
建築家・納谷学が手掛けた伝統とモダンが混ざり合う住まい「仏間のある住宅」
個人住宅の設計を中心に、商業施設や店舗、集合住宅などこれまで200軒以上の作品を生み出している「納谷建築設計事務所」代表、建築家・納谷学。建築家としての活動の傍ら、関東学院大学や芝浦工業大学で講師としても活躍しています。
納谷建築設計事務所が手掛けた「仏間のある住宅」は、ご先祖様の部屋、いわゆる仏間を中心に考えられた、伝統とモダンが同居する心地の良い住まい。鳥居のような構造体で構成された、開放感のある大きな空間です。
代々受け継がれる仏間を中心に据えた平屋住宅

「仏間のある住宅」は、秋田県秋田市に建てられた、クライアントの旧家屋にインスパイアを受けた平屋の住宅。八畳の仏間と、その仏間に面して先祖から代々受け継がれてきた大きな仏壇を大切にしながら、家族の居心地の良い住空間を目指しました。

まず納谷は、クライアントへのヒアリング、旧家の様子から、現代的なスタイリッシュな住宅よりも、柱が現となっている真壁の仏間を中心とした住宅の方がふさわしいのではないかと考えました。

旧家の仏間は、昔ながらの造りで鴨居が低く天井が高いプロポーションでした。新しい住まいでは、その鴨居の低さと天井の高さを利用して、鴨居を下弦、梁を上弦とした2段の梁材としてフラットに扱うことで、家全体の構造をシステマティックにし、部材を小さくスレンダーなプロポーションにデザインしています。

梁と鴨居が二段の梁材として柱をつなぐ様は、ちょうど鳥居が連続して家全体のシステムを作るイメージで、心地よいリズムを感じます。

プランは、八畳の仏間を中心に八畳間のグリットを基本として計画されました。

玄関の正面には仏間があり、その先には家族のリビング、南の庭まで見えます。

鴨居(下弦)の上の欄間の要所はガラスやポリカーボネートを嵌込み、隣の八畳間との繋がりを予感させるように演出。

柱と鴨居の形式は日本の伝統的な様式である上、建具の開閉で空間が連続し続き間となる古来の日本家屋の持つユーティリティーを備えます。
家族の想いを引き継ぐ伝統とモダンの重なるリノベーションで生まれ変わった「仏間のある住宅」
新しい構造様式で実現された新しい建築でありながら、様相として昔ながらの真壁の懐かしい空間が心地よい「仏間のある住宅」。クライアントの想い、そして仏間を丁寧に扱いながら、現在の暮らしに寄り添った生活動線に組み直すことで、次の世代へと受け継がれていく貴重な一軒となりました。