隈研吾が魅力を感じた温泉郷・大湯の地に作った秋田県の「道の駅・おおゆ」
東京から627.3km。この遠く離れた秋田県鹿角市で、世界的な建築家として知られる隈研吾が手がけた建築が存在します。もともと都市から離れた場所での仕事に興味を持つ隈研吾が、温泉郷でもあるこの大湯の地に魅力を感じてデザインしたのがこの「道の駅・おおゆ」です。
大湯の自然を生かす「道の駅・おおゆ」
建物が景色に溶け込むことを考えて建てられた「道の駅 おおゆ」。横に長く桐妻屋根が印象的な建築ですね。一見、シンプルで単調のようにも見えるが、そこには、あえて、自然の多様性を生かすために建築をシンプルな形にした隈研吾の狙いがありました。建築が風景の邪魔をせずに見事に大湯の景色に溶け込んでいます。
隈研吾が思い描いた理想の「縁側」
外部と内部の境界を曖昧にする「縁側」。隈研吾が初めてこの大湯の地に立った際に浮かんだイメージだったそうです。目の前の水盤を通して庭、周辺の集落、山々へとつながっていきます。立ったときと座ったときの高さによって、庭の見え方が変わるユニークな体験を与えてくれます。
縁側は、日本古来の建築にとって当たり前のものでしたが、現代ではあまり見当たらなってしまいました。古き良き時代を思い起こさせてくれます。
いつもの大湯の風景を縁側を通して、いつもと違う角度で見てもらいたいという隈研吾の想いが垣間見えますね。
秋田の素材を生かした、木のぬくもりを感じる温かな室内風景
ぶどうの房のように重なった円形のインテリアが空間を緩やかに区切ります。これは、秋田の伝統工芸である「曲げわっぱ」の技術を活かした「円筒LVL」という素材でつくられています。薄い板状に加工した間伐材を巻き重ねてつくったもので、粘り強く、従来の柱材と同等の弾性率と強度を持っているのが特徴的です。商品をディスプレイする棚や店内の椅子にも使われています。
床は、秋田県比内町でとれるとても希少な「十和田石」を砕いたものが混ぜられてつくられています。
木質材料『円筒LVL』を多用したインテリア
商品のディスプレイ棚にも木質材料『円筒LVL』を使用しを用いてつくられており、館内の温かな雰囲気にとてもマッチしています。
ここで取り扱っている商品は、地元・鹿角市の農家から直送された採れたての新鮮野菜をはじめ、秋田県内や全国の特産品、温泉グッズなど。他にも、鹿角市民が手間暇かけてつくったはちみつなど、キャッチーで言葉で、思わず手に取ってしまいたくなるたくさんの商品が販売されています。
隈研吾が手がけた「道の駅・おおゆ」は、風景に溶け込む外観と優しさを感じるインテリアが非常に魅力的。秋田の木工文化に触れ、縁側に座って庭を眺めるように、大湯の美しい風景を楽しむには最適な建築でもあります。
道の駅 おおゆ
開館時間:10:00-16:00
休館日:月曜日
電話:0186-22-4184
住所:〒018-5421 秋田県鹿角市十和田大湯中谷地19番地
URL:https://yunoeki-oyu.jp/