「casa cube」にみる安藤忠雄の名作住宅「住吉の長屋」からの3つのインスピレーション。
文字通り四角い形をしたシンプルモダンな「casa cube(カーサ・キューブ)」は、開発者の眞木健一氏が国内外の様々な有名建築や名作住宅の事例を見ていることもあり、様々なナレッジが詰まった「商品住宅」である。それは今や世界的な建築家になった安藤忠雄の建築からの影響も見受けられるし、特に名作住宅と言われる彼の衝撃的なデビュー作「住吉の長屋」からもインスピレーションを受けているように感じられる。
窓がない四角い外観
住吉の長屋もcasa cubeも正面ファサードから見える窓がなく四角い外観が特徴的だ。casa cubeのサイドには縦に細長いスリット状の窓があるだけで、双方とも防犯やプライバシーの面で非常に合理的である。都市空間の中では防犯やプライバシーの問題は、現代において非常に重要な要素だ。
ニッチのようになったエントランスもどことなく似ている。
窓がなくても明るい内部空間
外観に窓がなくても明るく快適な空間を実現しているcasa cubeと住吉の長屋。2つの住宅の採光の方法は異なるが非常にユニークなアプローチをしている。
住吉の長屋は中央に中庭を設けて外部空間を取り入れた。それにより中庭に対して開いた諸室を配置することができるためどの空間も明るく快適なスペースとなった。(雨が降ると諸室間の移動が大変だが…)
casa cubeは外部に対して閉じてはいるが、トップライトを設けてることにより採光を確保。これなら防犯やプライバシーの問題を解決した上で窓がなくても明るく快適な内部空間を実現できる。
立体的な空間構成
長屋というと鰻の寝床のような感覚だが、住吉の長屋は中庭があることで諸室同士の視線的なつながりを作り出し、分割された空間に一体感を与えている。中庭にかかるブリッジもそれに一役買っている。
casa cubeは、トップライトからの採光を効果的に届けるためにリビングダイニングに大きな吹き抜けを設けている。そのため、採光効果の他にもLDKやフリースペースに立体的な空間構成で諸室をつなげる効果がある。こんな空間は、明るく開放的で非常に居心地がいい。
いかがだっただろうか?
商品住宅「casa cube(カーサ・キューブ)」と安藤忠雄の名作住宅「住吉の長屋」は、こんなにも共通点があった。このことは単純にインスピレーションを受けているだけでなく、これらは都市空間において普遍的なデザインであることを認識させてくれるだろう。