巨大な岩のような外観が見る人の目を釘ずけにする!OMA・レム・コールハース設計の「カーサ・ダ・ムジカ」

高低差を利用して、多角的な視点で空間に広がりをみせるスキップフロア設計。都心を中心に狭い土地でも空間を有効的に活用するために、店舗や住宅などで最近では良く活用される建築工法だ。

実は世界には、スキップフロアのように多角形のバランスが面白い建築物が数多く建てられている。今回は巨大な岩のような外観が見る人の目を釘ずけにする世界的に有名な音楽ホール「カーサ・ダ・ムジカ」をご紹介。

多くのメディアからも注目を集める音楽ホール「カーサ・ダ・ムジカ」。

ポルトガルのポルト中心部の南西に位置する、ボアヴィスタ通りのロータリーに面して建つ巨大な音楽ホール「カーサ・ダ・ムジカ」。EU文化文化首都にポルトの都市が定められたことを記念して建てられた、音楽専門の施設。

国際指名コンペを勝ち抜いたレム・コールハースと彼の事務所OMAの設計で、多くのメディアに取り上げられた有名な建築だ。レム・コールハース設計の建築は日本では福岡にあるネクサスワールドで唯一観ることができる。

岩か隕石か!地形を生かした巨大なコンクリートの外観。

円形の広場の中央に建てられ、周囲はオフィスビルや公園、周囲の敷地も地形のようなスロープになっており、晴れた日はスケボー少年で賑わう伝統的なポルトの街並みの中に、突如現れた岩や隕石を思わせる巨大なコンクリートのフォルムは遠くからでも存在感を放つ。

窓からの景色で、変化に富んだ空間構造でも居場所は明快!

どんな空間構造になっているかは多面体の外観からは想像もつかないため、内部に入ると変化に富んだ構成になっている。しかし、外観から受ける印象とは違い、要所に設けられた窓から見える景色で、どの位置にいるかが明快にわかる仕組みだ。

建物の核となるコンサートホールを取巻くように配された小さな空間は、そのほとんどが通り抜け可能で、各部屋はメインホールに視覚的に繋がっている。

メインホールを中心に取り巻く、大きさ、性質が異なる音楽空間。

パサージュ(建物の中を通り抜ける歩行者専用の通路)に沿って設けられるオープンスペースでは、幾つも部屋があるが各部屋それぞれがメインホールと接続していて内装や大きさ、性質が異なる。

人の動きを感知してBGMが変わるサウンドスケープや、音楽キーボードやミキサーが設置されていて音の編集などができる空間、音の反響がほとんどない部屋など音楽専門のホールらしい部屋が設けれている。

コールハースの工夫が見えるインテリアや通路バックヤードの仕上げ。

バックヤードや通路の壁や天井は、金属板を金属等の板をパンチングプレスの金型で穴を開けた加工をしたパンチングメタルを使用。表面が平面なので、耐摩耗等の耐久性が高く目が崩れにくい。

パンチングメタルの穴からは照明や配線がその裏に見え、手すりはローコストな材料。優れたデザイン性でけしてチープには見えない。

メインホールとそれに接続する各部屋の関係性をつなぐスキップフロア設計の巨大な建物「カーサ・ダ・ムジカ」は、その奇抜な印象とは対照的に、部屋がメインホールとポルトの街並みに接続し、周囲との関係をバランス良く保っている。

ぜひ、ポルトを訪れた際はその巨大なスキップフロア設計の建物を見て、新たな視点を広げていただきたい。