レム・コールハース率いるOMAデザインのブースがプロダクトを引き立てる「Knoll(ノル)」。

ミラノでは「プラダ財団美術館」でレム・コールハース率いるOMAの建築を見ることができが、実はミラノサローネ本会場でも彼らのデザインを楽しむことができる。アメリカのモダンデザインそのものと言ってもいい「Knoll(ノル)」のブースである。

バルセロナチェアなどで知られる「Knoll(ノル)」は、モダニズム全盛期のミース・ファン・デル・ローエやエーロ・サーリネンなどの建築家やデザイナーとのコラボレーションにより、モダンデザインの先駆者的な地位を確立したブランドだ。

バルセロナパビリオンをコンテンポラリーにアレンジ

ミラノサローネ2017ではオランダの建築家レム・コールハース率いるOMAがブースデザインを担当。大理石を使い抽象的な表現をする空間は、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナパビリオンを現代にアレンジしている。

「this is Knoll」と書かれたサインはKnoll(ノル)の圧倒的なブランド価値の自信を表しているようだ。

ライトを仕込んだポリカーボネートや間仕切りのエキスパンドメタルといった工業部品を反復して大胆に使う手法は、いかにもレム・コールハースらしいデザインだ。

バルセロナパビリオンのように可動間仕切りがあるが、そこはレム・コールハースらしく工業部品などを使いながら安価に思わせない工夫を施している。モダニズム当時の家具が非常に抽象的なデザインであることがこの空間をより活かし、他のブースとは異なる圧倒的な存在感を醸し出してる。

「Modern Always」を掲げる家具デザイン

Knoll(ノル)ほどモダニズムから変わらないブランドはないのではないか。ただ、モダニズム全盛期から長い月日が流れたがそれでも新しく感じるその存在感は凄いとしか言いようがない。幾何学の中に人間的な丸みを含んだ家具は近代的であり、宇宙的な側面もあり、この空間にいると映画の世界に迷い込んでしまったかのように思える。「Modern Always」を掲げ、エーロ・サーリネンのウームチェアをアップデートさせたり、無垢材や大理石、ウールなどを使ったりとモダンで様々なバリエーションを生み出していた。

 

Knoll(ノル)の家具が普遍的なデザインであり、今見ても新しさを感じることに驚くとともに、見事にKnoll(ノル)のブランドアイデンティティの表現をしたレム・コールハース率いるOMAの手法には感心させられる。