電車を飲み込むチューブと建築が一体化するOMAによるイリノイ工科大学「スチューデントセンター」
ジャーナリスト、脚本家として活躍し、現在は理論派の建築家として活躍するレム コールハース。アメリカにあるイリノイエ工科大学では彼のモダニズム建築を多数鑑賞することができます。中でも彼が率いる建築設計事務所OMAが手がけたスチューデントセンターは教育機関とは思えないような斬新なデザインが目をひく建築です。
斬新なデザインが目をひく建築
線路を飲み込むように、建築の上を電車が通過する構造の建築が「スチューデントセンター」というイリノイ工科大学の施設。レム・コールハース 率いるOMAが設計を手がけました。
線路の下はピロティと言うよりも高架下のようなインダストリアルな雰囲気が漂う空間に。線路が通るところが窪むことで屋根が Vの字のようなつくりになっています。
外観は典範とFRPグレーチングとガラスのみのシンプルながら、無駄な装飾がないシンプルで無骨なデザインです。
連続する多彩な内部空間
内部はレム・コールハースらしいパッチワークのようにシームレスに様々なエリアが繋がる空間が広がっています。
中央の上部に線路が走っている部分は半地下にすることで天井高が確保されています。
床や壁、天井のマテリアルも様々で、天井はボードを貼ってパテで目地を潰しただけのシンプルな仕上がり。
斜めに空間が交差したり、外部の緑を取り込んだりと、広い内部空間には印象が異なるスペースが様々にあり、来訪者を楽しませます。さらに、角度の緩やかな階段やスロープで動線が緩やかになるように設計されているのです。
地下に位置する食堂も、側面を覆う大きな窓を通して外部と接しているため、明るく開放的な印象に。座席はセブンチェアで統一されており、細部のデザインへのこだわりを感じさせます。
1階にも多少食堂の座席が配置されており、平面的にも空間が複雑に交差するため、立体的な空間も自然に意識されるようになっています。
線路が収められたチューブが表出する空間
線路が収められたチューブが内部空間にも表出することで、より色々な素材が組み込んであるように見え、ダイナミックな印象を与えます。
水平垂直だけのミースの「ユニバーサルスペース」と言う概念に対して、斜めのラインやこうした線路のチューブなど異質な物を組み合わせることでアンチテーゼ的な表現にしたり、ユニバーサルスペースを超えるようなデザインを目指していたようにも感じられます。
OMAの建築は流行りのインダストリアルなインテリアデザインよりも、工業用のマテリアルをそのまま用いてよりリアルなインダストリアルなデザインになっていることもユニークな特徴です。
レム・コールハース率いるOMAによるイリノイ工科大学の「スチューデントセンター」は、上を電車と線路が通る斬新な建物でありつつ、内部空間の多彩さ、豊かさが感じられる建築です。イリノイ工科大学内は自由に見て回れるので、ミースファンデルローエの「クラウンホール」などと合わせてこちらの「スチューデントセンター」を訪れてみてはいかがでしょうか。
McCormick Tribune Campus Center – スチューデントセンター
開館時間:8:00~24:00
URL : https://web.iit.edu/event-services/meeting-spaces/mccormick-tribune-campus-center
住所:McCormick Tribune Campus Center, 3201 S State St, Chicago, IL 60616 USA