隈研吾とブリューイン・デザイン・オフィスが手がける”現代の町家”を体現する「カペラ京都」

2026年春、京都・宮川町にラグジュアリーホテル「カペラ京都」が開業します。建築デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所、インテリアはシンガポールを拠点とするBrewin Design Office(ブリューイン・デザイン・オフィス)が担当。「現代の町家」をテーマに、京都の路地が持つスケール感や、暮らしの中に溶け込む静けさを受け継ぎながら、素材の触感と光の陰影で“新しい京都の時間”を立ち上げるプロジェクトです。派手な演出で非日常を作るのではなく、街の文脈にそっと寄り添い、滞在者が自分の感覚で京都を深めていく──そんな上質な体験が期待されています。

京都・宮川町の「静けさ」を継承する

フレンチブラッスリ- 個室

カペラ京都が誕生する宮川町は、京都の中心部にありながら、独特の落ち着きと余白を保つエリアとして知られています。周辺には寺社や歴史的な街並みが点在し、観光地としての利便性も高い一方で、ひとつ路地へ入ると空気が変わるような静けさがある。その“切り替わり”こそ、京都が持つ魅力の本質のひとつです。今回のホテルは、この静けさを単なる立地条件ではなく、滞在体験の核として捉えています。

シグネチャーレストラン

大きな看板や強い主張で街を塗り替えるのではなく、京都の都市構造が本来持っている「奥行き」や「間」を、宿泊の時間へと翻訳する。チェックインの瞬間から特別感を演出するのではなく、歩く速度、音の反響、視線の抜け方といった繊細な要素を通じて、徐々に心がほどけていくような設計思想が読み取れます。京都の価値を“賑わい”として消費するのではなく、静けさの中で受け取る──カペラ京都は、そのスタンスをホテルとして明確に打ち出します。

隈研吾が描く“現代の町家”

カペラ京都 中庭

「現代の町家」という言葉は、伝統の形式をそのままコピーすることではありません。むしろ重要なのは、町家が街に対して果たしてきた役割──街並みの連続性を崩さず、路地のスケール感を守り、暮らしの気配をにじませながら佇むことです。隈研吾建築都市設計事務所が監修するカペラ京都もまた、周辺との調和を大切にし、低層の構成で街のリズムに寄り添うことを狙っています。

建築家・隈研吾(© Designhouse)

京都の路地は、人の身体感覚に近いスケールで成り立っています。視界の先に“抜け”があり、曲がり角の向こうに“奥”がある。その連続が街の魅力をつくり、歩くほどに景色が変わるのが京都らしさです。カペラ京都は、そうした路地のリズムを建築へ取り込み、街の一部として自然に溶け込む存在を目指します。ホテルがランドマークとして突出するのではなく、あくまで街の延長線上にありながら、内部へ入った瞬間に密度が変わる。そのギャップが、上質な体験を生む装置になっていくはずです。

Brewin Design Officeが再解釈する伝統素材

客室 カペラスイート

インテリアを担当するBrewin Design Office(ブリューイン・デザイン・オフィス)は、伝統素材を“装飾”として扱うのではなく、触感や奥行きとして空間体験へ組み込むことを重視しています。漆、和紙、陶器、木材といった日本らしい素材は、見た目の美しさだけでなく、手で触れた時の温度感や、光を受けた時の表情の変化によって価値が立ち上がります。カペラ京都では、そうした素材の性質を現代の感性で再編集し、静けさを支えるディテールとして積み重ねていく方針です。

ブリューイン・デザイン・オフィス/ロバート・チェン

ここで鍵になるのは、“映えるインテリア”ではなく、滞在の時間とともに深まる空間であること。たとえば、柔らかな光を透過する和紙が視界をやさしく整え、漆の艶が陰影を静かに引き締め、木の肌理が触れるたびに安心感をもたらす。派手な演出がなくても、素材が持つ情報量によって空間の密度が上がり、気づけば呼吸が整っている。そんな感覚的な体験を丁寧に設計することで、カペラ京都は“現代の町家”というテーマをインテリアレベルでも成立させます。

”現代の町家”を体現する「カペラ京都」

カペラ京都は、隈研吾建築都市設計事務所とBrewin Design Officeが手がける「現代の町家」を体現するホテルです。宮川町という街の静けさを核に、路地のスケール感と低層の佇まいで街並みに寄り添い、漆や和紙、木材などの素材を触感と陰影として再編集することで、京都の時間を“滞在体験”へと翻訳します。京都を派手に語るのではなく、静かに深める。カペラ京都は、そのための新しい入口になりそうです。

カペラ京都

URL:https://capellahotels.com/jp/capella-kyoto
住所:〒605-0811 京都府京都市東山区小松町130