わずかなスペースがくつろぎと、安らぎと、癒しを与えてくれる、和風建築の代名詞「縁側」

縁側でお茶をすする。一昔前までは当たり前だった日本の風景です。わずかなスペースで、くつろぎ、安らぎ、おもてなしの空間と様々な用途を果たす縁側。内と外をつなぐその空間は私たちの心と暮らしにゆとりを与えてくれます。

また、和風建築といったら“縁側”というほど縁側ファンは多く、縁側に憧れて和風建築を建てる方もいるほど。そんな沢山の人に親しまれている縁側には、実は様々な種類があります。今回はあまり知られていない縁側の種類につてご紹介したいと思います。

廊下や出入り口として用いる「外縁」。

縁側は、日本の和風住宅の独特の構造で、家の建物の縁(へり)部分(部屋の外周部)に張り出して設けられた、廊下や出入り口として用いる板敷き状の通路のことを指します。庭や外部から直接屋内に上がることができ、 欧風建築では、ベランダ、ポーチとったものが縁側と同じような役割を果たしています。

縁側は大きく2種類に分けられ、建物の周囲に立つ柱を側柱の外に出る縁を「外縁」といい、外側に雨戸やガラス戸を立て戸外と仕切るものなど種類は豊富。反対に雨を遮るものがない、雨が降りかかると濡れるという意味で「濡れ縁」との2種類に分かれます。

水はけ、水切りのよい作りの「濡れ縁」。

住宅の外部に設けられた雨ざらしの縁側から、雨が降りかかると濡れるという意味で「濡れ縁」また「雨縁」とも呼ばれます。建物の内部にある縁側は長手方向(敷居と平行)に板が張られますが、「濡れ縁」は縁側と直角方向に板を張ることが多いのも特徴です。

板の木口面が外側から見える建物に対して直角に板を並べる形式のものを「切れ目縁」ともいいます。水切れ・水ハケをよくするるために板と板の間にすき間をあけた「すの子縁」にしたり、竹を用いた「竹縁」にするケースも珍しくありません。

廊下・通路としての役割を果たす、別名畳廊下「入側縁」。

側柱と入側柱の間を開放して板張りとしたもので入側縁は広縁とも呼ばれています。入側は人が歩く廊下・通路としても役割を果たしますが、畳廊下とも言います。

江戸時代などでは室に入ることが許されない従者や家臣などが入側縁(なので少し広いスペースなんですね)着座し、控えていました。通路としても役割に視点を置いているため、腰かけて庭をみるという用途では入側とは別に「広縁」というものがあります。

現代の縁側の形「くれ縁」。

「くれ縁」とは、雨戸などの内側にある縁側のことで、外側の戸を開け閉めすることで、縁側が雨に濡れないようにしたり心地いい風や光を縁側で楽しんだりと、外部とのつながり方を調整できるタイプの縁側です。晴れの日でも雨の日でも天候に左右されず、くれ縁から四季の移ろいを楽しむことが出来ます。また「くれ縁」は建物の内側の縁側であることから、「内縁」と呼ばれることもあります。

 

わずかなスペースで、四季折々の風景を楽しみながら、くつろぎ、安らぎの空間を与えてくれる縁側。和風建築や、平家建ての住宅を建てられる際は、ぜひ「縁側」という癒しの空間にも拘ってみてはいかがでしょうか。