「住まう人の習慣や思考を設計を通じて形にする」建築家・内山里江のデザインで大切にしているポイントや建築家になったきっかけについて

「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、のべ2000棟以上の建築の設計・デザインを手掛けてきた建築家、株式会社コモドデザイン代表・内山里江さん。ご自身初の著書「家は南向きじゃなくていい」(講談社、2024)では、これまでの家づくりの常識を覆すような内山さんならではの核心をついた空間づくりのコツを紹介されています。今回はそんな内山さんに、デザインで大切にされているポイントや建築家になったきっかけについて伺いました。

建築家・内山里江

1972年高知県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗を中心とした建築設計業務に従事。一級建築士資格を取得後、2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」をモットーに、付加価値を高める設計を提案し続けている。著書に「家は南向きじゃなくていい」(講談社、2024)。

その人の個性から暮らしを形づくる

まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。

「デザインというと色々幅が広いと思うのですが、私は住まいを中心にお仕事をさせて頂いており、住まいとは生活をする場所だと考えています。なので、自分が好きなこととか、例えば私であれば映画を見たりお料理をしたり、本を読んだりするのが好きなのですが、そういった個人の習慣や思考を設計を通じて形にしていくということを大切にしています。」

作業ができる屋根付きテラスがお気に入り

建築家として、お好きな空間はどういったものなのでしょうか。

「コロナ禍以降、自宅のキッチンとダイニングに繋がる位置にちょっとしたテラスがあって、そこでお仕事をすることが増えました。作業の合間に空が眺められて、リラックスしながら仕事ができるので気に入っています。屋根もあって雨の日にも使えるので、雨の日は雨音を聞きながら静かに作業するのにも良い空間なんです。」

建築家・宮脇檀の手掛けた住宅に衝撃を受けて建築の道へ

建築家を目指すようになったきっかけはどういったものでしょうか。

「12歳の頃に宮脇檀さんという建築家が建てられた私の父の友人の自宅を見せて頂く機会があったんです。それはもう三十数年も前のことなのですが、今も鮮明に覚えているほど衝撃的な空間でした。サプライズがいっぱいあって、今でも図面が思い浮かぶくらいとても記憶に残る体験をしたんです。その原体験が現在の仕事に通じているのかなと思います。そこで明確に建築家になりたいと考えたわけではないのですが、当時の私の住まいがアパートだったのもあって、『こんなに楽しい住まいがあるのか!』と感動するような空間だったんです。最終的には建築家を目指したという形にはなるのですが、大元のきっかけはそういった経験だと思います。」

身近なものからのインプットを常に意識している

内山さんはデザイン性はもちろん、暮らしに密着した住まいを数多く設計されていますが、そういったアイディアはどういったところに由来するのでしょうか。

「私は自分の体験を通じて皆さんのお手伝いができたらいいなと考えていて、日頃から意識してインプットをするようにしています。例えば、家の家電はどんどん進化していますよね。どういったポイントが流行っているのか、人気のタイプはどういったものなのか、家電量販店さんで細かいところまで見たり聞いたりしています。」

休むだけでなく、楽しく遊べる家は実現できる

内山さんの家づくりのコンセプト「家を単なる休む場所ではなく、遊べる場所に」に込められた想いというのはどういったものでしょうか。

「家づくりは人生の中でも一生に一度の体験なので、ただ食べる、寝る、お風呂に入る、そして休むという生活だけではなくて、ゴルフや温泉だったり家の外でしか体験できないようなこともできる、遊べる住まいづくりを目指しています。みなさん、予算や敷地の関係でそういったことが難しいと考えがちなのですが、工夫次第で『楽しく遊べる家』は実現できるんです。そういった住まいづくりの可能性を伝えたいという気持ちで日々取り組んでいます。」

住まいづくりは自由でいい

生活のみならず、遊びの空間も盛り込んだ住まいづくりを提案する内山さん。ご自身の原風景となった住まいへの感動をそのままに、家族それぞれのライフスタイルに合わせた遊べる住まいを生み出す内山さんの作品には、後悔のないマイホームづくりへのヒントが見つかるかもしれません。

後編:堀江貴文の長尺ワイド番組「ホリスペ!」 建築家・内山里江が語る住まいのポイントや、人気を集める「遊ぶための家」づくりについて