「人生は夢を叶える物語」北海道・釧路でサウナ付きゲストハウス「THE GEEK」を経営する達川慶輔さん

東北海道、釧路湿原を見渡す小高い土地にそっと佇む、1日7組限定のクラフトホステル・フィンランドサウナ「THE GEEK」を経営している達川慶輔さん。

今回は、そんな達川さんに、ご自身のことやTHE GEEKのことなど様々な角度からお話を伺いました。

暮らしの中で大切にしているデザイン

はじめに、達川さんが暮らしの中で大切にしているデザインについて伺いました。

「これといって決まったデザインはないですが、こだわりは持つようにしています。何事も選ぶ時にはこだわって、そこにあるストーリーや背景、作り手の顔やディティールまで意識する、これらは自分の軸として持っていることですね。」

ストーリー性を感じるものを大切にしているという達川さん。

お好きな場所・空間

続いて、お好きな場所や空間について伺うと、

「アメリカ西海岸のオレゴン州・ポートランドにあるエースホテルです。私にとって意味のある場所。限定回帰して何かと意識する場所です。」

エースホテルはどんなホテルなのでしょうか?

「エースホテルは、一言でいうとブティックホテルです。ただ、人種や国籍、年齢や職業など、そういった境界線を超えた先に、多様な人がフラットに話す素敵な空間がそこにはありました。」

また、このエースホテルは、達川さんが今の事業をするきっかけにもなった場所でもあるそうです。

北海道・釧路のサウナ&ホステル「THE GEEK」

達川さんが経営するTHE GEEKについて伺いました。

「宿としてのTHE GEEKなんですけど、好きを追求する人々が集まって、それぞれのこだわりを心行くまで堪能してもらう、そんなクラフトホステルを目指して作った宿です。」

日本では、“オタク”というような言われ方をする「GEEK」ですが、1つのものを本当に好きになるという意味でもある「GEEK」。そのことについて伺うと、

「GEEKは、オタクと言ってもかっこいいオタクのイメージを持っていて、それこそGAFAMですよね。今でこそ私たちの生活のインフラであり、必要不可欠なものになっていますが、ITに精通して卓逸した知識を持っているエンジニアの方々を指す言葉。Appleの創業者であるスティーヴ・ジョブスがそうであったように、好きなことを追求した結果に人々の幸せを生み出して、自分もHAPPY、周りもHAPPYってとっても素敵だなという思い…。私も会社を立ち上げる際にそう言った思いを込めたいなと思って作りました。」

THE GEEKを始めるきっかけ

THE GEEKを始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

「冒頭でも少しお話したのですが、大学でアメリカ西海岸へ留学していた時期があり、その際に訪れたポートランドでエースホテルに出会い感銘を受けたのがきっかけです。バックパックを背負って、ふらっと入ったブティックホテルでしたが、そこには多様な価値観を持った老若男女が集まっていました。そんな空間でchillな音楽が流れていて、お酒を飲みながらいろいろフラットに語り合える場所で…。こういう空気感ってすごく素敵だなと思って、いつか自分でもやりたいと思いました。」

ユニークな経歴をお持ちの達川さん

高校時代はスイスの全寮制の学校、帰国後は法政大学に進学した後、アメリカや韓国に留学。そしてサイバーセキュリティーの会社を務めた後に、独立をするといったユニークな経歴をお持ちの達川さん。エースホテルで描いた「いつかやりたい」と思った夢は、ずっと心に持っていたのでしょうか?

「実は高校の時から、いつかは自分で独立して事業をしたいと考えていました。当時は、何をするかは決まっていなかったのですが、エースホテルでの体験から「やりたい」と思った夢はずっと心に持ち続けていましたね。」

いろんな経験をされていますが、今のお仕事に役立っていること、影響などは何かありますか?

「多様性に対する受容力、違いを恐れないで自分らしくいられることというのは、今の仕事でも役に立っているのかなと思います。」

絶好なロケーションを選んだ理由について

THE GEEKは、目の前に壮大な釧路湿原を望むことができる絶好なロケーション。この場所を選んだのは、やはり、スイスにいた影響だったのでしょうか?

