チームラボ代表・猪子寿之が作り出す、体験と連続性の世界

毎週月曜日、福岡のラジオ放送CROSS FMがお送りする立山律子の「ライフスタイルメディア #casa」。今回のゲストは、「チームラボ」代表の猪子寿之(いのことしゆき)さんです。

デジタルによるアートの先駆け・猪子寿之

チームラボ代表・猪子寿之
チームラボ代表・猪子寿之

1977年、徳島県徳島市で生まれ、東京大学工学部計数工学科を卒業。1998年、大学の友人や幼馴染らとともに、チームラボを設立。現在では、デジタルによるアートの先駆けとして知られるようになったチームラボの代表を務めます。世界中で大規模な展覧会を開催し、2017年には芸術選奨新人賞を受賞するなど、あらゆる方面で活躍しています。

かみさまがすまう森

佐賀県武雄市に存在する御船山楽園は江戸時代から続く庭園として知られています。この場所には、古い森の中に樹齢3000年の木や、1300年前に行基が掘った五百羅漢の洞窟が存在し、猪子さんにとって長い歴史を感じることができるお気に入りの空間だそうです。

その愛は深く、猪子さんはこの場所で、自らが代表を務めるチームラボの展覧会を6年以上も行なっています。神様のように威厳のある森の様子から、この展覧会は「かみさまがすまう森」と名付けられ、毎年7月から10月末に開催されています。

連続性を超えるような体験を

かみさまの御前なる岩に憑依する滝

猪子さんは、御船山楽園には、人と自然の営みがずっと続いてきた様子が色濃く残っているといいます。都市では、壊しては作っての繰り返しで、長い人の営みが見えなかったり、自然と遠かったりするので、長い連続性を感じられる場所が、自分自身にとって興味があるとのことです。

さらに、猪子さんは、人は自分が生きた時間より長い時間を認識できないのではないかと続けます。生きた時間は、今と繋がっていると実感できても、本来は繋がっているはずの、太平洋戦争や江戸時代などは繋がっていないと錯覚してしまうのだといいます。

猪子さんは、人々が認識できない連続性を、どうやったら実感してもらえるのか、自分の中の興味や知りたいことを、作品を作るプロセスの中で模索していきたいと思っているそうです。

社会を作る「チームラボ」

小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング

シンガポール国立博物館では、作品が常設されるなど、世界的に活躍するチームラボ。世界中で展覧会を行い、そこに人が集まったり、話題になったりしていくうちに、他の国からも呼ばれるようになるということの繰り返しが、チームラボの認識に繋がったそうです。

猪子さんは、チームラボが受け入れられたのは、社会が追いついてきたり、チームラボ自身が変わったりしたのではなく、そういう社会を、チームラボが作ってきたといいます。

何かを知ることの楽しさを伝えたい

チームラボ・フォレスト | 捕まえて集める森
Via:https://www.teamlab.art

今年7月に福岡でスタートしたばかりの、新ミュージアム「チームラボフォレスト 福岡 – SBI証券」でも、新しい体験ができると猪子さんはいいます。

「空間内を歩いている動物をスマートフォンのアプリのカメラで見て、観察の矢を放ち、空間内の動物に命中し捕まえると空間から動物が消えてスマートフォンに入ってきます。動物の情報は、アプリの図鑑にコレクションされます。捕らえた動物を、アプリのカメラで見えている場所に投げ込むと、リリースされ、その場所に現れます。」

みんながスマートフォンを持っている時代に、スマートフォンと空間を繋ぐ、新しい体験を作れるのではという思いから企画したそうです。

さらに、捕まえた動物は説明付きで図鑑のように、スマートフォンの中に保存されていくので、「知る」という体験を行うことができます。これは、学校では勉強が嫌いだったり、苦手意識を持ってしまいがちですが、自分で実際に触れて知るということを経て、世界を知っていくことが本能的に楽しいことであるのだということを体験してもらいたいと語ってくれました。

LIFE IS 作り続ける人生

チームラボフォレスト・高速回転跳ね球のあおむしハウス
Via : https://www.teamlab.art

「チームラボフォレスト 福岡 – SBI証券」には、動物を捕まえること以外に、運動の森をコンセプトとしたブースもあります。そこでは、都市にいると平面ばかりが多い中、立体的で複雑な空間が演出されており、球体が床や壁に埋め込まれて、その上を飛び跳ねて歩いていくような空間など、普段は絶対ないような空間を自分の体で体験し、「身体で世界を捉え、世界を立体的に考える」ことをテーマとしているそうです。

LIFE IS「作り続ける人生」

そんな猪子さんのLIFE IS 〇〇は、「作り続ける人生」。

これからも、驚くような体験を私たちに届けてくれることでしょう。