北欧デザインの巨匠アアルトと所縁の深い街・ユヴァスキュラにある「アルヴァ・アアルト美術館」
フィンランド・ヘルシンキには「アアルト大学」と言うアルヴァ・アアルト自身の名前を冠した大学がありますが、アアルトと所縁の深い街・ユヴァスキュラにはアアルトの名前そのまま冠した美術館があります。今回はアアルト自身の設計で彼の作品に関する展示を行う「アルヴァ・アアルト美術館」をご紹介します。
変形した平面が生んだ独特な外観
外観は窓が少なくて少し閉鎖的な印象。冬の寒さが厳しいフィンランドでは合理的でもあります。特徴的な外装のタイルは、フィンランドのアラビア社のもので無機質な素材感も相まって霜のようなクールな印象を受けます。
住宅のようなスケール感が安心感を生む
少し重いエントランスの扉を開けると、天井が低めでちょっと暗めなエントランスとチケットカウンターが現れます。展示は2階にまとめられています。
美術館とは言っても巨大なスケールではなく、木のマテリアルを所々に使用していることもあって、住宅のようなスケール感が安心感を生んでいます。
オーロラのような湾曲した特徴的な木の壁面
2階の大きな展示空間の上部に見えるパイン材を使った波打つ壁は、1939年にNYで開かれた万博でアアルトが使ったデザイン。オーロラのような湾曲した壁面で目を引きます。
湾曲した壁は、木できていることもあって一部分ながら白壁で統一するよりも柔らかみや暖かみが感じられます。
反対側は、アアルトらしく大きなハイサイドライトから入る自然光が吹き抜けの空間を照らしています。平面も単純な矩形ではなく、広がりを持たせるように少し変形した形となっています。
アアルトの建築やインテリア、家具など多くの資料を展示
アアルトがデザインした「artek(アルテック)」家具を横から見たかたちで展示し、曲線がわかりやすく工夫されています。
ヘルシンキにある「artek(アルテック)」のショップのディスプレイよりも、より開発当時に近いような素朴な雰囲気があり、より暖かみが感じられます。
北欧デザインでは重要な照明器具にもアアルトらしさが感じられますね。
室内ではアルヴァ・アアルトの生涯にわたって手掛けた名建築の模型やドローイング、スケッチ、写真など色々な資料が展示されています。
アアルトの最高傑作と称される「マイレア邸」をはじめ、「アアルト自邸」や「アアルト・アトリエ」なども詳細な資料がたくさん。
フィンランドに建てられたアアルトの作品がよくわかる展示で、かなりの見応えです。
居心地の良いミュージアム・カフェ
2階の展示空間から降りて脇にあるミュージアム・カフェは、アアルトらしい北欧デザインで居心地の良い空間。
カウンターも直線ではなく、人の動きや視点を感化するようなデザインになっているのが特徴。隅々までアアルトの感性が行き届いた建物です。
ミュージアムショップも照明が非常に印象的です。そして、北欧デザイン好きやアアルトファンにはたまらないグッズがいっぱい。
1日中アアルトの世界観を楽しめる空間
「アルヴァ・アアルト美術館」はアアルトの白の壁を多く使用した時代を代表する建物です。アアルトのデザインした家具や設計したモデルが展示されているのはもちろん、カフェスペースやテラススペースに置かれたテーブルやチェアもアアルトのデザイン。どこまでもアアルトのデザインを楽しめる博物館です。
Alvar Aalto Museum – アルヴァ・アアルト美術館
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜日
入館料:€6
URL : https://www.alvaraalto.fi/kohde/alvar-aalto-museo/