「日常」を感じるという最高の「非日常」。スリランカの『絶景鉄道』でバワ建築の旅に出かけよう!

photo : Mio Umenaka

最近聞かれることが多くなった「これまで見てきた中で、世界のどこが一番良かった?」というお決まりの問い。それに対して私は国や場所ではなく、スウェーデンとフィンランドの間の群島群を抜けて航海する移動手段である「シリヤ・ライン」と即答することに決めている。

それほど旅の中における『移動』というものは、その旅のアイデンティティを決定づけるものであり、すべての旅において移動手段こそ最も慎重に選択すべきであることは、すでに皆さまお気づきの通り。

日本からのスリランカ旅行者のもっとも基本的な移動手段は、ガイド付きのタクシーチャーターと言われているが、もっとスリランカの人々の生活に触れてみたい!ドラマチックな経験にしたい!という方には、鉄道の旅を強くおすすめする。

西南海岸沿いのバワ建築を列車で巡ろう

コロンボからゴールにかけての西南海岸沿いはスリランカ屈指のリゾート地で、ジェフリー・バワの建築が多く存在している。

列車は1~2時間に1本程度のため、次の列車がくるまで途中下車をして楽しむことも可能。(※通勤時間は30分に1本程度出ているが、混雑も多いため予約が必要な場合もあるので注意。)

レセプション天井の壁画が特徴的なベントタ・ビーチ・ホテル | photo : Mio Umenaka
車寄せの天井のアートが出迎えてくれる | photo : Mio Umenaka
エントランスからレセプションへ通じる階段 | photo : Mio Umenaka
中庭にかかる軒天の色彩も特徴的 | photo : Mio Umenaka
エレベータの扉にもオリジナルのデザインが施されている | Photo : Mio Umenaka
トロピカルガーデンを囲むスウィートルームが特徴のザ・ヴィラ・ベントータ | photo : Mio Umenaka
数々の調度品が丁寧に配置されている | photo : Mio Umenaka
バワが好んだ白と黒で統一されたインテリア | photo : Mio Umenaka
photo : Mio Umenaka
宿泊客でなくてもランチ利用が可能 | photo :Mio Umenaka
ベントタ・ビーチ・ホテルの宿泊室 | photo : Mio Umenaka

ルヌガンガの最寄り駅となるベントタ駅周辺には、ベントタ・ビーチ・ホテルやパラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントータがある。駅からスリーウィーラー(トゥクトゥク)でも5分程度でアクセスでき、徒歩でも十分見て回ることが出来る。ホエールウォッチングやダイビングなどのアクティビティも盛んで、リゾートホテルに長期滞在してマリンスポーツを楽しむ人の姿も多い。

Bentota Beach by Cinnamon – ベントタ・ビーチ・ホテル

TEL : +94 34 2 275176
URL : http://www.cinnamonhotels.com/bentotabeachbycinnamon/
住所 : Colombo-Galle-Hambantota-Wellawaya Highway,Galle,Southern Province, Bentota 80500, Sri Lanka

Paradise Road The Villa Bentota – パラダイス・ロード・ザ・ヴィラ・ベントータ

TEL : +94 34 2 275311
URL : http://paradiseroadhotel.com/villabentota
住所:138/18 – 138/22 Galle Road, Bentota, Sri Lanka

途中下車の旅で楽しむ世界遺産

コロンボ~ゴール間は約2.5時間、インド洋に突き出す壁で囲まれた城塞として世界遺産に登録されているゴール旧市街地は、夕陽を眺めながら街を歩くだけで非日常を味わうことが出来る。このゴールからスリーウィーラーで15分程走らせるとバワ名作のジェットウィング・ライトハウスやザ・ブルーウォーターにもアクセス出来る。

ゴール旧市街地からの夕景 | photo : Mio Umenaka

スリランカ第二の都市・キャンデイもスリランカ仏教の聖地として世界遺産登録されており、物歯寺など見どころがある。コロンボ~キャンディ間は「メイン・ライン」と呼ばれている路線で、スリランカの人々の日常風景を垣間見ることが出来る。

1~2時間おきにあり、駅に少額のチップで荷物を預かってもらえるサービスもあるので、次の列車まで途中下車をして徒歩で街を見て回ることも可能。

キャンディの物歯寺 | photo : Mio Umenaka

料金はコロンボ~キャンディ間で100円~、コロンボ~ゴール間は300円程度。1等車でも1,200円程で利用しやすい。乗車券はコロンボ・フォート駅で購入可能。列車や等級、座席により料金は異なるが基本的に安いのでおすすめ。

日常を感じるという最高の非日常

現地に到着したら、スリランカの人に「あの町まで、バスと列車のどちらがいいと思う?」と聞いてみよう。間違いなく列車をおすすめしてくるはず。スリランカ国内の公共交通移動として、バスの方が本数も多く遅延の可能性が低いため、比較的使い勝手が良いとされるが、クーラーがなく運転が荒い場合が多いため覚悟をもって乗りたい。

photo : Mio Umenaka

最も安全で荷物や遅延の心配がないのはタクシーチャーターで人数や車種、ガイドの有無にもよるが1日10,000円程度が目安。

それと比較すると時間も手間もかかる列車の旅だが、スリランカの人々の日常と触れ合う体験は、最高の非日常をもたらすこと間違いなし。日本における「グリーン車」扱いのクーラー付車両は観光客に大変人気。予約でいっぱいになる可能性が高いので、長距離移動などは2週間前を目途に予約したい。(1か月前から予約可能)

予約サイト : http://www.exporail.lk/ExpoRail.php

世界一、海と陸の境界線上を疾走する列車

これまで世界最高所の雄大な大草原や山脈を走り抜ける青蔵鉄道(チベット)や、世界一遅延すると言われているアメリカ全域を網羅するアムトラック、もちろん日本で一番人気のローカル線である五能線や三陸鉄道にも乗ってきたが、ここまで海岸沿いを走る鉄道は今までどの国でも見たことがない。

海と陸の境界線上を疾走する列車に揺られ、開きっぱなしの扉から180度パノラマビューで眺めるインド洋に沈みゆく夕陽は、スリランカ旅のハイライトになる。