
限られた面積でも叶う、ゆとりあるLDKと中庭のある平屋「包容の平屋」
前編:建築家の設計で叶えられた、23坪とは思えないのびやかな住まい「包容の平屋」
「平屋に住みたい。でも3LDKも必要だし、中庭も欲しいし…」そんな理想を“限られた敷地面積”の前に一度は諦めた方も少なくないかもしれません。しかし、この延べ床面積23坪の平屋は、そのすべてを叶えています。建築家の知恵と工夫が詰め込まれた設計は、面積以上の広がりを感じさせ、家族の暮らしを心地よく包み込みます。今回は家の中心となるLDK空間、落ち着きのあるプライベートルーム、そして生活をより豊かにする中庭について詳しくご紹介します。
家族が自然と集まる、陽だまりのLDK空間
玄関すぐの扉の先に広がるのは、直線的に配置されたLDK空間。
中庭に面した大きな窓からは自然光がたっぷりと注ぎ、時間帯によって表情を変える光が暮らしにリズムをもたらします。
リビング・ダイニング・キッチンを横並びに配置することで、空間を効率よく使いながらも、家族の存在を常に感じられる開放感のある設計に。
天井を高く設けたことで、16畳という広さを超える“広がり”を実現しています。
キッチンは人気のペニンシュラ型を採用。
リビングや中庭を見渡しながら料理ができるため、家族との会話が自然と生まれます。
さらに、キッチン天井を一段下げることで、空間にさりげないゾーニングが生まれ、デザイン性にもこだわりが光ります。
ダイニングテーブルはキッチンカウンターに直付けするように配置すると、限られたスペースを最大限に活かしつつ、配膳や片付けのしやすさにも配慮されています。
生活感を見せない工夫と快適な暮らしを叶えるプライベートルーム
LDKの奥には、フリースペースとプライベートルームが続きます。
キッチン横に配置された約4畳のフリースペースは、リビングとつながる位置にありながらも、白壁と大きな窓によって、空間に奥行きを与える工夫が施されています。
お子さまのプレイスペースやちょっとしたワークスペースとして、多目的に活用可能。おもちゃや書類などで一時的に散らかっていても、LDKのすっきりとした印象はそのままに保つことができます。
その奥に配された寝室と子ども部屋は、どちらも最小限のスペースながら、機能性を最大限に引き出した設計です。
子ども部屋は4畳に満たないながらも、オープンクローゼットやカウンターデスクを造作することで、ベッド以外の家具が不要なシンプルかつスマートな空間に。
高窓からの自然光が、プライバシーを保ちつつ室内を心地よく照らします。
プライベート性と開放感を両立する中庭という贅沢
この住まいの大きな魅力の一つが、中庭の存在です。
南面に設けられた約11畳(6m×3m)の中庭は、外壁でしっかりと囲われており、周囲からの視線を完全に遮断。
外にいながらも、まるで室内にいるようなプライベートな空間が広がります。天気のいい日には家族でBBQを楽しんだり、子どもがプールで遊んだり。もちろん、洗濯物を干すスペースとしても大活躍。
使う時間帯や目的によって表情を変える中庭は、暮らしに寄り添う“もう一つのリビング”です。
この中庭の存在によって、LDKはカーテンなしでも快適に過ごせる開放的な空間に。外壁でしっかり守られた安心感の中で、外の風や光を存分に取り入れる設計は、まさに平屋だからこそ叶えられる贅沢です。
建築家の工夫で、空間以上の広がりを感じる暮らしへ
限られた面積で、ここまで豊かな空間体験が得られるのは、やはり建築家の視点と設計力によるもの。生活動線、採光、ゾーニング、収納…一つひとつに無駄がなく、理にかなった設計が住まいの価値を高めています。“広い家”を求めるのではなく、“広がりを感じる家”をつくる。そんな考え方の転換こそ、これからの住まいづくりに必要なことなのかもしれません。