柳瀬真澄が手掛けた多忙な夫婦2人がコンパクトに豊かに暮らす理想の住まい「鞘ヶ谷の家」

福岡を拠点とし、住宅をメインに様々な空間の建築設計を手がける建築家・柳瀬真澄。福岡県北九州市にある、北東に景色が広がり、遥かに関門海峡を望むことも出来る緑多い丘陵の住宅地に建てられた「鞘ヶ谷の家」。建築九州賞作品賞も受賞したこの作品は、限られたスペースながらも心地よく住まう工夫が詰まった、多忙な夫婦2人のためのコンパクトな住宅です。

傾斜を生かした落ち着いた印象のアプローチ

鞍ヶ谷の家
Via : http://www.yanase-arc.com/ | 撮影:石井 紀久

エントランスが面する南側道路は西に向かっての上り勾配となっており、窪んだ印象であるため、茶室及び前庭を建物の南西角に配して、周囲より隔たった閑やかな趣となるように工夫されています。

鞍ヶ谷の家
Via : http://www.yanase-arc.com/ | 撮影:石井 紀久

茶室は、客座の天井を竹の詰め打ちとし韓紙を載せたつくりに。その隙間から洩れる光と翳りが僅かに交錯し、他をシンプルで抑制した意匠とすることで、柔らかな陰影と自然を身近に感じることができる空間となっています。

木の温もりが感じられるリビングダイニング

Via : http://www.yanase-arc.com/ | 撮影:石井 紀久

リビング・ダイニングは北面することによって、安定した光で景色を眺めることが出来るとともに、柔らかな木質、漆喰と相まって穏やかで温かみのある空間となっています。

Via : http://www.yanase-arc.com/ | 撮影:石井 紀久

パノラマ状に景色を枠取る出窓は、腰掛けられる快適な窓辺の空間としても生きるよう寸法、ディテールに細心の注意を払ってつくられています。リビングとダイニングを隔てず同じ空間に配することで、様々な用途で過ごすことができます。

コンパクトながらこだわりの趣味室

Via : http://www.yanase-arc.com/ | 撮影:石井 紀久

LDKと入れ子状に接する趣味部屋は、美しい借景が望める格子で仕切った半独立空間。 3m×2.5mのL型の机を設け、座った時の視界に合わせて窓を配置することで、天井近くに棚を配することで周囲の自然を生かした心地の良さと収納力も兼ね備えています。2人が趣味に仕事にと思い思いに時を過ごすことが出来るスペースです。

あたたかな生活空間と暮らしを豊かにする工夫が詰まった小さな住まい

大きな窓から広がる借景と、内部に多用された木によってあたたかで開放的なリビングダイニング。それに接する趣味室、落ち着いた印象の茶室など、日々の生活をより豊かにする空間が詰まった住宅。敷地は大きくはないものの、趣味に仕事に忙しい夫婦ふたりが、思い思いの時間をのびのびと過ごせる心地の良い住まいです。

竣工:2016年/構造:木造/敷地面積:266.73㎡/延床面積:104.46㎡