日常の中にある、ちょっと特別な居場所。学芸大学にあるカフェ「meaningress」
東京・学芸大学駅から徒歩5分の場所にオープンしたカフェ「meaningress(ミーニングレス)」。設計を手がけたのは、ホテルやアパレルショップなど多彩な空間デザインで知られるクリエイティブスタジオ「LINEs AND ANGLEs」代表・西脇佑。「日常に自然に馴染みながらも、訪れるたびに小さな特別感を感じられる場所」をテーマに生まれたこのカフェは、外観からインテリアに至るまで、洗練と居心地のよさを両立させています。
外から自然に誘う、柔らかなファサードデザイン

meaningressの顔となるファサードは、窓一面のガラスを採用し、開放感を演出。グリーンのフレームが植栽と呼応することで、外観にやわらかな雰囲気を添えています。大きな窓からは店内の様子が自然と見え、初めての来店でも気軽に足を運べるムードを醸し出します。

入り口にはフレームと同色で仕上げた造作ベンチを設置。デザインとして空間にすっきりと馴染みながら、待ち合わせやちょっと一息つく際に便利な機能性も備えています。扉は窓と一体化するようなガラスドアで、内外をシームレスにつなぎ、街と店を自然につなげる役割を果たしています。
無機質とやわらかさが共存する店内空間

店内に足を踏み入れると、コンクリートの無機質な質感に、ピンクとアイボリーの塗り壁がやさしく調和。ハイチェアのグリーンがアクセントカラーとして空間を引き締めます。実はこのグリーンは、もともとこの物件に使われていたタイルの色味が起点になっており、空間全体のカラーバランスはそこから展開されています。

壁面には露出配管をデザイン要素として取り入れ、等間隔に配置された照明とともに空間のリズムを形成。

配管をオレンジに塗装することで、遊び心と水平ラインの強調が加わり、空間の奥行きが生まれています。

日中は外から差し込む自然光が爽やかな印象をつくり、夕方になると控えめな照明がやさしい陰影を生み出し、落ち着いた雰囲気に変化。時間帯によって異なる表情を楽しめるのも、このカフェの魅力です。
心地よい距離感をつくるカウンター設計

窓際には白で統一したミニマルなカウンターを設置。垂直に伸びる配管がアクセントとなり、シンプルながらも存在感を持たせています。

腰壁とドリンクカウンターの境目には細かな溝を設け、自然に影を生み出すことで、より洗練された印象に仕上げています。

また、ドリンクカウンター席はコの字型に設計されており、入店したばかりのゲストも奥に座るゲストも自然に目が届く配置。オープンな雰囲気のなかに、居心地のよい距離感が保たれています。
デザインと機能が融合するキッチンまわり

キッチンには、もともとこの建物に備わっていた淡いグリーンタイルをあえてそのまま活用。新設ではなく既存の素材を受け継ぐことで、“当たり前の中にある魅力”をデザインの核として据えています。このタイルの色味を基準に、ファサードのフレームやチェア、塗装のトーンを調整することで、空間全体の配色が自然に統一されています。
強い主張はしないものの、グリーンが柔らかく空間を支え、視覚的なリズムと落ち着きを演出。タイルならではのメンテナンス性も高く、運営面での実用性も兼ね備えています。
さらに、店内には木製のスツールやドアをさりげなく取り入れ、ナチュラルな温かみをプラス。無機質と有機的な素材のバランスによって、居心地のよさと奥行きを両立させています。
日常と非日常をつなぐ、居心地のデザイン
「meaningress」は、誰もが気軽に立ち寄れるオープンさと、洗練されたデザインがもたらす特別感を両立したカフェです。朝は爽やかに、夕方は落ち着いた雰囲気に変化する空間は、時間とともに異なる表情を見せ、訪れる人を魅了します。学芸大学という街の日常に寄り添いながらも、ちょっとした非日常を感じさせてくれるスポットです。
meaningress
URL:https://www.instagram.com/meaningress/
住所:〒152-0004 東京都目黒区鷹番1丁目13−20 目黒サンケイハウス 1階