荒々しくも斬新で趣深い!長坂常・スキーマ建築計画による改修で魅せる「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」

京都左京区南禅寺草川町の「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」。ここは長坂常・スキーマ建築計画による監修・設計で、築100年を越える京町屋をリノベーションして2018年にオープンした。「ブルーボトルコーヒー」らしいデザイン性と「京都らしい風情と歴史」を調和させた斬新で趣深い空間は、業界外からも話題を集めている。

京都左京区南禅寺草川町にある「ブルーボトルコーヒー京都カフェ」

京都の美しい山間と調和する南禅寺エリア、有名な老舗湯豆腐店も軒を連ねる参道沿いに佇む「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」。ブルーボトルコーヒーとしては日本国内で8番目、関西では初店舗として2018年にオープンした。

数あるブルーボトルコーヒー店舗の中でも「京都カフェ」の特徴は、築100年を越える京町屋をリノベートしたものであるということだ。これまでの「ブルーボトルコーヒー」らしいデザイン性も保たせつつ「京都らしい風情と歴史」をうまく取り入れたリノベーションで、業界外からも話題を集めている。

長坂 常氏が率いる「スキーマ建築計画」が設計

敷地内に既存した2棟をあわせた「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」。この設計を手掛けたのは、長坂 常 氏が率いるスキーマ建築計画だ。 2棟はそれぞれ「物販棟(はなれ)」と「カフェ棟へ」と改修した。

スキーマ建築計画の長 坂常 氏は、これまでも国内のブルーボトルコーヒーのの日本初上陸店「清澄白河ロースタリー&カフェ 」や新宿店なども手がける。言わば「ブルーボトルコーヒー」というブランドを熟知した男だ。

既存の建物を生かしながらも、自然光の差し込む大きなガラス窓が印象的な外観

ブルーボトルコーヒーの国内店舗では最大面積で作られた「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」。

京町屋のノスタルジックな風情とモダンな要素が美しく調和する。砂利の敷かれた庭には、春から夏にかけての新緑や秋に色づく紅葉など、四季折々の自然に包まれながら、特別なひとときを過ごすことができるテラス席も用意されている。

荒々しくも趣の深い開放感が広がる店内

店内に入ると我々を迎えるのは、高い吹き抜けの天井と重厚な柱、剥き出しになった土壁で魅せられた開放的な空間だ。梁が整然と組まれた美しい骨組みと、そのまま剥き出された土壁や竹小舞が荒々しいながらも趣深く店内空間を仕上げている。

元々のまま残された素材らとは対照的に、天井に配置されたネオンライトや、キッチン・家具などに用いた無機質なマテリアルによるコントラストが、ノスタルジックな風情と美しく調和する。

長坂 常氏がこだわる「フラットな関係」のある空間

これまで、数々のブルーボトルコーヒー店舗を手掛けてきた長坂 常 氏。ブルーボトルコーヒーの店舗の設計において、彼は一貫してこだわっていることがある。それは「フラット」であること。

今回の「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」では、日本建築の特徴でもある「50センチほどの上がり」をも取り壊し、屋内外の床をフラットに見えるように施工しているのがわかる。この床はカウンターや厨房の中までもフラットに続き、素材も統一することで、繋がりを見せている。

この理由は、ブルーボトルコーヒー発祥である「アメリカの文化」にある。アメリカの日常的な「接客される側と接客する側の目線の位置が一致する」関係性はフラットであると捉え、かつ「日本とアメリカの文化の融合」を意味している。

100年の変遷を「大中小の空間」で魅せる

国内店舗では最大面積で作られた「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」は、その大きな敷地を「大中小の空間」と「2棟の構成」で展開している。

離れにある棟の2階フロアには予約制の「The Lounge -Kyoto-」も2021年3月にオープンし、コーヒーコースの提供を開始。歴史と四季折々の自然空間を感じながら、空間とコーヒーを贅沢に味わうことができる特別な立地と空間である。

こだわりのコーヒーメニューだけでなく「空間も堪能できる特別なカフェ」として、国内外から人々が訪れる「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」。

歴史と風情が残る「京町屋らしさ」をビジュアル・素材で魅せながらも、フラットな関係を重視した「アメリカ西海岸の文化」を建築で融合する様は、実にかっこいい空間だった。

ブルーボトルコーヒー 京都カフェ

営業時間:9:00-18:00
URL : https://store.bluebottlecoffee.jp/pages/kyoto
住所:京都府京都市左京区南禅寺草川町64