【愛知県初開催】「家具の建築家 ポール・ケアホルム 全国巡回展」が本日より開催!

北欧デザインの黄金期を支え、今なお世界中の建築家やコレクターを魅了し続ける孤高のデザイナー、ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm)。彼の作品を一堂に会した全国巡回展が、ついに愛知県で初めて開催されます。

2026年3月3日(火)から3月15日(日)まで、豊橋市美術博物館を舞台に繰り広げられる本展は、単なる家具の展示に留まりません。日本の公共施設では極めて稀な「実際に座り、触れることができる」体験型展示として、デザインが持つ本来の力を五感で味わう貴重な機会となります。

豊橋市美術博物館が「ケアホルムの邸宅」に

本展は、愛知県豊橋市のインテリアショップ「SEVEN STYLE」の創業15周年を記念し、デンマークを代表する家具ブランド「FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)」の全面協賛のもと実現しました。

PK22™ 分解パーツ

本展の最大の特徴は、展示品のほとんどに実際に腰掛けられる点にあります。ケアホルムの家具は、視覚的な美しさはもちろんのこと、スチールの弾性や皮革・藤(ラタン)の質感が生み出す「座り心地の精密さ」にこそ真価があります。美術館という静謐な空間で、名作椅子に身を委ねながらデザインの本質と対話する――そんな贅沢な時間が約束されています。

POUL KJÆRHOLM(ポール・ケアホルム)

ポール・ケアホルム(1929 – 1980)は、デンマークの伝統的な手工芸と工業技術を掛け合わせて、数々の革新的なデザインを世に送り出しました。歴史ある家具からインスピレーションを受けたケアホルムは、もっとも上質な天然素材だけを使って独自のミニマルなスタイルを発展させ、シンプルなエレガンスを備えたスタイリッシュなデザイン観を確立したのです。

ポールケ・アホルムはコペンハーゲンのデンマーク美術工芸学校で学び、家具職人として修練を積みました。ケアホルムは多種多様な建築素材に興味を持ち、その中でもスチールに強い関心を寄せていました。スチールは、木などの天然素材と同様に、芸術的な価値のある素材であると考えていたのです。

PK91™(1961年)

ケアホルムはフリッツ・ハンセンに入社し、約1年間勤務しました。その間、注目に値するさまざまな椅子の試作品をデザインします。1955年、ケアホルムは家具メーカーの「アイヴィン・コル・クリステンセン社」とのコラボレーションをスタートさせました。このコラボレーションは、ケアホルムが他界する1980年まで続きます。ケアホルムが他界した2年後、ケアホルムの管財人は故人が1951年から1967年にかけて手がけた『ケアホルム・コレクション』の製造と販売をフリッツ・ハンセンに委ねました。

SEVEN STYLE(セブンスタイル)

SEVEN STYLE|店舗外観

SEVEN STYLEは、2010年に愛知県の東(三河エリア)に位置する豊橋市にてオープンしました。

オープン当初から北欧ヴィンテージ家具と共にヴィンテージのように時を超えて引き継がれる、北欧を中心とする現行品(メーカー新品)のご提案も併せておこなっています。

現行品は流行を追い求め、最新の商品を店頭やオンラインストアでご紹介するようなことはせず、現在取り扱っている商品と有機的な繋がりがあり、本当に良いと思える物のみ厳選しています。

では、本当に良いと思える物の基準となるものは何か?

