では庭との距離感が丁寧に調整されている点も特徴です。

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大きく開かれた開口部によって視線は自然と庭へと導かれますが、軒や壁の出によって適度な奥行きが生まれ、直射日光や外部からの視線をやわらかく受け止めています。

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屋内にいながら半屋外のような感覚が得られ、時間帯や季節によって変化する光の様子を身近に感じることができます。

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庭に面した空間は、リビングやダイニングとして日常的に使われるだけでなく、腰掛けたり外を眺めたりといった何気ない時間を過ごす場所としても機能しています。

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囲まれた庭があることで外部の環境に左右されにくく、静かな時間が流れる居場所が生まれています。

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庭の存在が住まい全体の中心として働き、日々の暮らしにゆるやかなリズムをもたらしています。

落ち着きと開放感を両立する住まい

「囲庭の家」は、外に対しては穏やかに閉じ、内に向かって大きく開く構成によって、都市にありながらも安心感と開放感を両立させています。庭を中心に広がる空間は、家族それぞれの時間をやさしく受け止めながら、日常を少しだけ特別なものへと変えていきます。静けさとぬくもりが同居するこの住まいは、暮らしの質そのものを丁寧に育んでいく場所となっています。