フィンランド・タンペレ近郊の湖畔に佇む美しいファサードが特徴的な「セルラキウス美術館ヨスタ館」

フィンランド・タンペレ近郊の湖畔に佇む「セルラキウス美術館ヨスタ館」は、フィンランドの私設美術館で最大規模を誇る美術館です。

美術だけでなく、建築や食事、アートサウナ、自然も楽しめることができ、美しい湖と森に囲まれて多くの方から愛されています。

美しい湖水地方に佇む「セルラキウス美術館ヨスタ館」

森と湖に囲まれたセルラキウス美術館ヨスタ館。2014年に完成されたパビリオンは、木の集成材CLTを駆使した現代的でフィンランドらしい建築物です。

経年変化で味わいが現れる美しいファサードが特徴的で、建築家のHéctor Mendoza(エクトル・メンドーサ)とMara Partida(マラ・パルティダ)、Boris Bežan(ボリス・ベザン)のスペイン人とメキシコ人のラテン圏の建築家によって手掛けられました。森と湖の風景を取り込むことにより、アートとともに自然を体験できるユニークな美術館であり、数多くの賞を受賞しています。

周りの自然と溶け込んでおり長い曲線を描きながら湖畔に向かって下がっていくこの建築は、周囲の環境への配慮を示していたり、樹木の保護に特別な注意が払われています。さらに、フィンランド政府観光局発行のSustainable Travel Finland認証も受けており、環境に優しい美術館なのです。

パビリオンには、 3つの展示ホールのほか、教育スペース、ミュージアムショップ、レセプションホール、レストラン、オフィスが併設されています。

廊下は、高さを抑えたガラス張りとなっており、自然光が差し込む明るい空間です。

窓ガラスからは、フィンランドの象徴でもある湖や森の美しい自然を眺めることができます。

木材とガラスが交互に配置され、空間にリズム感を与えています。

国内外の現代美術とフィンランドの歴史的な作品を展示

コレクションは、最新の国内外の現代美術を展示すると共に、フィンランド黄金時代の歴史的な作品も展示されています。

現代美術では、アンゼルム・キーファーのヴァイナモイネン・イルマリネンなどの作品が立ち並びます。そしてフィンランド黄金時代の画家、アクセリ・ガッレン=カッレラ、ヒューゴ・シンベリ、ヘレン・シャルフベックなどの作品のほか、ヨーロッパの古い作品も愛でることができます。これらは北欧では最大規模なコレクションであり、加えて複数の企画展も随時開催されているのです。

館内は、訪問者がリラックスして鑑賞できるように十分なスペースが残されているのも特徴的です。

広々としたキヴィヤルヴィホールでは、短編映画としてコレクション内の古典的な作品と歴史が紹介されています。

また、美術館は自由に鑑賞できますが、事前予約でガイドツアーも可能です。各展示内容やセルラキウスの興味深い歴史についても詳しく紹介してくれるので、より作品の魅力を知ることができるでしょう。

他にも館内には、映画館のように照明が落とされた空間があり、そこで映像を見ることができます。

木材で作られたベンチに腰をかけ、歴史や作品についてじっくり学ぶ…。そんな有意義なひとときを過ごせることでしょう。

そして、両面ガラス張りの廊下を歩くと、同じ敷地内に佇むマナーハウスに繋がります。

1935年に私邸として建てられたマナーハウス

パビリオンと同じ敷地内に佇むマナーハウスは、1935年にGösta Serlachius(ゲスタ セルラキウス)の私邸として建てられました。この建築は、英国の邸宅建築にインスピレーションを得て作られたと言われています。そして、1945年に建物内に美術館を開設し、コレクションを展示するというGösta Serlachius(ゲスタ セルラキウス)の長年の夢が実現されたのです。

現在は、アートコレクションが2つのフロアで展示されています。セルラキウス美術館では、この古い建築「マナーハウス」と新しい建築「パビリオン」が相互に補完し合っているのです。

北欧デザインの美しい空間レストラン「イェスタ」

セルラキウス美術館ヨスタ館には、レストランも併設されています。こちらのレストラン「Gösta(イェスタ)」は、北欧デザインの美しい空間が特徴的です。絵画や照明が美しいインテリアとなり、より洗練された雰囲気を作り出しています。

メニューは、フィンランド料理を国際的に紹介しているシェフによる、地元の季節の食材を使った食事を提供しています。

アートや周囲の自然、季節の味覚からインスピレーションを得た3〜4品のコース料理を中心に、ベジタリアンやビーガンのメニューまで用意されているため、どんな方でも楽しめます。

少しユニークな紙製テーブルマットは、セルラキウス美術館の創設者であるGösta Serlachius(ゲスタ セルラキウス)の旅券など旅の思い出を集めてデザインされたものです。

教育スペースなども併設

セルラキウス美術館ヨスタ館には、セミナーやワークショップなどが行える教育スペースやオフィスも併設されています。

美術館周辺の美しい自然とアートを楽しむ

美術館の周辺には、美しい自然が溢れているため辺りを散策することもおすすめです。敷地内には、Harry Kivijärvi(ハリー キヴィヤルヴィ)、Emil Wikström (エミール ヴィクストロム)などの彫刻のほか、Antero Toikka(アンテロ トイッカ)などの現代アーティストの作品が見られます。

自転車もレンタルすることができるため、美しい景色やいたるところにあるアートを楽しみながら過ごすと、より有意義な時間となります。

フィンランド・タンペレ近郊の湖畔に佇む「セルラキウス美術館ヨスタ館」

タンペレ近郊の湖畔に佇んでいるセルラキウス美術館ヨスタ館は、美しい芸術と歴史ある文化や作品、美味しい料理、そしてフィンランドの自然に出会うことのできる施設です。開放的な環境の中、ここでしか出会えないものに触れることにより、心の底からリラックスすることができるでしょう。

セルラキウス美術館ヨスタ館

住所:Joenniementie 47, 35800 Mänttä, Finland
営業日:9月1日~5月31日は11:00‐18:00(火~日)、6月1日~8月31日は10:00‐18:00(毎日)
問合せ: +358 3 488 6800
公式HP:https://serlachius.fi/ja/

後編:セルラキウス美術館ヨスタ館に併設された、美術とデザイン、建築と自然が調和する「アートサウナ」