日本で唯一のル・コルビュジエによる建築作品「国立西洋美術館」世界遺産へ。2016.07.30Sat

日本時間の7/17、トルコ・イスタンブールで開催されたユネスコ世界遺産委員会で、

日本で唯一のル・コルビュジエによる建築作品「国立西洋美術館」が、世界文化遺産に登録された。

20世紀を代表する建築家、「近代建築の巨匠」ル・コルビュジエ。

MG_8800-1024x683

 

ル・コルビジェをご存知ない方のためにどんな人物か簡単にご説明すると、20世紀を代表する建築家で、「近代建築の巨匠」と呼ばれている。スイス出身の、パリを拠点に世界各地で活躍した建築家だ。

床、柱、階段を建物の骨組みとする建築手法を考案し、それまでの伝統的な石積みやレンガ積みの建築から転換を図った。また、「ピロティ」と呼ばれる柱で支えられた吹き抜け空間、屋上庭園、横長の窓などを新しい建築の5つの要点「近代建築の5原則」として提唱。

さらに、人の体の大きさなどから建物や部屋、家具の寸法を決める「モデュロール」という方法を開発。 日本の近代建築にも大きな影響を及ぼしたとされている人物だ。

 

MG_9030-1024x683

 

今回世界遺産に登録された「国立西洋美術館」は、日本で唯一のコルビジェの作品であり、コルビジェが手がけた美術館3つのなかの一つだ。また、インドのチャンディーガルの作品群以外ではアジアではここだけなのを考えると〝貴重な建築物″といえる。

一説にはコルビジェ自身が一度も完成を見なかったことから日本では評価が低かったとも言われているが、ヴォリュームを浮かし、1階の一部をピロティとしたり、内部には変わる景観が楽しめるスロープが設けられいたり、ル・コルビュジエ建築の特徴を綺麗に残した建築物だ。

 

7カ国、17の建築作品が世界文化遺産に登録。

IMG_7203-1024x768

 

今回は、東京・上野の「国立西洋美術館」を含む、7カ国・17の建築が「ル・コルビュジエの建築作品」として世界文化遺産への登録が正式に決定された。その他の建築物をご紹介しよう。

 

サヴォア邸:ル・コルビュジエのモダニズム住宅。20世紀の最高傑作といわれている。

ロンシャンの礼拝堂:ル・コルビュジエ後期の傑作。大胆さと静寂が共存する神秘的な美さの建築。

フィルミニの文化会館と青少年の家:ル・コルビュジエの作品の聖地・フェルミニの「サン・ピエール教会」。

マルセイユのユニテ・ダビタシオン:マルセイユのル・コルビュジエ設計の集合住宅。

ぺサックの集合住宅:この建築だけで図面集が出版されていたり、空間構成が興味深い集合住宅。

サン・ディエ工場:大きなブリーズ・ソレイユやピロティが特徴的。

ナンジュセール・エ・コリ通りのアパルトマンとアトリエ:パリ16区、高級住宅街にあるル・コルビュジエの「アパルトマンとアトリエ」。

ラ・トゥーレット修道院:ル・コルビュジエ後期の代表作。ダイナミックなモダニズムを感じさせる建築。

ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸:小さなギャラリーのような室内空間が特徴。

カップ・マルタンの小屋:カップ・マルタン、モナコ、ニース、カンヌと海岸線が美しいコート・ダ・ジュール。

イムーブル・クラルテ:スイス・ジュネーヴに建つ集合住宅でマルセイユのユニテ・ダビタシオンよりも軽やかなイムーブル・クラルテ。ル・コルビュジエが最初に手がけた集合住宅。

レマン湖畔の小さな家:水平連続窓や屋上の使い方がいかにもコルビュジエという作品。ミュージアムとして一般公開されていて観に行くこともできる。

ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅:ドイツ1927年にシュトゥットガルトで開かれた「ジードルングの住宅展」に出展された住宅。

ギエット邸:ベルギー・アントワープにある画家・芸術評論家のルネ・ギエットの住宅兼アトリエだった。

アルゼンチン:クルチェット邸:「ル・コルビュジエの家」として映画で使われた住宅。

インド:チャンディガルのキャンピトル・コンプレックス。チャンディーガルの議事堂。

世界に広がったモダニズム建築。

IMG_7559-1024x768

 

建築界の巨人、近代建築の始祖、20世紀最大の建築家-さまざまな呼称を冠せられるル・コルビュジエ。

そんな彼が、提唱したモダニズム建築(近代主義建築)。

単に従来の建築を伝統から切り離したり、装飾を省略するというだけではなく合理性をモットーとする考えや、普遍的な「空間」の概念を導入した「社会の現実に合った建築を作ろう」とする近代建築運動のコンセプトは、世界中に浸透し現代でも多くの国々で指示されている。

 

海外に比べ、建築自体に興味を持ったり観賞したりするような感覚が薄い日本。そんな中での、今回の世界文化遺産登録は、これまであまり知られることのなかった近代建築や、建築自体への関心を持ってもらう良い機会だったように感じる。これを基に、今後の日本人の建築への価値観の広がりにも期待したい。