
2025年のプリツカー賞は、中国人建築家の「劉家琨(リュウ・ジャークン)」が受賞!
「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞は、米国のハイアットホテルチェーンを所有するプリツカー家の名前を冠した国際的な建築賞です。日本からも、丹下健三、槙文彦、安藤忠雄、磯崎新など世界的に名を馳せる建築家たちが受賞してきました。彼らの作品は、日本国内だけでなく世界各国に存在し、多くの人々に影響を与えています。2024年の同賞では、日本の建築家・山本理顕が受賞しました。
今年度は、中国人建築家の劉家琨(リュウ・ジャークン)が受賞し、2012年の王澈氏に続いて、同賞を受賞した2人目の中国人建築家です。
伝統と革新を融合する建築家・劉家琨(リュウ・ジャークン)

劉家琨(リュウ・ジャークン)は、1956年に中国四川省成都に生まれました。17歳当初は、芸術家を志していましたが、デッサンやデザインとのつながりから建築に惹かれ、1982年に重慶建築工学院を卒業し、建築学士の学位を取得しました。
劉家琨(リュウ・ジャークン)の建築は、地域の歴史や文化を尊重しつつ、新しい建築手法や素材を取り入れ、伝統と現代の架け橋となるデザインを生み出しています。特に、レンガや木材、石といった伝統的な素材を用いながらも、モダンな空間構成を取り入れることで、古くて新しい建築を実現しているのです。また、2018年には北京のサーペンタイン・パビリオンの設計を依頼され、国際的な注目を集めています。
建築で伝統を継承する建築思想が評価のポイントに

今回の受賞にあたり、審査員は「文化、歴史、自然への敬意、時間を記録し、古典的な中国建築の現代的な解釈を通じてユーザーに親しみやすさを与えている」ことを称賛しました。
また、審査員長のアレハンドロ・アラヴェナは次のようにコメントしています。
「都市は往々にして機能を分断しますが、リュウ・ジャークンはその逆のアプローチを取り、都市生活のすべての要素を統合するという繊細なバランスを保っています」「無秩序に広がる単調な郊外が増え続ける世界において、彼は建築、インフラ、景観、公共空間が一体となった場所を作り出す方法を見出しました。急成長する都市が抱える課題に立ち向かう上で、彼の作品は有益なヒントをもたらすでしょう」
劉家琨(リュウ・ジャークン)の代表作
リュウ・ジャークンの作品は、歴史や文化を尊重しながらも、新しい建築の可能性を追求しており、中国国内外で高く評価されています。ここでは、リュウ・ジャークンが手がけた代表的な建築作品を紹介します。
ウェストビレッジ – 成都

ウェストビレッジ – 成都は、2015年に設立された中国・四川省成都にある複合施設で、リュウ・ジャークンが手がけた代表的な建築作品の一つです。
四川の伝統的な建築要素を活かしながら、現代的なデザインを取り入れ、過去と未来をつなぐ独特の空間を生み出しています。また、木材やレンガ、ガラスなど異なる素材を巧みに組み合わせたファサードが特徴で、温かみのある雰囲気を演出しています。
成都現代美術館

成都現代美術館は、中国・四川省成都にある現代アート専門の美術館です。四川地方の伝統建築と現代的なデザインが融合した外観が特徴です。また、建物内部は、自然光が差し込む開放的な展示空間 が広がり、作品がより引き立つ工夫がされています。
伝統と革新を融合したユニークな建築デザインと、多彩な現代アート展示が楽しめるスポットとして、国内外のアートファンから注目を集めています。
2025年のプリツカー賞は、中国人建築家のリュウ・ジャークンが受賞
中国で2人目のプリツカー賞を受賞したリュウ・ジャークンは次のようにコメントしています。
「建築は何かを明らかにするものであるべきだ。それは抽象化し、精錬され、そこに生きる人々の内面的な特質を映し出すべきである。」
リュウ・ジャークンのデザインは、ヴェネツィア建築ビエンナーレやベルリンのAEDESギャラリーなど、世界的な建築展で紹介されています。リュウ・ジャークンの建築哲学は国際的にも高く評価されており、今後も建築界でさらに活躍していくでしょう。