あなたも芸術家?!空きスペースをアトリエ・ギャラリーに、アートな空間が広がる家「casa amare」

「casa amare」の三×八間(五・四六×14.56m)の平均的な間取りを使い、アトリエとギャラリーを自宅に設けたSさん。

二階の一部をアトリエと寝室に変更し、それぞれに収納スペースも確保。吹き抜けに面した廊下の部分に作品を展示し、作品を眺めながらカフェスペースでくつろぐという「至福の空間」を手に入れたSさんにお話を伺った。

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ーアトリエ・ギャラリーと、なかなか一般的なお家にない空間ですが「造ろう!」と思ったきっかけは何ですか?

きっかけは娘です。美大をでて一度は就職したものの、いきなり「パリにいく!」といいだし家を出た、フランスに留学していた次女が帰ってきた事がきっかけです。

戻ってきたら嫁にでも行くのかと思っていたのですが、こちらの心情とは裏腹に、どうやらこの家に居座るつもりだったらしいです…(笑)

 

ー奥様はそれを見てなんと?(笑)

妻には早々に内諾を得てたらしく、二階に自分の寝室とアトリエをつくることを事後報告のごとく伝えてきました。(笑)

確かに、二階のフリースペースは老いた二人には少々持て余し気味で、私には一階に趣味の陶芸スペースがあることだし、二階には次女の好きにさせようと思いました。

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ーアトリエ・ギャラリーはどちらに作られたのですか?

吹き抜けに面した二階の廊下の壁に、作品展示できるようにしました。物置と化していた二階の西側のスペースは、ちょっとした打ち合わせにも使えるようなカフェスペースを設けました。

 

ー自宅にギャラリーがあるなんて素敵ですね。

次女は絵画だけでなく、彫ったり、こねたり削ったりして、彫刻とも粘土細工ともつかないものをつくります。次女の友人が「現代アート」だと教えてくれるが、自分にはよくわからない世界です…(笑)

 

ーその現代アートが二階の廊下にずらりと並べてあるのですね。

はい。歌舞伎には花道があり、能楽には橋懸というものがあります。例えるなら、メインの舞台から突き出るように細長く伸びた〝花道〟ですね。

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ー花道という場をなくして芝居は成立しえないはずで、花道はその場に立つものを実に輝かせる。とても重要な空間のように感じますが。

そうですね〜、団十郎が十八番とした『勘進帳』のクライマックスでは、主人公の弁慶の「飛び六法」が見せ場です。金剛杖を握りしめた弁慶が花道にひとり佇んでいるが、拍子木で打つ大きな音を合図に飛ぶようにして引っ込んでいく。

その刹那的な幕引きが観客に余韻を残すのですが、確かに花道なくして成立しないですしね。芸術を解さない自分でも、廊下にある次女の作品に思わず目がとまることがある。我が家の廊下にも花道のような効果があるんでしょうか。(笑)

 

ありがとうございます。

 

そういって、お嬢様の話を楽しそうに語るSさん。

「casa amare」の廊下は、通路としての役割だけでなく特別な意味合いをもたせる事ができる。

廊下なくして「casa amare」の空間は成立しないのかもしれない。