柳瀬真澄設計で完成したゆったりとした時間を過ごせる”ちょうど良い”単身者用住宅「松山の家」
福岡を拠点とし、住宅をメインに様々な空間の建築設計を手がける建築家・柳瀬真澄。福岡市のとある地下鉄駅の近くの閑静な住宅地に建つ単身者のための住まい「松山の家」は、全てに手が届くような「ちょうどいい」スケールによって、使い易く温かみのある空間となっています。
モダンながら周囲に溶け込む落ち着いた印象の外観
広いガレージが特徴的な外観。オーナーがこれまで暮らしてきた敷地のうちの必要最小限を新居用とし、残りを売却用地にするという計画において、車庫を建物1階に組み入れた2階建てとし、全く無駄の無いコンパクトなプランとして建てられました。
大きめな庇と屋根から堂々とした強さが感じられるものの、外壁は落ち着いたブラウンでまとめられ、周囲にうまく調和しています。
間接照明の灯りが印象的なエントランスホール
間接照明の灯りで柔らかな光と陰影が美しく広がる玄関。作り付けの靴箱は低めに幅広に設けることで圧迫感がなくなり、広々とした印象に。神棚が設けられた和室はコンパクトながら障子越しにのぞく植物の影で、四季の移り変わりが身近に感じられる心地の良い空間となっています。
あたたかな木の質感が心地良いLDK
2階は主な生活の場としてLDK、ライブラリー、寝室が配されています。メインとなるLDKの広がる空間は、片流れ屋根の梁を表した木質とやや粗面の左官仕上げの壁による程よい明暗とで、陰翳の美しい居心地の良い居場所となっています。
建物の南東に景色が開けており、2階はそちらに向けてのみ大きめの窓を設けダイニングとしています。
ダイニング後部に配されたデスクは、周囲を囲むように棚が設けられることでちょっとした作業にも集中できるスペースに。
各空間が最小限のスペースながらも、それぞれが緩やかに繋がることで狭さを感じさせないゆったりとした空間となっています。
「狭い」ではなく「ちょうどいい」。ゆったりとした暮らしを楽しめる住宅
限られたスペースながらも外部と内部の主な空間を、色調、骨材等の僅かな違いによって差を生み出しつつ同材の仕上げにすることで、小住宅として「ちょうどいい」纏まりとなっています。居心地の良さは空間の大きさではなく、質感や機能性で創り上げられる。ゆったりと流れる時間が生活を豊かにしてくれる住まいです。
竣工:2018年10月/構造:木造2階建/敷地面積:96.43㎡/延床面積:84.08㎡