京都・四条烏丸の「COCON KARASUMA」7月22日に隈研吾が再び手掛けた新エリアがオープン
京都・四条烏丸の複合商業施設「COCON KARASUMA(古今烏丸)」が17年ぶりのリノベーションを行い、2021年7月22日(木)に新エリアがオープンする。開業時に引き続き、設計・デザインは建築家・隈研吾が手掛けている。
2004年に隈研吾によるリノベーションを経て再生した「COCON KARASUMA」
「COCON KARASUMA」の前身は、丸紅呉服店(現在の丸紅株式会社)が1938 (昭和13)年に建てた、当時の京都最大といわれた旧丸紅ビル。日建設計の源流である設計事務所・長谷部竹腰建築事務所が手掛けた近代の名建築である。第二次世界大戦後、戦火を免れた同ビルは無傷のまま進駐軍(GHQ)に接収された歴史がある。耐震補強を施し、2004(平成16)年に隈研吾によるリノベーションを経て再生した。印象的なタイルの外壁を修復して保存し、商業施設が入る低層部分にガラスのファサードを付加することによって時間の重層を表現。ガラスには1階に店を構える唐紙の老舗「唐長」に伝わる文様「天平大雲」を施し、ライトアップすると緑色の柔らかな光を放ち、烏丸通に彩りを添えている。当施設は歴史的に価値のある建築物を優れた改修により再生させた功績から、公益社団法人ロングライフビル推進協会より第16回BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞した。
過去と現在、2つの時代の重なりを表現したリノベーション
1938(昭和13)年竣工の近代建築ビル「旧丸紅ビル」を再生し、 2004(平成16)年12月4日に開業した「COCON KARASUMA」。インテリア・アート・食の分野から「上質なくらし」を提案するショップやレストラン、映画館、上層階にはオフィスを備えた複合商業施設である。開業時にリノベーションを手掛けたのは世界的に活躍する建築家の隈研吾。「過去と現在、2つの時代の重なりを表現したかった」との思いからリノベーションという再生手法を採用。近代の名建築の記憶を留めながら、唐紙の老舗「唐長」の文様「天平大雲」が描かれた緑色のファサード(正面の外観)が特徴的な四条烏丸のランドマークとして生まれ変わった。
17年ぶりに再び隈研吾が手掛ける
今回2度目のリノベーションを行ったのは、開業時に増築して作り上げたアトリウムスペース。設計・デザインは、17年ぶりに再び隈研吾が手掛けた。ガラス製のファサードの一部に孔をあけ、雲をイメージしたウッドパネル『WOOD-CLOUD』を施すことで新旧のデザインをインテグレートする烏丸通に面した開放的なテラスを創出。通りから中のアクティビティが感じられる開かれた新しい「COCON KARASUMA」の核となる。
屋内には木の板が重なってランドスケープのようにダイナミックな表情をみせる階段を新設。重なった木の板の一部は、ベンチの機能を兼ねることで、1階のパンのセレクトショップ「KYOTO 1er BAKERY with cuisine」と共に、通路だった場所に賑わいを創出させた。2階は展示会やポップアップショップなどの多彩なイベントを開催できるスペースとなっていて、烏丸通側に作られた半屋外のデッキスペースと、大型引き戸を開け放つことで内外一体となった使い方も可能としている。
新たな魅力を発信できるデザインのアップデートを行うとともに誘客のための視認性強化、老朽劣化部位の改修、温熱環境の改善、防災機能の強化。今回のリノベーションで、新しい時代のスタンダードを表現する複合商業施設となることを目指している。
隈研吾よりメッセージ
おりしもCOVID19が世界中で流行し、人々の生活は変わらざるを得なくなり、より風通しの良い空間が求められる時代となっています。今回のリニューアルでは、街並みに対して、軒下のようなくぼみ、アクティビティが外部へ滲み出すようなテラスを設けました。テラスに設けた「WOOD-CLOUD」は、都市のダイナミズムと内部空間をつないでおり、木漏れ日のような陰影を作り出しています。テラスと一体となった内部空間には、ランドスケープのようなダイナミックな表情を見せる階段を新設し、重なった木の一部はカウンターやベンチの機能を兼ね備えることで、通路だった場所にも賑わいを創出し、烏丸通から、内部へと引き込む流れを作っています。
来館者には、居心地の良さを感じてもらいながら、各々で過ごし方を見つけていただければと思います。
COCON KARASUMA
URL:https://coconkarasuma.com/
住所:京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地