洞窟のゆらぎをテクノロジーで再現。ウェールズのポップアップ・キャビン「Arthur’s Cave」

via: archdaily.com

ウェールズの威厳に満ちた神話と合板のキャビン。ありえないような組み合わせをプレファブリケーションで実現したポップアップ・ホテルが2017年の夏に現れました。洞窟のゆらぎを感じる不思議な小さな空間は、グランピングの隠れ家にぴったり。組み立て家具のようにパーツをはめ込んで建築されました。

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「アーサーの洞窟 (Arthur’s Cave)」と名付けられたこのキャビンは、ウェールズ政府観光基金の助成によるグランピング・キャビンのコンペティション「エピック・リトリート」で選ばれた8作品の一つ。デザインは、イギリスの建築事務所、ミラー・ケンドリック・アーキテクツによるもので、建築は合板プレファブリケーションの専門知識を持つEJ RYDERが担当し4週間で完成させました。

8つのキャビンは2017年のサマーシーズンに、カステル・イ・べレにポップアップオープンし、その後リーン半島に移動。プロジェクトの模様は、イギリスのドキュメンタリー番組でも取り上げられテレビ放映されました。

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ミラー・ケンドリック・アーキテクツは、2015年にポール・ミラーとマイケル・ケンドリックが設立した新しい建築事務所。イギリスのウェスト・ミッドランズに拠点を置き、効率的で低コストな、持続可能な建築の革新的なメソッドを探求しています。

ウェールズの神話と伝統をテーマにしたコンペで、ミラー・ケンドリックは、アーサー王と騎士たちが隠れたという洞窟をイメージ。ラグジュアリーとポップアップという矛盾しそうな要素を、合板を効果的に使ったアプローチで見事に両立させました。

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黒い岸壁を思わせる外観の「アーサーの洞窟」のインテリアは、合板が肋骨のように波打ってビジターに神秘的な隠れ家気分を味あわせてくれます。CNC(コンピュータ制御工作機)でカットされたバーチ材の幾枚もの合板が、ジグソーパズルのようなジョイントを使用して緊密にはめ込まれ、あばら状に模様を描きながら高い耐久性を実現しています。ウェールズの伝説からインスパイアされたコンセプトに、現代の建築技術を組み合わせたユニークなデザインと言えます。

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12平方メートルという限られたスペースの内部には、薪ストーブのあるリビングエリアの背後に、キッチン、バスルーム、ダブルベッドを備えた寝室が、巧みに目かくして配置されています。シンクやバスルームなどの設備を含む内部の建築素材は、すべて合板のみというシンプルさ。

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ほとんどをガラス張りにした明るいエントランスからは、アウトドアのランドスケープがゆったりと楽しめます。カスタムメイドのランプスタンドも、インテリアを反映した蛇腹のようなデザイン。こういうディテールへのこだわりって意外と重要です。

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建築資材にはウェールズ地産の材料が使用されています。外壁を覆うカラマツの板は、エスゲール商用森林で伐採した木材を隣接するマッキンレーの製材所で加工、黒く染めてエージング風に仕上げました。挿入されたウール断熱材も近隣のタイマウル産の羊毛を利用しています。ローカル経済に寄与するのも持続可能性の一部という考え方です。

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バスルームでは、常温の水に加えてホットウォーターも利用可能。太陽光発電で作動するLED照明、コンポストトイレも備えています。ミニマルながらも、グランピングには十分な設備のオフグリッドキャビンとなっています。

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「アーサーの洞窟」の建築費用は明らかにされていませんが、CNC加工した合板とパズルのように組み立てられる工程から、かなりの低コストを実現しているように思えます。

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デジタル制御でプレファブリケーションできるタイニーハウスなら、データと設計図さえあればDIYでも建築できるメリットがあります。「アーサーの洞窟」のデザインは、近い未来の住宅建築フローの参考になる例ではないでしょうか。

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