デニムが塗料に?アップサイクルで“ゴミ”に新たな価値を与える「GOMITAIJI」とは!?

SDGsの考えが一般化し、消費・生産過程が見直されつつある今日。インテリアの世界でもペットボトルや衣類の端材など、資源を再利用したマテリアルやプロダクトが多く生み出されています。現在、世界の人口はおよそ76億人。2050年までには100億人に増えることが予想されており、持続可能な消費のためには資源を再活用して次の消費につなげる「アップサイクル」の視点は欠かせません。そんなアップサイクルに取り組む企業の課題を解決する「GOMITAIJI」では、デニムの端材をアップサイクルした塗料やコルクをアップサイクルしたパネルなど、日々排出されるゴミに新たな価値を与え、ユニークなアイテムを生み出しています。

アップサイクルで課題を解決する「GOMITAIJI」

2022年5月30日(ごみゼロの日)、「“改(あらた)な価値”を“新たな価値に”」をコンセプトに、アップサイクルに取り組む企業の課題解決を目指し、一般社団法人「GOMITAIJI」が設立されました。三浦征也代表理事は、これまで卵の殻をアップサイクルしたインテリア資材の開発を手掛けており、それらの製品はこれまで数万件を超える商業施設や建築物に利用されてきました。

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「GOMITAIJI」(ゴミ退治)というネーミングには、お年寄りから子供まで誰でも知ってる合言葉にしたいというメッセージが込められており、ロゴマークはゴミが新たな価値へと羽ばたくイメージから開発されました。

建築業界の立場から廃材の有効活用を推進するFANFARE

これらのプロジェクト名のネーミングと、ロゴマークのデザインを手掛けたのは、三浦さんと共に共同代表理事を務める梶原清悟さん率いる福岡のクリエイティブカンパニー「FANFARE」。お二人の関係は、梶原さんが手掛ける住宅プロジェクトに三浦さんが卵の殻をアップサイクルした内装材を提案したのがきっかけとなりました。以降、設計という立場でエンドユーザーの声を聞く機会が多い梶原さんが、三浦さんが開発する商材に対して現場のニーズやデザイン性などを意見することで、より実用的で優れた製品開発が可能になったのです。

GOMITAIJI設立後は共同代表理事として、コンセプトに沿ったプロダクトデザインや企画プロデュースによって、モノ造り企業の問題解決をクリエイティブ面でサポート。幅広い現場の知見と共に、建築廃材としてゴミとされる資材の有効活用の推進を目指しています。そのほか、未来を担う子供たちが“ゴミ退治”の活動に触れるきっかけとなるイベントやプロダクトの開発によって、幅広い世代へのプロジェクトの普及を目指しています。

ゴミ=素材。見方次第で変わるゴミの価値

GOMITAIJIでは卵の殻に限らず、日々持ち込まれる新たなゴミを素材として捉え、新たな価値作りに日々挑戦しています。

これまでに、デニムの端材を原料としたインディゴブルーの左官材「NURU DENIM」や、都内飲食店から排出されるワインやシャンパンなどのコルク栓を回収、洗浄、破砕して内装材のパネルとして製品化した「RECORK WOOD PANEL」など、いずれもこれまで破棄されていた素材をアップサイクルして蘇らせてきました。

「たくさんの仲間とゴミにまつわる課題を解決したい」

GOMITAIJI設立について、三浦さんはこう述べています。

「これまで卵の殻を中心としたアップサイクルによる製品の開発・製造を行ってきました。その活動を続けるうちに、捨てられてしまう素材に関する相談が数多く寄せられるようになり、様々な知見を持つ仲間を交えながら、チームとしてそれらの課題に取り組みたいとの思いから、一般社団法人GOMITAIJIを設立しました。

それぞれの企業や団体が、暮らしを豊かにする良いものを生み出す中で、どうしても生まれてしまう端材や廃棄物から、新しい価値のあるプロダクトを提案することで、様々な課題の解決に努め、次の世代につなげる取り組みを推進したいと考えています。」

ひとりではなくチームで取り組むことで、より多角的にアップサイクルの普及を目指すGOMITAIJI。より良い社会づくりに向けた真っ直ぐな熱い想いが多くの仲間を惹きつけ、プロジェクトを大きなものにしています。

新しい価値を見出し、ゴミの存在を見直す

これまで無意識にゴミとされ、捨てられてきたものに新たな価値を見出し、姿を変えた製品として世の中に戻す。持続可能な社会づくりを牽引するチームとしてはもちろん、これまでにないマテリアルを生み出すメーカーとしても目が離せないGOMITAIJI。ポジティブな視点で社会・企業の課題を解決する彼らの活動を通して、より良い未来のための新たな価値観が広がりつつあります。

後編:「GOMITAIJI」による新たな視点で生み出された廃棄物原料のユニークなマテリアルたち