フィンランドの建築家夫妻が手掛けた「オタニエミ礼拝堂」の優しくも美しいモダン空間。

オタニエミ工科大学(現アアルト大学)は、建築家アルヴァ・アアルトが1949年の全体計画コンペで勝利した総合大学。敷地内には学生の為の礼拝堂「オタニエミ礼拝堂」があります。設計はフィンランドの建築家カイヤ&ヘイッキ・シレン夫妻。 煉瓦壁で囲まれた四角いスペースの中に、シンプルな四角い礼拝堂が配置されています。

アアルトからも影響を受けた建築家カイヤ&ヘイッキ・シレン夫妻が手掛けた「オタニエミ礼拝堂」

建築家カイヤ&ヘイッキ・シレン夫妻が手掛けた「オタニエミ礼拝堂」は、アアルトのデザインからも影響を受けている。外観がガラスとレンガで構成されているモダンな建築で、ヨーロッパによくある教会建築と異なり一見すると教会とは認識できない。

安藤忠雄による「水の教会」は、設計時にこの建築を参考にしたとも言われている。

開口部と屋根を支える架構が作り出す凛とした内部空間

空間の後方にある三角屋根の大きなハイサイドからは光が礼拝堂の中に注ぎ込み明るく照らします。屋根を支えるのは木と鉄の斜材によるハイブリッドなトラス構造。細い部材で繊細な印象。 壁は煉瓦造でその上の屋根が木造というシンプルなデザインです。

細い材を用いることで方向性が強調されて、目線も自ずと森と十字架のある大きな開口部の外へと向かいます。外の十字架は太陽の位置を計算し、ちょうど太陽の光が十字架を照らすように配置されています。

片流れの木で仕上げられた天井を規則正しく並ぶ木造の架構が支えていて、大きく主張する部材もなくミニマルな印象を作り出しています。大きなハイサイドライトから入る自然光が屋根を伝って、架構とともに凛とした内部空間となっています。

ミニマルで柔らかい北欧デザイン

シャープな手すりや椅子の脚、シンプルながらも品のある聖書棚など、インテリアの細部までミニマルにデザインされていて、ぼやけたところがなく空間自体が引き締まって見えます。

エントランスやハイサイドライトの方を見るとこのようなかたちで、空間の上部から取り入れる光の考え方にはアルヴァ・アアルトの影響が感じられます。

シンプルながらも徹底したデザインへのこだわりが見られる名作

温かみを感じる北欧デザインとミニマルなモダンデザインのバランスが絶妙な空間。「オタニエミ礼拝堂」は、北欧建築らしい光の入り方とミニマルなデザインが施されていてとても美しい建築です。木材を使った暖かみが感じられるインテリアには、日本人にも共感できる心地の良さが表れています。

Otaniemen kappeli – オタニエミ礼拝堂

URL : https://www.esboforsamlingar.fi/kyrkor-och-lokaler/kapell/otnas-kapell
住所:Jämeräntaival 8, 02150 Espoo, Finland