それは、「時代を超え、国を越え、引き継がれる本物」であることです。

SEVEN STYLEでは、時代を感じさせない普遍的なデザインや作り手の想いやこだわりが脈々と息づいている本物だけをご提案したいと考えています。

このコンセプトが宿る物であれば、新旧問わず、国も問わず、自分たちが良いと思う物を厳選しています。

ポール・ケアホルムが「家具の建築家」と呼ばれる理由

PK31™(1958年)

1929年、デンマークに生まれたポール・ケアホルムは、ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールといった、木製家具の巨匠たちが活躍した時代にあって、極めて異質な存在でした。

スチールに魂を込めた「構造の魔術師」

PK22™ パーツディテール

当時のデンマーク家具界は「木」が主流でしたが、ケアホルムは「スチール(鋼鉄)」という工業素材に無限の可能性を見出しました。彼はスチールを単なる構造材としてではなく、木材と同じように「光を反射し、時を経て風合いを増す芸術的素材」として扱いました。

PK61™(1956年)

彼のデザイン哲学は、極限まで無駄を削ぎ落とした「ミニマリズム」と、ボルト一つ、ジョイント一つを隠さず美しく見せる「構造の誠実さ」にあります。その緻密なプロポーションと空間を規定する力強さから、彼はいつしか「家具の建築家」と称されるようになりました。

代表作にみる美学

PK20™(1968年)

本展でも注目される主要作品には、彼の美学が凝縮されています。

PK22™(1956年)

PK22: 1956年発表。ケアホルムの代名詞とも言えるラウンジチェア。スチールのフレームとレザー(または藤)の最小限の構成ながら、驚くほどの安定感と優雅さを誇ります。

PK80™(1957年)

PK80: 国立新美術館(東京)のロビーにも設置されているデイベッド。ミース・ファン・デル・ローエのデザインにインスパイアされつつも、さらに洗練された独自の均衡を保っています。

PK24™(1965年)

PK24: 「ハンモック・チェア」とも呼ばれる寝椅子。身体のラインをなぞるような有機的なカーブを、冷たいはずのスチールで見事に表現しています。

なぜ今、ポール・ケアホルムなのか?

PK25™(1951年)

現代のインテリアにおいて、ケアホルムの作品は「タイムレス・モダン」の象徴です。

和の空間との親和性: 直線的で端正な彼の家具は、実は日本の建築様式(畳や障子、格子)と驚くほど調和します。

サステナビリティの先駆け: 使い捨てではない、何世代にもわたって受け継がれる「耐久性と美」を両立させた彼の姿勢は、現代の価値観に合致しています。

アートとしての家具: ニューヨーク現代美術館(MoMA)のパーマネントコレクションにも選ばれている彼の作品は、もはや家具の枠を超えた彫刻的な価値を持っています。

展覧会をより楽しむためのポイント

豊橋市美術博物館

豊橋市美術博物館での開催にあたり、以下のポイントを意識して巡ることで、より深い体験が可能になります。

「素材の対比」を観察する: 冷たく硬いスチールと、温かく柔らかなレザーや藤。相反する素材がどのように出会い、一体化しているかに注目してください。

「影」を見る: ケアホルムの家具は、その細いフレームが生み出す「影」までもが計算されています。床に落ちるラインの美しさは、彼が建築家的な視点で空間を捉えていた証です。

「視点の高さ」を変える: ケアホルムの椅子は、座面が低く設定されているものが多いのが特徴です。実際に座り、低い視点から会場を見渡すことで、彼が意図した「空間の広がり」を追体験できます。

愛知・豊橋から始まる「本物」との出会い

かつてケアホルムは、「素材自身がその形を決定する」と語りました。素材の声を聞き、構造を究めることで生まれた彼の家具は、発表から半世紀以上を経た今も、全く色褪せることがありません。

愛知県で初開催となるこの巡回展は、デザインを志す学生、インテリア好きの大人、そして「心地よい暮らし」を模索するすべての人にとって、一生もののインスピレーションを与える場となるでしょう。2026年3月、豊橋で「家具という名の建築」に出会う旅に出かけてみませんか。

 POUL KJÆRHOLM Traveling Exhibition in JAPAN|家具の建築家 ポール・ケアホルム 全国巡回展 in 豊橋

期間: 2026年3月3日(火)〜3月15日(日) ※月曜休館
会場: 豊橋市美術博物館 展示室
入場料: 無料(公共施設での体験型展示としては極めて貴重な機会です)
主催: SEVEN STYLE(株式会社モノクラシック)
協力: FRITZ HANSEN