建築からモニュメントまで様々なニーマイヤーの作品が並ぶブラジル・サンパウロにある「ラテンアメリカ記念公園」
ブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤー。女性の身体に例えられるように有機的で自由な曲線を特徴としたデザインからは、ブラジルの自然が持つ生命感とモダニズムの幾何学の見事な融合を感じ取ることができます。2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を手がけていた彼の作品は、プリーツカー賞・アメリカ建築協会ゴールドメダルなど数々の建築賞を受賞。その成功は建築という概念を超えてブラジルの名を世界に知らしめる多大な貢献を果たしました。
幹線道路を挟んだ広大な空間・ラテンアメリカ記念公園
1989年 ラテンアメリカの文化・政治・社会・経済の連帯を目的として、ニーマイヤーの設計により造られたのが「ラテンアメリカ記念公園」。
ブラジル南東部の都市サンパウロにあるこちらでは、ラテンアメリカに関する資料を所蔵する図書館や博物館のほか、84,480㎡の敷地内にある全ての建築物がニーマイヤーの設計です。
広い敷地を持つラテンアメリカ記念公園は、幹線道路を挟んで2つの敷地にまたがっています。駅から地下通路をくぐって入場すると右側に「図書館」、左側に「ギャラリー」、正面遠くにコンクリートでかたどられた有名な「手」(A Mao)、その奥に「イベント・ホール」が並びます。
高く伸びる両端の柱が目印・図書館
巨大な柱と梁が曲線の屋根を支えている図書館。高く伸びた両端の柱が象徴的です。
天井からシームレスでカーブを描くコンクリート壁には規則的に丸窓が並びます。
丸窓から差し込む光が宇宙船のようで、凝った装飾はないものの、近代的な空間となっています。
開放感が感じられる空間が魅力の「イベントホール」
イベントホールはH型のフレームに半円柱がはさまれた図書館に似た建築です。
水盤から立ち上がる巨大な柱と梁が背面の局面屋根を支える構造です。
建築内部は、曲面の屋根が開放感を感じさせる、高さを生かした展示空間となっています。
インテリアなどは無いものの、建築のみで作られたダイナミックな空間が圧巻です。
「手」のモニュメントが印象的な「広場」
ニーマイヤーらしい最短距離でなく、演出的な曲線を使った橋を渡って道路の反対側の広場へと渡ります。
この広場の中央には血が流れた「手」の彫刻のモニュメントが設けられており、独立のために血を流したラテンアメリカの国家の功績を讃えています。指が目一杯に広げられ、血が滴るように南アメリカ大陸の地図が描かれたこの手は、ラテンアメリカの自由、主権、社会正義のための現地人による闘争への賛辞を表しており、「汗と血と貧困は、分断され抑圧されたラテンアメリカの歴史を刻んでいる」という一文が残されています。
ニーマイヤーのデザインが集結する空間
手のモニュメントもニーマイヤーが手掛けており、ラテンアメリカ記念公園では建築のみならず様々な観点で彼の創作を味わうことができます。
Memorial da América Latina – ラテンアメリカ記念公園
開館時間:9:00~18:00
休館日:月曜日
URL : http://www.memorial.org.br
住所:Av. Auro Soares de Moura Andrade, 664 – Barra Funda, São Paulo – SP, 01156-001 Brasil