「最終的に決めた理由の中には、もちろん(スイスにいた影響も)ありました。ただ、元は私が選んだわけではなかったんですよね。というのも、私の父がマレーシア・シンガポールで働く実業家なんですが、父が暑い国で過ごしてきた中で、還暦を過ぎたら涼しい避暑地に住みたいということで、探して押さえていた物件なんです。そして、ちょうど父が物件を購入したタイミングと、私が前職を辞めるという決意したタイミングが同時期でして。」

「父は日本にいないことも多く、遊休資産をそのまま放置するのも勿体無いですし、会社を辞めると言った私に、『遊びに来たら?』と声をかけてくれました。そして訪れたら、一目惚れしてしまったんです。」

「その時が2020年の冬でした。北海道は厳冬期で、息をすれば喉の奥がキュッとする寒さなんですが、雪が降り積もっている釧路湿原の中を大きな汽笛の音や、煙を上げて走ってくる北海道唯一のSLを見て、壮大さを感じて。一目惚れしちゃいました。いわゆる田舎ですが、都市部からもそう離れていない、空港にも程よく近く、アクセスも決して悪くなくて。3年間過ごした高校時代のスイスの場所と似ていて、最終的にはここに決めました。」

フィンランド式サウナを導入しようと思ったきっかけ

「ここは良い場所なのですが、人が頻繁に訪れる場所ではないんです。よく考えてみると、旅する側の人たちにとってももハードルが高い場所かもしれないなと思っていました。」

「その頃、たまたま退職後に訪れた長野県のTHE SAUNAという、サウナ界では知らない人がいない施設を訪れたんです。『あっこれからはサウナの時代が来るんだな』と思えるサウナ施設を目の当たりにして。そこでこの立地を最大限に活かした”こだわりの”フィンランド式サウナ作ろうと決めました。」

またTHE GEEKは「ここほどロケーションがフィンランドに近い場所はないんじゃないかと思います。」と教えてくれました。

実際に宿泊した方からの反響について

実際に宿泊した方からの反響はどうでしょうか?

「『唯一無二だった』とか『1番良かった』など、嬉しい言葉しか頂かないです。また、北海道唯一のSLが通るので『初めて見たよ』など、こんな環境はないと満足して帰っていただいています。また、僕自身ユニークな経験を持っていることもあり、最初はサウナ目的で来てくれるのですが、今度は私にまた会いにきてくれるようになったり…。リピーターが今となっては3割越えとなっていて本当に嬉しい限りです。」

THEGEEKの今後の展望について

THE GEEKの今後の展望について教えてください。

「長期的には東京、海外を含めた他店舗展開をして、GEEKだからこそ、僕だからこそ、提供できる形を今後も創造していきたいと思っています。短期的に見た時は、地方初のインキュベーションハウスなど新しいことにも挑戦していきたいなと考えています。」

Life is the story of dream comes true.

インタビューの最後、達川さんに「Life is ◯◯」空欄に当てはまる言葉を尋ねると、「Life is the story of dream comes true.」と答え、

「人生というのは夢を叶える物語。子供の頃は夢があって、1つのことに没頭することも多い。それが普通だったと思うんですけど、大人になり歳を重ねると、それが難しくなってきます。でも1度きりの人生を損はしたくないし、夢を見てそのために実行して動いて…。辛いことも経ながらその夢を叶えていくのが、自分の人生なのかなと思うので、この言葉にしました。」

また、THE GEEKを訪れるにあたり1年のなかでおすすめな時期は、「個人的には厳冬期です。」と教えてくれました。

人生は夢を叶える物語だという達川さん。今後も自身の夢を叶えながら、数多くの人を巻き込み、ワクワク、ドキドキとさせてくれることでしょう。今後も達川さんのご活躍に注目です。

後編:大自然に囲まれて“ととのい”を!北海道釧路湿原を一望できるサウナ付きゲストハウス「THE GEEK」