旧ソ連時代の廃墟をリノベーション!OMAによる「モスクワ現代美術館・ガレージ」

ジャーナリスト、脚本家として活躍し、現在は理論派の建築家として活躍するレム コールハース。彼が率いる建築設計事務所OMAがリノベーションを手がけた美術館がロシアの首都、モスクワにあります。荘厳でスタイリッシュな外観ながらゆったりと鑑賞を楽しめる空間です。

旧ソ連時代の廃墟をリノベーションした現代美術館「ガレージ」


「ガレージ」の正式名称は「ガレージ・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート」。「ガレージ」は、あのイギリス・プレミアリーグのチェルシーFCのオーナーであるロマン・アブラモヴィッチ氏の妻ダーシャ・ジューコワ氏によって設立された、モスクワを拠点とする非営利芸術プロジェクト。現代芸術の発掘と発展を目的とした啓蒙文化活動を行なっています。

はじめは、有名な構成主義建築家であるコンスタンチン・メルニコフ氏によって1927年に建てられた「バフメーチェフスキー・バス・ガレージ」を改築してスタートしましたが、2015年、現在のゴーリキー公園に移転。そこで、20年以上にわたって放置されていた旧ソ連時代のレストランのプレハブコンクリート製パビリオンを改修。落書きだらけの旧ソビエト時代の廃墟を、レム・コールハース率いるOMAの手によってリノベーション。

建築にはソ連時代のモザイク・タイルやレンガをそのまま残しつつ、随所に新たなマテリアル、デザインによる工夫が加えられており、唯一無二のオリジナリティを生み出しています。

OMAを主宰するレム・コールハースとは

Via:Wikipedia

レム・コールハースは、オランダのロッテルダム生まれの建築家。ジャーナリストや脚本家として世界中で活動した後、ロンドンにある英国建築協会付属建築専門大学で学び建築家に。

多くの著作でも知られ、代表作である『錯乱のニューヨーク』では建築理論に多大な影響を及ぼしてきました。

彼は建築において素材を生かすこと、ヒューマンスケールを維持することなど、ヒューマニストとしての理想を規範とする一方、人間のサイズをはるかに超越したスケールにも強い関心を持っており、その両者の概念を取り込んでいるのが大きな特徴です。こうした反する2つの方向性を内包することで、独特のオリジナリティが感じられるのです。

昇降する外壁が印象的なファサード


愛称の「ガレージ」の通り建築自体もガレージ的な印象のファサードを持っています。メインエントランスはガレージのように上にスライドする壁面が特徴的で目を引きます。

インダストリアルなデザインながらも明るく開放的な内部空間

中に入ると天井が高くダブルスキンのポリカーボネートが外の光を取り入れており、開放的でとても明るい空間が広がっています。

廃墟の壁画もインテリアとしてうまく取り入れられてます。

レセプションやミュージアムショップ、カフェなどがあり気軽に利用できる空間になっています。

さらに大階段の奥には無料で入場できるギャラリーも合って、気軽にアートを楽しむことができます。

空間がシームレスに繋がるカジュアルな展示空間

2階に位置する展示室は、美術館というよりニューヨークやロンドンのギャラリーのような印象に。

カジュアルに新しいコンテンポラリーアートへの出会いを期待させてくれます。

広々とした空間を贅沢に使用して、多くの作品たちが開放的に展示されています。展示エリアとその他の空間がシームレスにつながっており、オープンな空間に。ダブルスキンのポリカーボネートから明るい光が入り、美術館として機能しつつも、ラフな展示空間は権威性を感じさせず、気軽にアートに触れることができます。

単純な平面の展示空間ながら、外部の光を絞ったり、アイレベルで視界を遮ったりと色々なスペースが存在し、建築全体を飽きることなく楽しめそうです。

館内には、書店やショップ、カフェなども設置しているため、のんびりと長居することも可能です。ヨーロッパにアジアの要素もちょっと入って現代的な建築やアートは、ちょっとロシアやモスクワのイメージを変えさせてくれそうです。

Garage Museum of Contemporary Art – モスクワ現代美術館「ガレージ」

開館時間:11:00~22:00
入館料:500RUB
URL : https://garagemca.org
住所:Krymsky Val, 9 строение 32, Moskva, Russia 119049