
練馬のピザ窯から世界40店舗へーPizza 4P’s CEO・益子陽介が語る「空間と文化をつなぐ想い」
「Make the World Smile for Peace」というビジョンを掲げ、ベトナムを拠点に40店舗を超える規模へと成長したピザレストラン「Pizza 4P’s」。CEOを務める益子陽介さんは、商社マンとして世界を飛び回り、IT企業でのスタートアップを経て、一見まったく異なる道に見える“ピザ屋”をベトナム・ホーチミンで創業しました。今回は益子さんに、練馬の自宅ピザ窯から始まった物語と、今も挑戦を続ける空間づくり、そして世界をつなぐビジョンについて伺いました。
Pizza 4P’s CEO・益子陽介
1978年東京都生まれ。法政大学在学中にオーストラリアへ留学し、卒業後は商社に入社。バーレーンやインド、タイなどで輸入業務を担当した後、起業経験を積むためサイバーエージェントに転職。広告代理業務や投資育成事業部でのベトナム・ハノイ駐在を経て、2011年にベトナム・ホーチミンで「Pizza 4P’s」を創業。現在は東南アジアや日本で店舗を展開し、「Make the World Smile for Peace」の理念のもと、農業・環境・教育など、食の枠を超えた挑戦を続けています。
南国の風を感じる開放的な空間を求めて
まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。
「開放感のあるデザインが好きです。ベトナムの建築家ヴォ・チョン・ギアやスタジオ・ムンバイの作品のように、南国の空気を感じられる空間に惹かれます。大きな窓や吹き抜け、空間に余白が多いことで、屋外とのつながりを感じられるのがいいですね」
緑と空に包まれる、創造のための場所
ピザレストランの店舗開発にも携わる益子さんですが、お好きな空間はどういったものでしょうか。
「今住んでいるインドのバンガロールの自宅テラスがお気に入りです。5階にあるのですが、目の前に公園のような緑が広がり、高い建物がないので大きな空が見える。開放感があってリラックスできるし、思考やアイデアも自然と広がっていきます」
練馬の自宅ピザ窯がすべてのはじまり
IT業界やべンチャーキャピタルでのキャリアを経て、飲食業を起業したのはどういった背景があったのでしょうか。
「練馬の自宅にピザ窯を作ったんです。趣味で作ったのですが、友人を招いてピザを振る舞っていたら、みんなが喜んでくれて。東京には美味しいピザ屋さんはたくさんあるけれど、かつて赴任していたベトナムなら、まだチャンスがあるかもしれない。人と人との距離感が近く暮らしやすいベトナムで、ピザ屋をビジネスとしてやってみようと決めました。」
ご家族からの反対はなかったのでしょうか。
「IT企業を辞めてピザ屋をやると妻の両親に伝えたときは、当然反対されました。妻の実家は高杉晋作の末裔なので、箱入り娘を水商売に出すなんて、と(苦笑)。それでも何度も話し合って説得し、理解してもらいました」
ピザにピース(心の平穏)への想いを込めて
店名にはどういった想いが込められているのでしょうか。
「妻の旧姓が高杉なので『ピザ高杉』にしようと思ったのですが、英語にすると“ピザが高すぎる”と誤解されるので(笑)、最終的に『Pizza 4P’s』になりました。『4P’s』は“Make the World Smile for Peace”という思いを込め、最後の“for Peace”の音からこの名前に決定しました」
ビジョンの共有とDX化が海外での店舗展開の鍵
グローバルで多店舗展開するにあたって、品質管理や店舗開発で重視している部分はどういった点でしょうか。
「ビジョンやバリューをスタッフに共有し続けることが一番大切です。そのために教育を徹底しています」
ピザが生む笑顔とピースの輪
練馬の小さなピザ窯から始まった「Pizza 4P’s」は、いまやアジアを中心に40店舗以上へと成長しました。ピザを通して、人と人をつなぎ、文化と空間を超えて世界に笑顔を届ける――。益子さんの挑戦は、これからも食を超えた領域へと広がり、私たちの暮らしに温かなつながりをもたらしてくれそうです。
後編:「つながりを生む空間」Pizza 4P’s 高杉早苗が語る心地よい空間とブランドづくり(10月19日 公開予定)