誰もがお世話になるのに、知識がない。大ヒット漫画『正直不動産』を描く大谷アキラさんに聞く、ストーリーの魅力

累計250万部を超える大ヒット漫画『正直不動産』。2022年4月にはNHKで連続ドラマ化され、大きな話題になりました。今までにない、不動産営業の本音をさらけ出す痛快なストーリーが反響を呼んでいます。今回お話をうかがったのは、そんな漫画『正直不動産』の作画を手がけている、漫画家の大谷アキラさん。大ヒット漫画はどのように生まれたのでしょうか。

漫画家「大谷アキラ」プロフィール

©三輪憲亮

1981年生まれ、山梨県出身の漫画家。代表作は『ツール!』『ニッペン!』『機動戦士ガンダムFAR EAST JAPAN』。現在ビッグコミックで『正直不動産』を連載中。2022年4月には、山下智久主演でNHKにて連続ドラマ化され大反響を呼んでいる。

『正直不動産』あらすじ
「営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしない」そんな不動産業界にあって、登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は嘘を厭わぬ口八丁で売り上げナンバー1を叩き出す凄腕だった。だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、嘘が上手くつけなくなってしまった…!! 海千山千の不動産業界で、永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で奮闘するが!? 不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、ついに誕生。(引用:https://bigcomicbros.net/work/6319/

家には趣味のロードバイク。屋上でリラックスする時間がお気に入り

好きな暮らしのデザインや空間についてうかがうと、趣味であるロードバイクのパーツなどを部屋に並べているとのこと。また10畳ほどの屋上もお気に入りだそうで、隣の畑を眺めてみたり、飼っている猫の毛繕いをしたりしているといいます。コロナのこともあり、人とあまり会えないためゆったりとした暮らしを楽しんでいるそう。もともと在宅で仕事をしていたことから、コロナによる仕事の変化はあまりなかったと話しました。

小さい頃から漫画が好きで、20歳くらいから本格的に漫画家を志そうと思った大谷さん。漫画家によって手描きとデジタルで手法が異なりますが、大谷さんの『正直不動産』はデジタルで描いているんだとか。「漫画家さんや作品のジャンルとかによって違う。たとえばスポーツ漫画などは、手描きの方が迫力が出ますね。正直不動産は集中して読んでもらうために絵がきれいな方がいいので、デジタルと相性がいいと思う」と語りました。

誰もが一度はお世話になる不動産。なのによく分からないという現状

©大谷アキラ・夏原武・水野光博/小学館「ビッグコミック」連載中

住宅は人生で1番大きな買い物というくらい重大な決断だけれど、不動産に関して知識がない人も多い。今まで不動産漫画というジャンルがなかったことから、『正直不動産』の作画の依頼を受けたときに、ヒットの予感があったとのこと。誰もが1回はお世話になるものなのに、よくわからないのが現状。「お金をメインに描いているので、知りたい人も多いのではないか。夏原武さんと水野光博さんというしっかりした原案と脚本があったため、そこはもう大丈夫だろうと安心していました」

©大谷アキラ・夏原武・水野光博/小学館「ビッグコミック」連載中

最初夏原さんと会った際には“漫画はあくまで漫画家のものなので、好きにやってほしい”と言われたといい、「好きにさせていただいて、そこは本当にありがたかった」と大谷さんは話します。作画において、キャラクターの造形は様々な俳優さんをイメージしながら描いていたそう。今までは少年誌で連載していたため、見た目が奇抜なデザインも多かったものの、『正直不動産は』青年誌だったことから、内面などの内側をしっかり作って、見た目や外側をあとから考えていったといいます。

©大谷アキラ・夏原武・水野光博/小学館「ビッグコミック」連載中

ドラマ化によって周りからも反響が大きく、編集部に届く「読み物として面白かった」などの声もありがたいとのこと。「主人公・永瀬財地を演じた山下智久さんは、あれほど幅が広がるなんてイメージ以上でした。今まで漫画という二次元の作品を三次元にしてもらったので、俳優さんや作り手さんの力に驚かされましたね。本当にこういう世界があるんじゃないかと思うくらいだった」と語りました。

Life is 「猫と赤ちゃん」

インタビューの最後、大谷さんに「Life is ◯◯」の空欄に当てはまる言葉を尋ねると、返ってきたのは「猫と赤ちゃん」という答え。「今まで猫だったけれど、昨年子どもが生まれて、だいぶ子育てで四苦八苦しています」と、楽しそうに話してくれました。