ディラー・スコフィディオ+レンフロによるロサンゼルスの美術館「The Broad」で現代アートを堪能する

著名な建築家によって設計されたさまざまな建築物が群立するアメリカ・ロサンゼルスのグランド・アヴェニュー。その中でも数多くの来館者が訪れ、人々を魅了し続ける美術館「The Broad(ザ・ブロード)」があります。

現代美術の宝庫である個人美術館

2015年9月にオープンした「The Broad」は、金融と建設事業の成功により巨万の富を手に入れた大富豪、イーライ・ブロードとエディス・ブロード夫妻のアートコレクションであり、美術館名の「The Broad」は夫妻の名前から取られました。

オープン当初から話題となった「The Broad」は、200人の作家から成る約2,000点の現代アートが収蔵されており、今なおコレクションが週に1度のペースで増え続けています。

これだけのコレクションがあるにも関わらず入館料無料なので、現代アートを知らない人たちも足を運びやすくなっています。

実際に来館した人たちは80%以上の人たちが現代アートについて知識がない、または多少の知識しかないと回答しています。

デザインコンセプトは「ヴェールとヴォールト」

「The Broad」は、設計事務所ディラー・スコフィディオ+レンフロによって設計されました。総工費1億4,000万ドル、地下3階地上3階建て、延床面積11,000㎡の「The Broad」は所蔵作品のみならず建物そのものも話題となっており、ハチの巣を彷彿とさせるファサードは道行く人の目を引きます。

「The Broad」のデザインコンセプトは「ヴェールとヴォールト」。「ヴェール」は収蔵庫となっている「ヴォールト」を包み込んでおり、多孔性のハニカム構造の外装で覆われ、自然光がフィルターを通して行き渡るようになっています。

「ヴォールト」は建物中心部に位置する空間であり、2階全体の空間のことを示しています。「The Broad」はこの「ヴェールとヴォールト」の2つで主に構成され、外観の華やかさと内観のシンプルさの対比により来館者を飽きさせることはありません。

回遊動線で現代アートを隈なく堪能できる構成

1階のエントランスから中に入るとミュージアムショップやテンポラリーが並ぶエリアで、1階から3階は長いエレベーターで2階を飛ばしてアプローチできるようになっています。

3階の展示室の真ん中に開けられた穴から回遊動線で複数の作品を見ることができます。

帰りは階段を使って降りるのですが、階段の中にあるガラス窓から2階にある収蔵庫の中を覗けるように工夫されています。

ここから見える絵は毎日変わるので、このような展示は個人美術館ならではであり、普通の国公立美術館ではできないことができています。

今までの概念を覆した新しい美術館「The Broad」

2015年にオープンしてから1年間の来館者数は約82万人。事前来館者予測の3倍にもなる人数がこの「The Broad」に足を運びました。オープン半年からの来館者分析によると「6割が非白人、7割が34歳以下。その多くが現代美術についてほぼ知らない」と言うこともわかりました。これは「美術館来館者のコア層は中年の白人」と言う、今までの概念を覆す結果となっています。開館10周年を迎えるに当たり、現在増えたコレクションをさらに収蔵すべく拡張工事も行われています。「The Broad」はこれからも話題を呼び続け、多くの人の関心をさらに寄せていくことでしょう。

The Broad

住所:221 S Grand Ave, Los Angeles, CA 90012 アメリカ合衆国
電話番号:+12132326200
営業時間:11:00~20:00(曜日による)
URL:https://www.thebroad.org/