スペインの名門ワイナリーに佇むフランク・O・ゲーリーによる5つ星ホテル「マルケス・デ・リスカル」

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」や「MoPOP ポップカルチャー博物館」など、一度見たら忘れられない戦艦のようなボリュームや魚のような有機的なフォルムなど、彫刻のような造形が特徴の建築家 フランク・O・ゲーリー。現代アメリカを代表する建築家の一人として、多くの作品を生み出しています。そんなゲーリーが手掛けたホテル「マルケス・デ・リスカル」は、スペインのワイナリーに隣接する高級ホテル。葡萄畑が延々と広がる中に突如として現れるリボンのような造形が目を引く強烈なデザインホテルは、世界中から多くの観光客を集める人気建築となりました。

フランク・O・ゲーリーとは

フランク・O・ゲーリーは、カナダ出身の建築家で、現在はアメリカを拠点に世界中で活躍しています。彼の作品は波型鉄板や金網、合板などの工業用素材を用いた、複雑で独創的な造形が特徴です。彼が率いる建築設計事務所「Gehry Partners, LLP」は、デザインだけではなく高度なモデリング技術を要した100人以上の専門家が在籍しており、建築業界ではコンピューターモデリングをいち早く取り入れた事務所としても知られています。

複数のワイナリーに囲まれたスペイン北部の町

「マルケス・デ・リスカル」が建つのはスペイン北部、ワインの産地として知られる小さな町、ラ・リオハ州アラバ県のエルシエゴ。

この町で作られているのは、世界的に威厳のある様々な賞も受賞している「マルケス・デ・リスカル」と言う名前のワイン。このワインに使用されているブドウは、国が産地を保護している品種の一つで、その中でも最高品質を保証する産地でもあります。

ワイナリーがプロデュースする五つ星ホテル

「マルケス・デ・リスカル」は、この地のワイナリーを運営する会社が手掛け、2006年に開業した五つ星ホテル。そのため、有名なワインと同じ名前が付いており、ホテルの隣の敷地に同社のワイナリーがあります。

メタリックな光沢をもった煌びやかなリボンが風になびくような造形が、この建築の顔となっています。波打つ屋根は、晴天には青く、夕暮れには燃えるような金色へと移り変わり、時間によって異なる表情を見せます。

また、この屋根は意匠としての目的はもちろん、南欧の強い日差しを遮る目的も兼ねています。

建物部分は屋根と一変して、地元で採石された石材がふんだんに使われたナチュラルな風合いで、屋根と周囲の自然とを緩やかに結びつけます。

館内は外壁同様、土地の石材を思わせるベージュやアイボリーを基調にしつつ、ボルドーの差し色や銅板や真鍮の光沢が高級感を添えています。

天井まで続く大きな開口を取り入れることで周囲の自然・陽光を館内に取り入れ、この土地ならではな豊かな時間の流れを感じさせます。館内にあるスパ「コーダリー(Caudalie)」では、ぶどうの皮と種、そしてワインを使った「ヴィノセラピー」が体験でき、他にも屋内プールや広々としたフィットネスセンターも併設しています。

ホテル内のレストランはリオハ出身の有名シェフ、フランシス・パニエゴ監修でミシュラン一つ星の人気店。建築とワイン、そして料理が楽しめる贅沢な空間です。

客室はゲーリーウィング(本館)とスパウィングの2つの建物に分かれており、ガラスの回廊でつながっています。客室棟は木を基調としたあたたかなデザインにまとめられており、周囲のワイン畑を眺めながら穏やかな時間を楽しめる贅沢な空間です。

敷地内にあるワインセラーには、多くのワインが樽の状態で保管されており、時のスペイン国王が選んだ国王専用のワインも常時保管されています。

有名ワイナリーに佇む最高級ホテル

静かなワインの町に現れた「マルケス・デ・リスカル」。延々と続く山脈を背景に持つ葡萄畑の中に現れた近代的な建築は、ワイン好きはもちろん世界中から数多の観光客を魅了する最高級ホテルとしてリオハを彩っています。

マルケス・デ・リスカル – Marqués de Riscal

URL:https://www.marquesderiscal.com/en/marques-de-riscal-hotel
住所 : C. Torrea Kalea, 1, 01340 Eltziego, Álava, Spain