目で見て体験するべき!「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」


「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」では、アルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒの24年にわたる約40作品を展示。東京における初の大規模個展が開催されている。

建築を学んだ後、アートの世界に活動領域を広げたレアンドロ・エルリッヒ。金沢21世紀美術館に展示されている、「スイミング・プール」でも有名な彼の作品の数々は話題を呼び、開催から48日で来場者数は20万人を突破した。

今回はそんな「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」の人気の秘密と彼の作品の魅力についてご紹介したい。

言わずも知れた代表作「スイミング・プール」

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」をご紹介する前に、この作品は知っておくべきだろう。

金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」

言わずも知れた彼の代表作、金沢21世紀美術館に展示されている「スイミング・プール」である。一見普通のプールの様に見えるが、外から見ると、中にいる人がまるで水中にいるような、水面下から見ると自分が水中から地上を仰ぎ見ているような、不思議な感覚になるこの作品。

実際に見て、体験してみることでより楽しめるということを実感する彼の代表作と言えるだろう。

“インスタ映え”で人気!

さて、「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」の人気の大きな要因の一つは、”インスタグラムでの拡散率の高さ”である。

今回の展示ではなんと全作品撮影OK。会場では、実際に展示を体験し、写真を撮り合う来場者がほとんどと言っても過言ではない。

では、どの作品が人気を集めているのか。その魅力も合わせて早速みていこうと思う。

1.建物

ビルから落ちそうになっている人々!この作品のポスターにひかれて見に行ったという方も少なくないだろう。しかしこの作品、実はこのような仕掛けになっている。

床に寝そべり、楽しそうに鏡に映る自分を写真で撮る人たち。「建物のファザードは地面と垂直に建っているはずだ。という、私たちの既成概念を利用した」というこの作品は、実際にみるとインパクト大!子供から大人まで童心になって楽しめる作品だ。

2.眺め

四角く開いた壁の窓から見える数々の部屋。この作品ではブエノスアイレスの様々な中流階級の生活が伺える。
この作品は、エルリッヒ初のビデオインスタレーションで、「都会で暮らす人々は誰もが見る側だけでなく見られる側の可能性もある」ということが示唆されている。私たちの日常に深く関わる作品であるだけに、共感を覚える人も多いだろう。

3.美容院

美容院の様子を再現したインスタレーション。一見普通の美容院だが、椅子に座ると自分の姿がうつるものと映らないものが。
「鏡と対面すると自分の姿が映るものだという思い込みを利用した」という。エルリッヒの作品には度々このような鏡と空洞を利用した仕掛けのものがあり、自分自信の意識や思い込みに気づかされる。

エルリッヒの作品は、タイトルからもわかるように私たちの日常に関わる場所や物を利用したものが多い。

私たちの潜在意識、常識は思い込みに過ぎないのであるということをわかりやすく、そして社会的なメッセージも込めて表現している。そんな作品を体験として楽しみながら、共感できるのがエルリッヒの作品の魅力だろう。

代官山でも個展が開催中!

レアンドロ・エルリッヒの個展『Cosmic & Domestic』が、現在、東京・代官山のアートフロントギャラリーで開催中。
『Cosmic & Domestic』展では新作となる『Laundry』と『Elevator Maze』を展示。8台の乾燥機が並ぶ『Laundry』は、乾燥機の窓に実物の洗濯物ではなく、洗濯物が回る映像が映る作品。『Elevator Maze』では中に入ることのできる3個2列のエレベーターの箱が並ぶ。

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」で、興味を持った方はこちらも見にいっていただきたい。
また、今年の『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』では新作を発表する予定。是非足を運んでみては?

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」

会場:森美術館
月・水~日10:00~22:00
(最終入館 21:30)
火10:00~17:00
(最終入館 16:30)
会期:2017.11.18(土)~ 2018.4.1(日)
※会期中無休
同時開催:「MAMコレクション006」展、「MAMスクリーン007」展、「MAMプロジェクト024」展

レアンドロ・エルリッヒ『Cosmic & Domestic』

2018年1月19日(金)~2月25日(日)
会場:東京都 代官山 アートフロントギャラリー
時間:11:00~19:00
休廊日:月曜
料金:無料