【ミラノデザインウィーク2023】YAMAGIWAが坂茂による空間でフランク・ロイド・ライトによる照明にフォーカス。

毎年イタリア・ミラノで開催される世界最大規模の家具見本市「Milano Salone(ミラノサローネ)」。第61回となる今回は、新型コロナウイルスの流行以降、4年ぶりとなる4月開催となりました。日本からは、同時期に開催される「フォーリサローネ」に出展する企業・ブランドも多く、例年以上に注目される年となり、予想をはるかに上回る307,000人以上の来場者を記録しました。オリジナル照明をはじめ世界の照明・家具ブランドの輸入・販売を行う株式会社YAMAGIWAも今回のミラノサローネに出展。出展は2011年以来12年ぶりで、多くの来場者で会場は賑わいました。

フランク・ロイド・ライトの照明「TALIESIN®」シリーズに焦点を当てた展示

「The Harmony of Form and Function」と題した展示では、内装設計に国際的に活躍する日本の建築家・坂茂を迎え、近代建築の三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトが設計した照明器具「TALIESIN®」シリーズに焦点を当てた展示を開催。

人間性を尊重した有機的なフォルムと心地の良い灯り

今回の展示では、人工知能やバーチャルリアリティなど、急速に普及するテクノロジーに注目が集まる現代において、豊かな人間性の確保を理想に掲げた建築家、フランク・ロイド・ライトに着目。機能主義建築に異論を唱え、「機能と形態は一体であるべき」と唱えたライトは、「有機的建築(オーガニック・アーキテクチャー)」を提唱し、建築と自然の調和を目指しました。

幾何学的なアニミズムを宿す美しいフォルムと心地良い間接光が織りなすライトの照明は、人々の感性を揺さぶり、現代社会で忘れられた生命の喜びを呼び起こします。

現代に蘇る、自然にインスピレーションを得た照明器具「TALIESIN®」

今回展示のメインとなったTALIESIN®とは、近代建築の三大巨匠のひとり フランク・ロイド・ライトが設計した照明器具の復刻シリーズ。米国のフランク・ロイド・ライト財団とYAMAGIWA のコラボレーションを通し、残された図面、現地調査及び厳正な試作検査を経てライトの作品を現代に甦らせました。

ライトは、枝葉から透けて差し込む太陽や月の光を美しいと考え、自然の光にインスピレーションを得てTALIESINを設計。1933 年にヒルサイド・ホーム・スクール(1902 年)の体育館を劇場に改装した際に設計したペンダント照明がTALIESIN2 の原型となっています。ランプを覆ういくつものブロックで制御された上下方向の光はさらに遮光板に反射し、間接光の心地よい明るさが得られます。柔らかな間接光とリズミカルなシルエットで、心地よい空間を演出します。

TALIESIN はチェリー、ウォルナット、ブラック、国内外で活躍するクリエイターとコラボレーションしたオマージュシリーズなど、様々なラインナップを展開。YAMAGIWA は財団から監修・許諾を受け照明の復刻生産を行う公認ブランドで、30 年にわたりライトの照明器具を作り続けています。

柔らかな光を活かす紙管によるトンネル空間

展示空間の設計について、坂茂は次のように語ります。

「フランク・ロイド・ライトのタリアセンランプの魅力を引き出すには、美術館のようなホワイトボックスではなく、素材の質感を生かした翳のある空間が良いと考えた。ライトがタリアセンをデザインした際にも、そのような空間で使用することを想定していたはずである。

ここで提案した紙管を使用したシンプルなトンネルの展示空間は、壁から天井まで同一の材料で覆うことでタリアセンランプのデザインを邪魔することなくその柔らかな光の質を来場者に体験してもらうことを目指している。紙管のトンネルはライトの代表作の一つであるジョンソン・ワックス社屋のガラスチューブで構成された廊下を連想させるものでもある。

また同様のトンネル状の空間はライトの晩年の作品で、グッゲンハイム美術館のプロトタイプとしても知られる旧モリス商会のエントランス部分にも見られる。こちらは細長いレンガを使用しているため、色味も含めてますます紙管のトンネルとの共通性が感じられる。紙管というリサイクルが可能な材料を使うことで短期間の展示会で建材を無駄に消費せずとも、フランク・ロイド・ライトの世界観を効果的に表現できたと思う。」

創業100年を迎えるYAMAGIWAの挑戦

1923 年の創業以来、日本の照明業界におけるパイオニアとして革新的な照明器具・技術を追求しているYAMAGIWA。タグライン「The Art of Lighting」のもと、これからも美しい暮らしと社会の実現に向け、光が生み出す美しい情緒的価値を社会に提供し続けています。

URL : YAMAGIWA公式サイト